「コンビニ人間/村田沙耶香」を読みました。
『コンビニ人間/村田沙耶香著(文藝春秋)』を読みました。
2016年に芥川賞を受賞された作品で、読みたいと思っていたのですが、基本的にこういう有名な賞の受賞作品は読まない、または読みたくなった場合は5年以上は間をおいて、世間が忘れたころに読むことにしておりまして、今になって古本を手に入れて読んでみました。
主人公は幼い頃から世の中の“枠”というか、社会の掟というか、そういうものに馴染めない・・というよりも、その“枠”のようなもの自体を理解できない女性でした。
それがどうやら社会的には問題有りだと気づいた主人公は学生時代を友人などとはほとんど関わり合いを持たずに過ごして何とか切り抜け、でも就職が出来ない。
しかし、コンビニのアルバイトに関しては、本人がコンビニの“一機能”としてシステマティックに働くことが出来、なんとか生活していくという物語でした。
そんなにして何とかやっていても、どうしても社会の“決まり事”のようなものの考え方で主人公は括られようとされ、困ってしまうのです。
ストーリーを書いてしまうと営業妨害になるのでそれはしませんが、読んでいてこの当時でもこのような人はたくさん実際にいたのではないかと思い、さらに今現在はどんどんこのように日々流れていく社会の中で苦しんでいる人って確実に増えているだろうと思いました。
この物語の主人公も独身のままコンビニアルバイトを大学生時代から三十代半ばを過ぎてもやっていて、コンビニの仕事中心に動いていれば、なんとか社会の一角で生きていける・・というような状況になっていました。
世の中、「少子化問題」だなんて言って、いろいろと対策を考えているようですが、収入などの経済的問題や子育て環境の整備を考える前に、日々生きていることだけでもたいへんな思いをしている個々の人達の内面的な部分にも心を寄せる必要があるのではないかとまで考えてしまいました。
今の世の中、生きているってことだけでその意味を自ら問うたりするようなご時世だと強く思います。
どちらかというと、“変な人たち”がなんだかいい思いをしているような、“いびつな”世の中に生まれたこと自体が苦悩の根源になっているんじゃないかと・・。
いろいろ考えましたが、たぶん何度か読み返すと、またちがった感想を持つんじゃないかとも思いました。
だからきっと賞を取るような作品になったのだと思います。
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