フォト

わたしのいきつけ

無料ブログはココログ

2017/12/18

私の『今年の漢字』

20171217_dictionary01

毎年発表されている「今年の漢字」が世間では、発表されましたが、自分にとっての今年の漢字はなんだろう、と少し考えてみました。・・ま、どうでもいい話題だと思われるでしょうけど、ちょっと付き合ってください(*^_^*)

ということで、今年の「私の漢字」を『焦』としました。
※焦がれる(こがれる)という文字です。

このブログでは宝塚関係のことをよく掲載しているのですが、花組のトップスター明日海りお(あすみ・りお)さんの三人目の相手娘役が仙名彩世(せんな・あやせ)さんに決まり、実際の舞台は非常に充実したものとなり、明日海さんは落ち着いてじっくりと舞台に取り組んでいるように見えます。
これは娘役として仙名さんに明日海さんが“焦がれて”いたのではないかと思ったのです。

それは、雪組の望海風斗(のぞみ・ふうと)さんについても、どうしても真彩希帆(まあや・きほ)さんだったんじゃないかと推測します。“焦がれた”というわけです。・・ほんとかどうかは知らないよ(^_^;)

このあいだ退団された宙組・娘役の怜美うらら(れいみ・うらら)さんは、前のトップスター凰稀かなめ(おうき・かなめ)さんが“焦がれていた”んじゃないかと、これまた愚かな推測をしています。
凰稀さんのここのところのインスタグラムでは、怜美さんが再三登場。
自らの舞台にも呼び寄せているようで、写真を見ても凰稀さんの“焦がれ”を感じます。何度も言うけど、ほんとかどうかは知らないよ…σ(^_^;)

宝塚での「焦」は以上のように考えました。

あとは今年見た映画の中でも、男女の恋愛上の“焦がれ”もあったけど、親子間のものや、他人の状況についてのもの、美しい自然へのものなど、様々な“焦がれ”を感じました。
何か、今、人は“焦がれる”ものを探しているんじゃないかと思うくらい。

読書関係では、作品の内容そのものよりも、著者・作者の探求心や、それを求めていく環境などに“焦がれる”私がいました。
こんなふうに突き詰めていろいろなことを考えてみたい、文にしてみたいと、作者や作者のいる環境に焦がれました。

音楽関係では、相変わらず1950年代後半から1960年代前半のジャズや、1960年代のビートルズの音楽に惹きつけられ、その「時代」の空気に“焦がれ”ました。
これは長年続いているなぁ・・。

そして、自分の人への“焦がれ”。
このブログによく出てくる中学時代の担任の美術の先生の作品への意欲を見ていると、人としての存在に“焦がれ”ました。また、ほかにもガッツリ様々なことに取り組んでいる人とも今年は出会い、やはりここでも“焦がれ”を感じました。

また、今年は数十年ぶりに友として復活した高校の同窓生がいて、あの時代の感覚に“焦がれ”た感覚があります。

最後に、「いい歳こいて」と思われるかもしれませんが、生き生きとして私の目に映る女性にも“焦がれ”ました。別にどうこうなろうというわけじゃありませんよ。でも、そんな気持ちになるというのは、いくつになっても男女には必要なんじゃないか、とあらためて深く感じたのです。

というわけで、今年の私の漢字は『焦』でした。
最後まであきれず読んでいただいた方、ありがとうございました。
あなたの今年の漢字は何ですか?


【Now Playing】 HEART TO HEART / 姜尚中 ( J-WAVE )

2017/12/05

松浦弥太郎さんの「今日もていねいに。」を読みました

20171205_yatarou_matsuura01

『くらしのなかの工夫と発見ノート 今日もていねいに。/松浦弥太郎著(PHP文庫)』を読みました。
松浦さんを知ったのは、NHKのラジオ番組『かれんスタイル』で、桐島かれんさんと共にパーソナリティをされている番組を聞いてからです。
楽しい会話と、まったくの自然体、というのが松浦さんの印象でした。
そして松浦さんは、「暮らしの手帖」の編集長であり、書店を営み、執筆、編集活動もされています。

この本では、松浦さんのふだんの生き方というか、毎日こんなことを考えつつ仕事をし、生活をしているのだ、というようなことが書いてありました。
それは暮らしの中のささいなこと、きょうのプロジェクトは「おいしいハーブティーを淹れられるようになろう」などということだったりします。
だから読んでいて“ほっ”とするのです。

ものを所有することや、趣味をもつこと、仕事などで人と向き合うときのこと、などなど参考になるし、私には無い、ほんとうに“自然体”な生き方に学ぶことが多い本でした。

ものすごく気になったのは、最後の方に出て来た、「無垢な恋心」の章。

人を好きになること、恋をすること。恋する気持ちをいつも持つべきだと思います。
と、弥太郎さん。

「この人すてきだな。好きだな。」心がそうつぶやいたら、無理やり押さえ込んだり、コントロールしなくていいと思います。と、書かれています。

「もし、あなたにパートナー(配偶者)がいるのであれば、恋心は殺さず、「肉体関係を持つ」という一つのゴールを目指さず、「気持ちを伝える」というのをゴールとして定義するのはどうか、と提案しています。

ゴールへの途中の方が楽しいというのは、思いのほかたくさんあります。とおっしゃっていますが、「そうかもしれない、いやそうだな」と私も思いました。
無垢な気持ちでね。

大人になると無償で純粋なものは、暮らしのなかに見つかりにくくなります。
だから、恋心を、唯一“手つかず”の「純粋なもの」として宝物にするのもいいものだと書かれていて、・・私も大事にしたいと思いました。

ふと出会ったときの恋心を消さない・・恋の気持ち、たいせつにします。・・照れるな(*^_^*)


【Now Playing】 ラジオ深夜便 / 桃月庵白酒、須磨佳津江 ( NHK-AM )

2017/11/28

太田和彦さんの「居酒屋歳時記(下)」を読んだ

20171128_kazuhiko_ohta01

『居酒屋歳時記(下)/太田和彦著(小学館文庫)』を読みました。
何度もご紹介している太田さんの“居酒屋本”。
すでにこのブログでこの歳時記の上巻もご紹介していますが、この居酒屋歳時記の太田さん、“いい感じ”ですねえ~(^_^)・・なんというか「枯淡の境地」とでもいうのでしょうか。

カツオ、ニシン山椒漬、トビウオ、シラス、イワシ、油揚などなどの肴をたずねて日本各地を歩き回る太田さん、その“居酒屋文”は“ノリにノって”いますd(^_^o)
読んでいるだけで、もう空想が妄想となり、食べたい・呑みたい状態に突入しそうです。

また、冬の燗酒、冬のおでん、など季節に合わせた居酒屋の楽しみにも太田さんらしいしみじみとした、そして喜びに充ちた表現で書かれています。

さらに「蕎麦屋で一杯」についても“大人の粋”を感じる飲み方を伝授してくれます。
私はまだまだそこまで行っておりませんが、もうちっと大人の雰囲気が出て来たらやってみたい(^_^;)

続いて、銀座、新橋、新潟古町、松本、根津、北陸、小倉、大阪と次から次へと名店、馴染の店を訪ね、お店の方とのいつもどおりの温かい交流や、その店の名物についてもどんどんふれていき、読んでいてわくわくしてきますよ(^-^)/☆

私の行ったことのない店ばかり(当たり前だけど)ですが、ほんとうに行ってみたいお店ばかり。
ぜひこのブログをご覧の“呑兵衛”のみなさんにも読んでいただきたい名著でした!


【Now Playing】 真相深入り 虎ノ門ニュース / 百田尚樹、有本香他 ( YouTube )

2017/11/14

角田光代さんの「月と雷」を読んだ

20171114_mitsuyo_kakuta01

『月と雷/角田光代著(中公文庫)』を読みました。
もうねぇ、疲れたし、イヤになったし、あきれたし、気分は悪くなったしで体力と気力を失う小説でした。
途中で何度か投げだそうとしたのですが、先が気になってさぁ・・(^_^;)

主人公の男は、小さい頃から母親に連れられ、男から男の家を渡り歩く(男を求めるのでなく、ねぐらを求め)母の子としてくっついていく生活。
母親は男に世話になっても家事も何もせず、ただグタグタしているだけ、主人公の子供時代には学校に行こうが行くまいが関係なく、飯はつくらず、そこいらへんに転がっている菓子でも食べて暮らす・・。
家の中はゴミだらけ、散らかり放題。

男とくっついて相手の妻が家を出て行ったところに主人公である子供と共に上がり込み、残された先方の女の子と共同生活していた時代もあった。

その女の子を大人になってから思い出し、訪ねていく主人公。
そこで婚約者がいるのにその女の子とその日に関係を持ち、子供ができてしまう。

主人公は大人になってモテモテだが、「あんたには人間の生活ができない」と次から次へと女は逃げていく。

何かに夢中になったり、情熱を傾けたり、真面目に仕事をするなんてこと考えたこともなく、そういう考えがあることも知らない。やる気になったこともないし、「やる気」という言葉の意味なんて考えたこともない。
そんな登場人物しか出て来ない・・。

「きょう、なんとか乗り切れば、明日になる」それが主人公の母親の唯一の思考。

主人公の男が子供の時以来に訪ねて来て困惑したかつて一緒に暮らしていた女の子はもう大人になっていたが、主人公の男を見たそのとき「ああ、不幸に追いつかれてしまった」と脅えます。・・で、そのとおりになった。

ほとんどまったく救いようのない物語と、登場人物全て。

どこに行っても光は見当たらず、かつて主人公の母に追い出された女も読み進んで行くと、まともな生活をしているのかと思わせておいて、これまた数奇な運命をたどっている。

主要登場人物の心の中から語っている場面がそれぞれにあるが、その心の中は荒廃し、枯れ果て、バサバサに渇いている。

実は以前の職場で毎日、上記のような人達と数十人単位で会うことがあった。
その人達の感覚が皮膚感覚的にわかった。

収穫というか、この小説を読んで感じたことはそれだけだった。
でも、何か・・奥の深いところまで入って行って、何かを見つけたような気がした。


【Now Playing】 スピリタスのご紹介 / うめやぶろぐ ( YouTube )

2017/11/06

「だれかのことを強く思ってみたかった」を読みました。

20171105_kakuta_sanai01

『だれかのことを強く思ってみたかった/角田光代・著、左内正史・写真(集英社文庫)』を読みました。写真集的にもなっているから“見ました”もありますけど。

この本は一年間にわたり、角田光代さんと写真家の左内正史さんが東京の街を二人で巡り、水族館や住宅街、東京タワー、駅のホームなどの写真を撮り、それと共に角田さんがその街の風景のイメージで書いたそれぞれの短い物語のようなものが付されている構成です。

左内さんの写真は、人が多く写っているものでも、なんだか沈鬱な様子を感じさせるのです。
それがまた、人々が黙々と日々の生活をしていることを逆に感じさせてくれて、この写真を見ているだけでも心に感じるものがありました。

そこに付け加えての角田さんのショート・ストーリー的な文が男と女の関係や、友との関係、母親や祖母との関係、さらに幼い頃のピアノの先生への想いなど、様々な人生模様を感じさせてくれて、一冊読むと、人生の哀しさみたいなものが浮き上がってくるような気持ちになりました。

ブックオフで手に取り、風変わりな本だけど、気になって買い求めたものでした。

東京の街の中に“ぽつん”と一人居る・・そんな心象風景をもたらす不思議感覚の本でした。


【Now Playing】 嶌信彦 人生百景「志の人たち」 / 西原智昭:野生生物保全協会技術顧問 ( TBSラジオ )

2017/11/04

荒木陽子さんの「愛情生活」を読んだ

20171104_yoko_araki01

『愛情生活/荒木陽子著(角川文庫)』という本を読みました。
この本は1977年に刊行されたものに写真を一部増補してこの2017年に文庫化したものです。20年ぶりに再度日の目を見た“傑作エッセイ”と言ってもよいものだと思いました。

荒木陽子さんは、1971年にあの写真家のアラーキーこと荒木経惟さんと結婚し、1990年1月に子宮肉腫のため死去。
もちろん荒木さんの写真集には登場するし、荒木さんの写真と共にコラボして陽子さんの文も載せられている作品も出ています。

私はアラーキーの写真には、いろいろなところで出会い、目にし、様々な衝撃を受けてきましたが、その奥さん、陽子さんがどういう方だったのかは、時代的にもちょっとずれているためよく存じ上げませんでした。

しかし、この陽子さんのエッセイを読んで、単にアラーキーと夫婦生活を送ってきた配偶者というだけではなくて、この人自体が芸術的な生き方をした人だったのだな、と思いました。

映画に音楽に、そしてお洒落して出掛けることに、出掛けた先の料理に、旅行先で見たもの、出会ったもの、肌に感じたもの・・それらが陽子さんの目に、文に掛かれば、キラキラとリアルに動き出し、エッセイという文章からこれほど生き生きと、しかも情報量多く感じ取れたことはかつてなかったように思います。
だから、こうしてブログを書き続ける自分にも、とても勉強になりました。
特に過去の旅行先でのお店の様子や登場してきた人、細部に渡ることが子細に渡って書き記されていて、その記憶力にも驚きました。
私もそういうことを書くことがありますが、いつも曖昧な部分が多く、これについては特に心に残りました。子細な記憶と、記述がよりいっそう文章をリアルに、生き生きとさせるものだと痛切に感じました。

また、陽子さんが、例えば映画を見たときに、ストーリーそのものよりも、着ているものや、表情、登場人物に対する自分の考え方などについてストレートに書かれているのにも、俯瞰的でなく、自分の感性にピンポイントで見ていて、これもまた心に残りました。だから、その文章自体も読者の心に残るのだと、つくづく感じたのです。

最後に、陽子さんはエロいっ!!
時に、女が持つエロティックな部分が、ねっとりと、ヌメッと現われる文があるのですが、それがまたたまらん!
アラーキーが惚れたんだからそういうことでしょう。アラーキーも時にはタジタジとなっておりました(^_^;)

中身の濃い、しかも女性の感性の素晴らしさにあらためて驚きを感じた名エッセイでした。


【Now Playing】 Almost Hear You Sigh / The Rolling Stones ( Rock )

2017/10/30

なぎらさんの「東京酒場漂流記」を読んだ

20171029_kenichi_nagira01

『東京酒場漂流記/なぎら健壱著(ちくま文庫)』を読みました。
ブックオフで108円!値段もなぎらさんぽくていいでしょd(^_^o)

この本は、いわゆる「居酒屋の名店」みたいなものの紹介ではありません。
それじゃ“なぎらさんぽく”ないものねぇ。
出てくる店は安くて、“変なもの”が出て来たり、変な客が出てくるところばかり。
そしてなぎらさんが醜態をさらす場面も多々(^_^;)
・・だからおもしろいんだよ。

なぎらさんが、友人でイラストレーターの栗山邦正氏と組んで“飲み歩き”、ほとんどが“珍道中”的な様子を文とイラストで綴ったおもしろ本なのです。

この本に出てくるお酒の基本は「酎ハイ」と「ホッピー」。
そりゃそうだろうという感じ(^^;)

おでんはもちろん関東風のつゆが濃いヤツ。
紹介される店の中には怪しく狭く、トイレは外に工事現場にあるようなのがあったりする。
先輩にあやしい店に連れていかれ、「牛トロの刺身」というものを食べさせられるが、いったい牛のどこの部位なのかも店主は教えてくれない、「うまいんだからいいんだよ」というお言葉に「ごもっとも」としぶしぶ食べるが、こりゃうまい!みたいな話もある。

下町では「焼酎の梅割」はコップに焼酎を入れた後に、少量の梅のエキスを注ぎ込むだけのもの。梅の香りのする薄茶の液体は、甘く、合成香料・合成着色料等を調合した合成シロップみたいなもの・・だという。
正当派の方が“いかがわしい”っていうのも下町らしい。
それをビールをチェイサーにして呑んでいるオヤジがいる風景、すごい。

山谷といえば、なぎらさんのようなフォークシンガーには歌に出てくるかけがえのない場所。で、行ってみると、とてもすごいところで午後も4時になると飲み屋は満員で、すでに酔いどれて歩道に寝ている作業服を着たおっちゃんもいる。
「ちょいと跨がせていただきますよ」といいながらおっちゃんを跨いで飲み屋へ、なんてシーンもありました。

真っ黒に日焼けした男共がピーナッツやら、イカのゲソの佃煮などをつまみに飲っている姿も描かれていますが、それもなにか呑兵衛のなれの果て的な光景で印象深かった。

有楽町に行くことが多い私ですが、有楽町駅改札からすぐそこのガード下に「自販機立ち飲み」というすごいジャンルの立ち飲みがあります。名前は「食安商店」!!!

ここは場所柄、作業員ぽい人たちではなく、サラリーマンなどが多いのですが、夏などはスーツのまま歩道に座り込み自販機で買った酒を片手に、さらに自販機で買った乾き物のつまみなどもやりながら、要するに「飲めりゃいい」という究極の飲み方がまかり通っているところです。

ここで飲むってことは呑兵衛の終着点なんじゃないでしょうか。・・と、いつも思ってしまうのです。
たぶん私がここで飲むことはないとは思いますが、噂では東京勤務時に、他市同業で上品で優秀なマダムがいたのですが、その彼女がここで一杯やっていたという・・。ほんものの“呑兵衛”なのか、何かつらいことがあったのか・・。

いずれにせよ、有楽町に行ったらぜひ一度、夜にここをのぞいてみていただきたい。
酒というもの、酒を飲む人について何かを感じることができるでしょう。

きょうは話がいろいろ飛んできたので、ここでおしまいっ!


【Now Playing】 きらくら / 遠藤真理・ふかわりょう ( NHK-FM )

2017/10/26

「ちろりん村顛末記」を読んだ

20171026_keiichi_hirooka01

『ちろりん村顛末記/広岡敬一著(ちくま文庫)』という本を読みました。
夏に鎌倉に出掛けたときに鎌倉駅近くの独特の品揃えの本屋さんで買い求めました。
そこでは、すでにこのブログでご紹介済みの「女の足指と電話機/虫明亜呂無著」も併せて買い求めました。
この二冊だけでも“ム・ム・ム”っていう感じです。

「ちろりん村」というのは、1970年代に琵琶湖畔の田園地帯に突如出現したソープランド街です。
当時はソープ・・とは呼ばず、別の名前で呼ばれていました。

突如出現した通称“ちろりん村”は世間の耳目を集めたそうです。
なにせ、なんにもない田んぼだらけの中に突然異様な建築物と共に一大歓楽街が出現し、その行く末がどうなるのか・・うまくいくのか、すぐに消滅してしまうのか、吉原や千葉の同業歓楽街も注目していたことが、この広岡さんのルポを読んでよく伝わってきました。

ルポの中心は、当時トルコ嬢と呼ばれたちろりん村の従業員?!と、それを経営したり、お店の従業員となっていた男性の「なぜこの仕事を選んだのか?」という根源的なところから入り、読んでいるだけで滅入ってしまいそうな困難ばかりの生き方、そしてそれらをどう切り抜けて、あるいは泥沼から這い出るようにこの業界にたどり着いたのか、というものでした。

特に女性従業員は、家族との関係が悲惨だったり、男に騙されたり、貢いだり、ちろりん村で大金を稼ぐようになってからは想像を絶する湯水のような金の使い方、そしてせっかく大金を稼げるようになったところで、いわゆる“ヒモ”が現われ、稼ぎのほとんどをこの何もしない男に使われてしまう・・読んでいるだけで、人生の悲哀、無常を感じ、人生というものの陰を大きく意識したのでした。

経営する側は官憲に脅え、全盛期には信じられないような儲け方をしているにもかかわらず、いつ警察に挙げられるのか、いつ廃れてしまうのかに気を揉み、やはり常人には考えられない明日をも知れない世界に生きている姿が印象的でした。

この業界はやがて、どんどん下火になっていくわけですが、最初の一店から隆盛を極める様子、そして衰退していくところが『風俗ルポの最高傑作』と言われるこの本には著者広岡氏の思い入れが入り混じりつつ描かれています。

日本のひとつの時代、風俗を見事に切り取ったルポだと思いました。


【Now Playing】 ニュース / NHK ( AMラジオ )

2017/10/17

太田和彦さんの「居酒屋道楽」を読んだ

20171017_ota_kazuhiko01

『居酒屋道楽/太田和彦著(新潮文庫)』を読みました。

居酒屋道楽の達人、太田和彦さんの東京から東北、横浜から大阪へと訪ね歩く居酒屋のお話。
今回は、編集の担当者と居酒屋めぐりをしているものが多いせいか、より私のような居酒屋にまだまだ慣れていない者にも店の様子や、酒、肴のことが具体的に身近に書かれているように感じました。
太田さん自身についてもかなりリラックスしているように思いました。

また、担当が若い女性に変わると、とまどいつつも俄然うれしそうな太田さんの様子がこれまた“可愛い”・・失礼・・(#^.^#)

さらにあやしい探検隊などで行動を共にしてきた椎名誠さんとの飲み会の様子も楽しく拝見しました。
やはり、一歩ひいているんですね、太田さん・・(*^_^*)
“男呑み”をする椎名さんの様子もカッコイイし、椎名さんがこれとこれっ!って決めた肴に小声で店員に「サザエのつぼ焼きも・・」と追加で頼み、ギロッと椎名さんに睨まれる太田さんの姿もおかしい(^^;)

ビアホールの街といも言える銀座の名店それぞれも、かつて資生堂に勤め、銀座を庭のようにしていた太田さんの文は冴えます!
銀座の老舗ビアホール、行ってみたくなりました。

また、バスや都電に乗って居酒屋めぐりをする企画も楽しく、どんどん「はしご」していく太田さんとその一行は“酔いどれ”て、これまた呑兵衛にはうらやましいような様子が描かれていました。

下町には下町の流儀にしたがい、ちょっと小洒落た店では粋な酒や肴の愉しみ方をする、達人・太田和彦さんは健在です。
こんなふうに10年後くらいになりたい・・なんて思うこの頃です(゚ー゚*)。oO


【Now Playing】 ニュース / NHK ( AMラジオ )

2017/10/11

村上春樹の「雑文集」を読んでみた

20171009_haruki_murakami01

『雑文集/村上春樹著(新潮文庫)』という本を読みました。

音楽の話や、人生の話、若い頃の思い出話、文学賞受賞の挨拶文、その他著者の村上氏が“雑文”と読んでいるものが多数収録されていて、未収録・未発表のもの、没になった文なども含まれていました。

もともとあまり村上作品を読んでいない私がなぜこの本を手に取ったかというと、氏にとってのジャズについて書かれた部分が立ち読みで目にとまり、「すごいな」と思ったからです。
ジャズ評論家やオーディオ評論家の評論なども本や雑誌でよく目にしている私ですが、氏の文章は突っ込みどころが異なっています。

妙に専門的な解説みたいな文にはよく出会いますが、この本でのジャズへの著者の関わり方はよくいる日本のジャズファンみたいな感覚ではありませんでした。
今回のこの本の文でいうと、アメリカ側から、そしてニューヨークの当時の一流ミュージシャンから見たジャズについて書かれていて、単に“ジャズがいい”っていうんじゃなく、ジャズという音楽そのものが人々にとってどう受けとめられているのか・・という、私が今まで考えてもみなかった視点で書かれているのです。

それに付随するオーディオについても、氏はJBLの古いスピーカーを長年使用しているのですが、「いい音を追求する」ということであれば、現在出回っている高級品を揃えれば手持ちのシステムよりも格段にいい音と言われるものが出せるだろうが、自分の求めている音はそういうものじゃないと、現在のシステムで奏でられる音への自らの満足感について読んでいるこちらにもわかりやすく書かれています。
その表現も見事だと思ったのです。

ついこのあいだノーベル文学賞を取られた「カズオ・イシグロ」の作品についてもふれています。
イシグロの作品は礼拝堂の広大な天井や壁の絵画のようであると表現しています。

そして発表される個々の作品はほんのその絵画の一部を提示することに似ていて、やがては構築されるであろう宇宙のように広がった作品を眺望するような感覚であると書いています。
それが感動や興奮をもたらすのだと言っていて、そうか、そうなんだ・・と、思わずうなずいてしまいました。

収録されている文には、私のまったく興味のない分野も多々あって、それらについては、村上氏独特の表現がかえって足かせとなって理解し難く、読んでいてつらい部分もありましたが、それでも他では得られないものをこの本からもらったような気がしました。

・・カズオ・イシグロ作品に対しての記述はまさにタイムリーで、驚きました。


【Now Playing】 石が語る美の世界 / 山田五郎・絹谷幸太 ( NHK-FM録音 2007.9.16 )

より以前の記事一覧

2017年12月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

最近のトラックバック