「柿喰ふ子規の俳句作法/坪内稔典」を読みました。
『柿喰ふ子規の俳句作法/坪内稔典著(岩波書店)』を古本で見つけ、読みました。
2005年第一刷発行となっておりました。
子規がおらなんだら、今の俳句隆盛は無かっただろうと思わせる本となっていました。
著者坪内氏の子規への思いは強く、読みだしてからどんどん坪内氏の思いが伝わってきて、私の知らなかったことばかりであった子規への知識が読むほどに増してくるのでした。
病気という不運を“病気を楽しむ”という思考に転じ、生活そのものも、創作活動も「楽しむ」という“人生の作法”にはただ感服いたしました。
私は、今年三月から俳句を詠み始め、まだまだ“超”初心者ですが、この間、「自由律俳句」の本を読んでみたり、その他、割と前衛的な印象の俳句本なども読んでみましたが、季語が無かったりして、どうもしっくりこないのでした。
あらためて季語が有り、五・七・五を基本とする俳句が一定の“縛り”はあるものの、逆に想像を掻き立てられたり、余韻が出たりと、自分には一番“合う”のではないかと感じているところで、この子規を深く研究・探索した本は「それでいいんだ」と後押ししてくれたような気がしました。
また、子規が旧来の俳句を短い人生の中で選別・区別の作業をしてくれたことで、その後の俳句の道筋が出来たことも知り、その存在が実に貴重な人であったこともわかりました。
さらに、“月並”と評し、従来の決まり切った表現よりも「写生」が大事だということ、そして“とりあわせ”という概念も提示してくれたことで、まさに今の俳句が一般に楽しまれている状況があるのだと思い、うれしくなりました。
とてもいい勉強になりましたし、楽しい本でした。
これからも座右の書としたいと思います。
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