「むくどりは飛んでゆく/池澤夏樹」を読みました。
『むくどりは飛んでゆく/池澤夏樹著(朝日新聞社)』を古本で見つけ、読んでみました。
作家で詩人、書評や翻訳も手掛ける著者が世界各地を巡ったときに感じたことなどを綴ったエッセイとなっておりました。
初出誌は、1994年1月~1995年1月にかけての「週刊朝日」です。
この本自体は1995年に第一刷発行されたものです。
因みに、装画・本文イラストは、山口マオさんで、これも独特の世界観があって楽しい。
著者がカトマンズで飲んだ・・吸った?お酒の話は面白かった。
「トンバ」というお酒で、テーブルに運ばれてきたのは、大きな鉢に山盛りになった穀物。
それは色合いからすると「栗」。
そこに竹のストローが付いていて、発酵させた栗の上からお湯を注いで、アルコール分を抽出し、それをストローで吸うという・・(^^;)
ストローには水分は通るが、小さな栗は一粒も入らない仕掛けがしてあるのだそうです。
とっても興味深いです。不思議なお酒。
ストローなので、どれだけの量を飲んだのかもわからない・・(^-^;
ついでにもうひとつ気になった部分。
人だけが物を別の人に投げ、それを受け取るということをするという話。
たしかに動物などが物をバケツリレーのような感じで投げて受取り運ぶだとか、キャッチボールのように投げっこをして楽しむようなこともないと思いました。
昔の造船所の作業で熱くなった鋲を作業員が投げ、それを器具で受取り、組み立てていくとうようなことがあったが、それもまさしく人間ならではのもので、互いの意気というか、心の通うような部分があるのではないかと著者は指摘。私もそう思いました。
身近なところでは、野球のキャッチボール。
あれはどんな選手も一番たいせつなことだと言っているし、私自身も少年の頃に親や兄とキャッチボールしたのは、ただ単純なことではなくて、互いの心を通わせるものだったのではないかと思うのです。
著者の“気づき”方は、実に繊細かつ大胆で面白い本でした。
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