「東京歳時記 今が一番いい時/出久根達郎」を読みました。
『東京歳時記 今が一番いい時/出久根達郎著(河出書房新社)』を古本で見つけ、読んでみました。
著者、出久根さんが上京してからの五十年、四季折々の様々な人間関係やそこにあった風景を書いたもので、それぞれの思い出の冒頭にそのエピソードに因んだような俳句が掲出され、より話に味わいが出ているような、そんな本でした。
内容としては、『俳句研究』に連載された「一句萬象」より、2004年12月号~2007年9月号までをまとめたものとなっていました。
冒頭に様々な人が詠んだ俳句があって、そのあとに出久根さんの人生の機微にふれるようなエピソードが日記帳のように書かれていると、そのエピソードにより深い物語を感じるように思いました。
出久根さんが古本屋を開業しようと躍起になっているときに、「一人では仕入れやその他店を空ける時に困るよ、まずは奥さんを・・」という出久根さんにとっては“回り道”に感じてしまうアドバイスも、その人が出雲土産にくれた「赤い糸のお守り」がきっかけとなって結婚する話がありました。
言われた通りにお守りを財布に入れていた出久根さんがよく行く飲み屋で支払いするときに赤い糸のお守りを落としてしまい、それを拾ってくれた店員の娘さんが「これは何?」と聞いたことから二人の付き合いが始まり、結婚してしまう・・(#^.^#)というお話。
いい話でした。
そこには冒頭に「今年この桜と縁結びけり 村上喜代子」という句が載せられていました。
こんな形の本もいいものだと思いつつ、心に沁みるものを感じながら読了いたしました。
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