「対談サラリーマンの一生 -管理社会を生き通す-/城山三郎・伊藤肇」を読みました。
『対談サラリーマンの一生 -管理社会を生き通す-/城山三郎・伊藤肇(角川文庫)』を古本で見つけ、読んでみました。
1980年に光文社から刊行された「人間学対談」を改題したもので、文庫版は1986年に初版発行、この購入したものは1995年発行のもので、既に14版を重ねています。息の長いベストセラーだったようです。
城山さんは作家、伊藤さんは新聞記者、編集者を経て評論家となり、そのお二人の対談形式でこの本は構成されています。
「サラリーマンの一生」というタイトルになっていますが、対談の内容としては、男が仕事に就き、やがて五十代になり、六十代になり、退職するまでをどう歩み、どう生きていくか、何を支えとするのか、どんな人と付き合うのか、などを語り尽くしている・・そんな印象の本でした。
お二人の共通していた意見としては、二十代は“全力”で仕事をしろ。
そしてその後は100%ではなく、自分なりのペース配分を見つけろ。
いわゆる“左遷”されても「くさるな」、「くよくよするな」そこで与えられた仕事の中から見つけ出せるものがあるからそれに取り組め。
また忙しいからといって「時間が無い」などの言い訳をせずに、自分が取り組める研究や、学べることが必ずあるから、それにも夢中で力を入れろ。
本は読め。読まずして知恵は得られない。
上記のようなことを様々な先人(この対談当時に色々な分野でトップにいる人の例を挙げていた)の言動、生き方を示して弾むような対談をしていました。
人の上に立つ人は、人物さえちゃんと養成しておけば、仕事と金は自然に集まってくる、ともおっしゃっていて、「内閣だって立派な大臣を置けば、政策なんかは自然に生まれてくるはずなんだ。つまらんやつを大臣に据えるからおかしくなる。」とも。
ちょうど今の日本もそんな感じだなと思いました。妙な大臣は変なことしかしない・・。
また、当時はインターネットもまだ普及していなくて、Windowsもこれからという時代。
大きな災害時には、「水と新聞」を人々は欲しがる、と書かれていました。
人は結局、活字になっている情報を見て納得できる。そして活字に飢えている。
新聞からの情報への信仰の強さには驚く・・とも書かれていました。
その状況は、今、インターネットというものがあって様相は変化したと思いますが、それでもネット上の情報の信憑性が災害時に低くなることは今年の災害時にも露呈されました。
被災地で、どういう形で情報を得るのかという問題はまだ解決されていないような気がしました。
昨日だったか、本屋さんがどんどん減少して、それを国が援助していくことを始めるというニュースがありました。
この対談でも本を読むことがどれだけ“人物を”つくるか、“人間”をつくるかということが書かれていて、この本に書かれているようなことをネットで若い人が知るのは、ほぼその機会が無いように思います。
あらためて、本を読むことの大切さを感じながら読了しました。
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