「しがみつかない生き方/香山リカ」を読みました。
『しがみつかない生き方/香山リカ著(幻冬舎新書)』を古本で見つけ、読んでみました。
2009年第一刷発行のものです。
この本が書かれてから15年を経ているのですが、現在の社会の状況を見ると、ここに書かれていることがより進化したというか、具体化され、深刻化しているのではないかと感じました。
特に強く書かれていたのは、小泉改革を経て、日本社会は他人のことに思いを馳せる余裕がなくなり、自分のことしか考えないメンタリティが強くなったのではないか・・ということでした。
今現在の社会状況で私が感じるのは、上記のようなことを顕著に示しているのは「政治家」ではないか、ということです。
近年、いろいろなことが明るみに出て、政治家はほとんど“脱税まがい”のことをして裏金を貯め、国民には素知らぬ顔をしています。
能登の地震であんなに被害が出ているのに、その県の知事も国会議員もそこで苦しんでいる国民には関心が無さそうに見える。
特定の宗教集団にべったりだが、悪びれるところがない。
大手不動産から一定の見返りがあれば、百年の歴史を持つ森など平気で伐採する。
大きな広告を持つ企業からも見返りがあるのでしょう、子供騙しの映像をビルに映して数十億のお金をジャブジャブ使う。自分の金じゃないから知ったこっちゃないのでしょう。
知らぬ間に日比谷公園まで破壊しようとしていると聞きました。
さらにこの本に書かれているのは、現在の自分の状態は決してそんなに不幸でもなく、むしろ幸せなんじゃないか、と傍から見て思えるような人が「まだまだ幸せになれる」とか「私の実力はこんなもんじゃない、だからもっともっと幸せになれるし、皆から羨ましがられるくらいの身分が相応だ」という自分中心の人が多くいるということでした。
逆に自分を卑下して、「生まれてくるんじゃなかった」とか「何のために私は生きているの」と思う人も増えているのだとも書かれていました。
そして、過去にひどいことを言った人のことや、現実に起こったひどいことは絶対に忘れないが、過去の嬉しかったことや、楽しかったこと、人生の中でのハイライトのようなシーンは悉く覚えていないというのが自己を卑下する人の特徴であるという。
15年ほど前に書かれたこの本の内容が、今、如実に表面化しているような気がします。
「自分はもっと幸せになれるはずなのに」という人と「自分ほど不幸な人間はいない」という人・・どちらもある意味“病んでいる”のではないでしょうか。
そして、世の中は増々“いびつ”な様相を呈しているように思います。
SNSなどでの誹謗中傷や、罵り合い、政治家の発言、行動についても、もう一定の域を越えて醜い人間社会を体現しているかのように感じます。
しかも、日本の報道の自由度が発展途上国以下になっていると最近また発表されたことを知り、暗澹たる気持ちになったのでした。
そんなことを香山さんのこの本を読んで、あらためて感じたところです。
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