「大人の達人/村松友視」を読みました。
『大人の達人/村松友視著(潮出版社)』を古本で見つけ、読みました。
2010年発行のもので、内容は月刊「潮」2007年5月号~2010年4月号に掲載された連載エッセイ「大人の流儀」を改題のうえ、加筆・修正したものです。
300頁のボリューム、中身も充実したもので、次々と若かりし頃の村松さんと出会う“大人の達人”たち。村松さんが“達人”と思うような人ばかりですからそれはもう凄い人ばかり。
吉行淳之介の大人の交流の仕方、鶴田浩二の酒の飲み方、幸田文の粋で無邪気な気遣いなど、どの“大人”も唸るような言動と振舞いでした。
私も若い頃にかなり年上の先輩達にお世話になりましたが、多くの人が“さすが”の大人の振舞いで色々なことを教えてくれました。
あのときの先輩方はたぶん30代から40代でしたが、今の感覚でいうと50代から60代後半の人のような感じでした。
自分がそんな大人になれたかというと・・新人の頃とあまり変わらず、たいした成長も無く、歳ばかり増して、恥ずかしい限りです。
この本に登場した大人たちの中に、まだ映画製作をする以前の伊丹十三さんがいました。
当時出版社の編集だった村松さんが小説を書かないかと話を持ちかけるのですが、役者として、そしてエッセイストとして活躍していた伊丹さんは、もう映画にその眼差しは向いていたようです。
今までまったく知らなかった伊丹さんの(最初の結婚生活をしていた頃)自宅での様子、自宅内部がどんなだったかまで書かれていて、中学生時代に伊丹さんのエッセイを読んで、その奇想天外な内容に夢中になっていた私にはとても興味深いものでした。
読んでいると、様々な“大人たち”との付き合いの中で、村松さんも達人の域にどんどん近づいていく様子がわかりました。
そして、作家としてデビューし、私も当時「ものすごく変わった視点を持つ人が現れた」と思ったのでした。
深くて味わいのある話ばかりでした。いい本に出逢いました。
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