嵐山光三郎さんの「文人悪妻」を読みました。
『文人悪妻/嵐山光三郎著(新潮文庫)』を古本で見つけ、読んでみました。
この本は2007年にマガジンハウス社から「人妻魂」として刊行されたものの改題で、2012年に文庫化されたものです。
改題されたタイトルは「文人悪妻」となっていますが、出てくる妻たちは文人の妻だけでなく、世に知れた“有名人妻”たちも取り上げられています。
いろいろな“悪妻”が登場しますが(悪妻じゃない人も何人もいました)、花柳界出身者からお嬢様、華族出身、さまざまな「妻」たちの一生が描かれていました。
男を渡り歩く妻、淋しい美貌妻、不倫を重ねる妻、浪費がとまらない妻・・などなど^_^;さまざまな女性の生涯を垣間見ることができました。
それにつけても“文人”だなんて言って、夫の方の文学者を中心とした“男ども”も、“碌なもんじゃない”輩ばかりで、呆れる人ばかりでした。
あの有名な文人の話ももちろん載っていました。
奥さんの妹さんに手をつけ、さらに奥さんを後輩の文人に“譲渡”し( ゚Д゚)、それを公に文書にして掲載するなどという・・強烈な話もありました。
心中を迫る妻もいました。
相手は、問題もなく過ごしていた文人の男性でしたが、愛しているのならできる・・という迫り方に押されて、本当に心中してしまう話もありました。
夫と一緒に自らの愛人を二人家に入れ、共同生活をし、夫には指一本触れさせない“あの妻”の話も書かれていましたが、凄まじ過ぎて読んでいるこちらが疲労感でいっぱいです・・。
酒ばかり呑んで、旅に出ては歌を詠み、年に数度帰宅してはそこでまた呑み、当然の早死にした夫の遺体を前にしてコップ一杯の酒をとりよせ、唇をしめし、子供たちにもそれをならわせ、順次並んで供養し、“末期(まつご)の酒”とした話もありました。
さらに棺の中に酒をなみなみとついだ盃をいれて
「これを唇のそばに置きます。ご安心なさって、お静かに悠々と」と語りかけた・・という・・。
この強い妻は、夫の死後(このとき妻四十一歳)強い意志で歌づくりに精進していき、その活躍は夫が没してからが旺盛だったようで、八十歳で亡くなっています。
こんな話が満載のこの本、我々凡人には参考にもならないと思いきや、いやいや事の大小はあれ、どの夫婦にも潜在している問題があるのでは、と考えながら読了いたしました。
私の妻は「悪妻」でしょうか、「良妻」でしょうか(^^;)
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