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2019/08/21

夏井いつき先生の「子規365日」を読んだ。

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『子規365日/夏井いつき著(朝日文庫)』を読みました。

これはあのテレビ番組「プレバト」で芸能人などがひねる俳句に厳しくも温かい眼差しで批評を加える俳人「夏井いつき」先生が『正岡子規』の俳句を一日一句365句、すべて異なる季語で味わうという本です。

子規の俳句を、あらためて子規のものだと感じつつ味わったのは、とても新鮮な経験となりました。
夏井先生とは同郷なんですね。
テレビでもよく見られる、あの“気っぷ”のよさも感じさせる名調子も登場するし、また、苛烈な人生であった子規の病状とともに、こちらの胸もしめつけられるような句には、先生の感性あふるるような感想も書かれていました。

いわゆる研究本としてではなく、子規と同じ実作者として自由にその句を楽しむという企画だったのでこの仕事を引き受けたと書かれていました。
なので、先生、“書きたいように”書いていて、読んでいるこちらも実に一句、一句を楽しむことができました。


いくたびも雪の深さを尋ねけり

・・雪が積もったら明日は遊べるよ、とよろこぶ子供の様子かと思うと、結核性脊椎カリエスの診断を受け、痛みが激しさを増し身動きすらできなくなる子規が尋ねているのだとわかり、驚きとともに感動がしみじみと深くなります。


水入れの水をやりけり福寿草

・・福寿草の鉢、仕事机の上に置くと空気が明るくなる。子規は病床から見上げているようだが、「水入れ」は硯箱(すずりばこ)と共に枕元に置いて愛用していたもので、硯に落とす水が余れば、ちょいと福寿草にもお裾分け、という寸法です。こちらも優しい気分になれました。


子規は、34年の短い生涯で2万4千句も詠んだそうで、全て別々の季語で365句を選んだため、載せられなかった夏井先生の愛唱句も沢山あったようですが、それでも一句・一句が心に、身体に、沁みてきました。

とても心地よい本でした。


【Now Playing】 Chilly Winds Don't Blow / Nina Simone ( Jazz )

2019/08/10

休日に長女と出かけた「スペインの現代写実絵画展」

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朝起きて、比較的体調も良さそうだったので、千葉市緑区あすみが丘の「ホキ美術館」で開かれている「スペインの現代写実絵画展」に出かけることにして準備していると、長女が「私もそれに行きたかった」ということで、二人で出かけることにしました。

昨秋はこのホキ美術館からバルセロナに作品が出ていって、今回は交換ということでスペインから現役59作家の作品がやってきての公開です。

 

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ホキ美術館のいつもの作品だけでも驚きの連続ですが、スペインからの作品はさらに奇想天外な作品ばかり!
見応えありましたぁ( ̄O ̄;)
長女も熱心に一つ一つ作品を見ていました。
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じっくりと写実絵画の数々を堪能したあとは、帰路途中、同じあすみが丘にあった、ちょっとレトロな喫茶・レストラン「び~んず Beans 」で食事しました。
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初めて入ったけど、入り口も店内もなんだか懐かしい感じ。
長女は「昭和だね」と言っていましたが、そうか、これは“昭和レトロ”な感じなんだな、と思いました。
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長女は“若鶏の香草焼き”、私は“イタリアンハンバーグ(これも昭和的?)”を食べました。

長女と美術館での作品を思い出しながら話をして、そして楽しく食事して、いい気分で帰ってきました。

6月末に私が倒れた時に一緒に救急車に乗り、病院に着いてからも必死に面倒をみてくれた長女でしたが、ゆっくりと二人で話ができました。
いい一日になりました。

 

2019/08/03

「Jazz Festival in とみさと」に出かけてきた

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いつもこのブログに登場する私の中学時代の担任の先生から電話があり、「職場に復帰したようだけど、大丈夫か?心配して電話掛けちゃったよ。」と、まずは気遣っていただき、恐縮。そして安心してうれしい気持ちに。

で、「ジャズでも聞いてみるか、これはいいぞぉ、土曜日に身体の調子が良ければ来てみるといい、オレも行くぞ」・・というわけで、今朝起きて、体調はまあまあだったので、富里市は遠いけど出かけてみました。

コンサートのメインは県立富里高校のジャズ・オーケストラ・クラブ。
コンサートの初っ端の挨拶で全国一位になったと報告がありました。普通の県立高校で、特にスカウトなどしているわけでもなく、今年の新入生も初めて楽器を持つ生徒がほとんどなのに、今日のコンサートではそれぞれがソロパートを任されていました、すごいことです。

このコンサートの前には、あの世界でも有名なモンタレーのジャズ・フェスティバルに招待されて演奏してきたそうです。いやもうこの田舎の畑だらけで“スイカ”しか名物がないような場所の高校生達とは思えない(^_^;)・・いやいや、失礼、たいしたもんです!

もうこのコンサートは富里という地に根付いている、地元と密着している素晴らしい文化拠点になっていました。

 

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サックスのポール・コントス、ベースのパット・グリン、テナーのティム・アマスコット、日本人ではピアノの椎名豊、トロンボーンの片岡雄三、トランペットの篠原正樹(富里高校ジャズ・オーケストラの面倒を見ている)、ドラムの広瀬潤次らが途中、この高校生に混じって熱狂の演奏!第二部ではこのプロの面子のコンサート、さらにラストではOBのハイノーツ・ジャズ・オーケストラも加わって全員で圧倒的な演奏を繰り広げました。

高校生による「マイルストーン」や、あの「モーニン」、ハービー・ハンコックの「ライオット」という複雑で難解そうな曲まで演奏され、ただただ驚きました。
その演奏されているジャズには心に訴えかけてくる何かが“大増量”・・大盛りで込められていました。
恥ずかしながら何度も涙が流れました。これが音楽だ、これが人間が演奏することの素晴らしさだ、とあらためて深く感動したのでした。

そして、このコンサートをおしえてくれた先生にも大感謝です。
病み上がりの元生徒に(しかも、もういいオジサンだ)、電話を掛け、こうして元気が出るようなことに誘いをかけてくれる。こんなこと・・自分に出来るだろうか。

身体はまだまだ“ふらふら”しているけど、でも心は元気になりました。
先生、ありがとう。

2019/07/17

永井義男氏の「春画でたどる東海道五十三次」を読んだ。

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『春画でたどる東海道五十三次 -江戸の宿場の「性」模様-/永井義男著(河出新書)』という本を読みました。
著者は作家で江戸風俗研究家、「算学奇人伝」で開高健賞を受賞し、「幕末一撃必殺隊」「下級武士の日記でみる江戸の性と食」など著書多数です。

この本は、東海道五十三次の当時の旅のもうひとつの側面にふれるもの。
江戸時代は吉原などの遊郭の遊女は公許(公認)で、しかも宿場にいる飯盛女(めしもりおんな)と呼ばれる遊女も公許だったわけで、当時の社会背景ににそういうことがあったことを念頭に読まなければなりません。

五十三次それぞれの宿場は、こんな様子で飯盛女が堂々旅籠の表で見えるように化粧をしたり、お客を誘うように存在していた、とか、それを目当てに入る旅人も、昼日中堂々とそこを出てくる人達も全然悪びれるでもなく日常のことのように出入りしていた、と書かれています。

長崎のオランダ商館に医師として着任したシーボルトは、江戸参府に同行した際に、品川宿を通過。駕籠の中から旅籠屋を娼家と見なし、そこから白昼それなりの身分と見受けられる男が珈琲店から出てくるように平気で出てくるのを見て驚愕していて、そんな様子も書かれていました。

当時の文化では、男が遊女と遊ぶのはべつに罪でも恥でもなく平気だったということです。

この本は、そんな当時の様子を春画と共にあれやこれやと紹介しています。

多くは遊女や飯盛女との秘め事が描かれているのですが、男女の“ご愉快”は、それにとどまらず、旅籠で仕事をしている普通の女性、村で畑仕事をしている女性まで“おたのしみ”中・・しかも旅人の男だけでなく、女性の方もそれなりにたのしんでいる様子が描かれています。
つまり、当時の日本人って、とてもおおらかというか、性は解放されっぱなしみたいな状態です。
これが、芸能人が不倫したと目をつり上げている同じ日本人だとは思えない。
自分とは関係ない他人の芸能人の不倫にまで激怒している人は、まさに新人類的であるな、と私は感じました。

旅籠の部屋の仕切りは襖や屏風のようなものだけだったりして、読んでいると平気で隣室の男は夜這いをかけます・・あらかじめ声をかけて互いに目配せ、予告編のようにしている二人もいた・・。

なんというか、堅物というか、生真面目というか、現代のギスギスした男女関係の中にある多くの日本人には想像を絶する世界が繰り広げられていましたが、はっきり言って私は“江戸派”(^_^;)好きになるのに理由はないし、興味を持つのにも理由はない。
自分の思いのたけ、プッシュするのが本来の日本人なのではなかろうか!と放言しつつ今回は終了。

2019/07/13

立川談志に聞く「人生、成り行き」を読んだ

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『人生、成り行き -談志一代記-/立川談志・聞き手:吉川潮(新潮文庫)』を読みました。
私の体調が戻りはじめ、ベッドから降りることが許可され、トイレにも行けるようになった頃に読みました。

7年くらい前の文庫発刊で、ブックオフで見つけておいたものです。

噺家として弟子入りした(お師匠さんは、あの小さん師匠)頃から他を圧して噺がうまかったと自画自賛しているが、実際にそうだったのは事実で、寄席だけでなく、キャバレーやその他テレビなどにもどんどん進出していたらしい。
そして、その後もそうだったが、生意気であったのも間違いなかったようです。

その頃のハチャメチャぶりを読んでいるだけでも面白かった(結婚、志ん朝に真打ち昇進の先を越される、政治家になっちゃった、選挙戦のおもしろ話などなど)のですが、この聞き書きでもっとも迫力があってリアルに伝わってきたのが、あの落語協会分裂、立川流創設の話でした。

騒動のさなかで右往左往する落語家達、師匠との関係(師匠には優しい眼差しも持っているが、その器と行動には諦めも感じていた様子)、そういうことがあってからの落語そのものに対する自己にも厳しい突き詰め方には今さらながら驚きました。

性分だから仕方ないのかもしれませんが、そんなに極めようとして落語の向こう側の扉までこじ開けようとしている姿には、「そうまでせんでも」・・と私は思ったのですが、でもそれが談志の魅力であったわけで・・。

弟子の志の輔さんのことを褒め、やがては自分の今考えている領域まで来るよきっと、などと話していますが、それを聞いている志の輔さんは戸惑っています。
そこまで行っちゃうと、もうそれは落語というジャンルではなくなってしまいそうです。

あとは亡くなった志ん朝師匠へのライバル心が其処此処で見えてきます。
志ん朝師匠が何人もの先輩を差し置いて、先に真打ちになることが決まったときに「お前辞退しろ」と言いに行ったり(^_^;)、「いや、兄さん、あたしは実力でみんなを抜いたと思ってる」と言われて、ぎゃふんとなり、「うん、立派だ」と思ったり。

結局、談志さんは自分とは異なるジャンルの噺家だ、ということで無理やり自分を納得させていたのが見てとれました。

談志師匠の本は数ありますが、この本はガチンコで本人から聞き書きした芯の通ったものでした。立川談志に興味のある人にはおすすめ本です。

 

【Now Playing】 ナイツのチャキチャキ大放送 / やくみつる他 ( TBSラジオ )

2019/07/10

「体験的骨董用語録/中島誠之助」と「この骨董が、アナタです。/仲畑貴志」を読んだ

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私が妻にお願いして家から病院に持って来てもらった『体験的骨董用語録/中島誠之助著(ちくま文庫)』と、それを持って来てくれるときに、「これを読みたかったのなら、私の持っているこの本はどう?」と併せて持って来てくれた『この骨董が、アナタです。/仲畑貴志著(講談社文庫)』を同時並行的にベッドで読みました。

『体験的骨董用語録』は、あの「なんでも鑑定団」でお馴染みの中島誠之助先生の著書です。
これはまさに骨董の“字引”です。
先生が番組中によく使っている骨董界での用語についてアイウエオ順に解説されているものです。

書きっぷりというか、この本での語り口は字引なのに、あの番組での“名調子”そのままに軽やかに、粋な感じで最後はちょっとユーモラスにピシッとしめる感じで、とても心地良く読みやすいd(^_^o)

たとえば、ニュー〔入〕などという表現もよく耳にしますが、英語でいえばヘアークラック、やきものについたヒビのことだと書かれています。放置しておけばわずかなニューでも器の中心に向かって進んでしまう・・などと書かれていました。
私も「この皿にはニューがあるね」などと骨董市などで使ってみたいものです。

アイテメキキ〔相手目利き〕は、自分では真贋がつかず、相手の鑑識を頼りに商売をする場合、または、偽物とわかっているのに、相手の勝手な見解にまかせて売りつけることでもある、と書かれていて、骨董界の内情というか、機微みたいなものも感じさせます。

イドヂャワン〔井戸茶碗〕などについては、かなり詳しく解説されていて、見ていて飽きない、そしてちょっと骨董知識が豊かになって、“にわか”ですが、骨董通気取りができる本でした。

 

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そしてもう一冊「この骨董が、アナタです。」は、あの有名なコピーライター仲畑貴志さんが書いた傑作骨董エッセイとなっておりました(*゚▽゚)ノ

妻にこの本を手渡されるまで、仲畑さんが骨董の世界にずっぽりとハマっていたことを知りませんでした。
いやもう、たいへんな“ハマリよう”でした。

初心者のうちの、モノを手に入れる度の“一喜一憂”は、有頂天からジェットコースターなみの地獄への墜落の様子が手に取るようにわかり(^^;)それは本人にとっては人生の一大事なのに、読んでいるこちらは愉快に笑ってしまうという展開で、そんな面白話ばかりが、色々な骨董を手に入れる度のエピソードと共に語られています。

これを読んでいると、先ほどの中島先生の骨董字引に出ていた専門用語が満載です。
字引を引きつつ楽しませてもらいました。

大の大人が、骨董品を手に入れる度にうっとりしたり、人から妙な茶々を入れられて落ち込んだり、私はせいぜい骨董市で安いものにちょっと手を出すくらいですが、その魅力は底無しなんだな、と思いました。

あまりに面白いこの本、骨董ちょっと好きな方でも読んでみてほしい、そんな内容でした。

2019/07/09

「名画は嘘をつく」を病床で読んだ

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入院して最初の数日はベッドに寝たきりだったので、文庫を片手で少しずつ読んでいました。ほかにすることもなかったもので。

で、『名画は嘘をつく/木村泰司著(ビジュアルだいわ文庫)』を読んだのです。

まずは私の西洋美術における絵画というものの理解がそもそもあまり無かったことにすぐに気づきました。
14世紀に始まるルネッサンス時代には西洋美術は彫刻から絵画の時代になっていくのですが、そもそも絵画は「ある一定のメッセージ」を伝えるという目的があったということに、何となくは気づいていたのですが、それがメインの目的だとは思っていなかったこと、それが私の理解不足でした。

現代の芸術って、制作者の内面世界を表現することが当たり前だと思いますが、実は上記のようなことがあって、“伝えるべきこと”を伝えているかが当時は重要なことだったのですよね。
それを踏まえての「名画は嘘をつく」というこの本の成り立ちがあるわけです。

嘘の種類にもいろいろありました。

〇タイトルの嘘・・タイトルになっているのは後付けで、実は全く異なることを描いていた。
〇モデルの嘘・・かわいい女の子に見える絵が、実は男の子だった。

その他王室の嘘、景観の嘘、設定の嘘(史実とは異なる設定で描かれている等)、画家の嘘、見栄の嘘、見方の嘘、天界の嘘、ジャンルの嘘、などなど、もう・・嘘だらけ(^_^;)

こういうのを研究し、歴史的な背景などを探索していくと、西洋美術史を研究している人は、もう“たまらん”というくらい興味が尽きないのでしょうね。
私も読んでいて「へぇ、そうなんだ、知らなかった」ということばかりでした。

宝塚でも人気のある皇后エリザベートの肖像(フランツ・ヴィンターハルター)も、美しく描かれ過ぎているという著者の指摘がありました。
でも・・私からしたら実物の写真も残っていて、実物の方が美しく見えちゃうんですけどねぇ・・…σ(^_^;)

有名なムンクの「叫び」も、実は描かれたあの悲痛な表情をした人物が叫んでいるのではなく、耳をふさいで叫びから自分自身を守ろうとしているのだと知って驚きました。
そんな話、初めて聞いたもので。

というわけで、西洋美術に疎い私でも知っている名画の数々がどのような背景で、どのような“嘘”を含んでいるか、画と文を交互に見ながら、「あらそう!」などと言いつつ読むことが出来ました。
私のようにあまり美術に詳しくない人でも興味深く読むことができる本でした。

2019/06/02

西千葉で開かれている「造形あそび4人展」に行ってみた。

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『造形あそび4人展・2/南隆一・高橋みどり・三枝明子・望月純』・・千葉市中央区汐見丘町16-13タリアセン汐見1F【街角ギャラリーどち】で開催・・に出掛けました。
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昨年も行われたのですが、今年も面白かった。

タイトルに“あそび”とうたわれているとおり、色とあそび、形とあそび、言葉とあそぶ、そんな雰囲気がギャラリー内にあふれていました。
この4人展には、いつもの私の中学時代の美術の先生で担任だった南先生も入っています。

 

 

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写真はそのほんの一部ですが、不思議な楽しさは伝わってくると思います。

“がっちがち”の芸術的な作品もいいですが、こうして楽しい作品を面白がりながら見るのもいいです。

 

 

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作品の素材の多くは、捨てられていたもの、落ちていたもの、放置されていたものなどが多く、よく見ると「えっ!」と驚くのですが、もともと何だったのか?などと想像するのも楽しいものです。

会場はJR西千葉駅からも近く、千葉にお住まいの方には、ぜひにとおすすめしたい「造形展」でした。

2019/04/29

「へるん先生の汽車旅行/芦原伸」を読んだ

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『へるん先生の汽車旅行 -小泉八雲と不思議の国・日本- /芦原伸著(集英社文庫)』という本を読みました。
副題にあるように、“へるん先生”とは小泉八雲のことです。

著者の芦原伸氏は、鉄道ジャーナルに入社後、編集者、作家として50カ国以上を取材した方で、この本でも、小泉八雲/ラフカディオ・ハーンが英国ダブリンからアメリカに渡り、ニューヨークからシンシナティ、トロント、から大陸を横断する道筋を現在の鉄道で追いかけ、さらにその都市でのハーンの足取りを辿りつつ、現在のそれら都市の様子も紀行的に追いかけ、そしてハーンの当時の暮らしぶりや、周囲の人達についても細かく調べています。

ハーンが日本に着いてからの鉄道・人力車などの足取りも現在の鉄道で追いかけ、その中で芦原氏自らの祖父がハーンを辿るうちに、その歴史の中で登場するなど、劇的な展開もありました。

私が驚いたのは、ラフカディオ・ハーンは、ギリシャの母に捨てられ、英国の父にも幼少期に捨てられ、かなり荒んだ状態でアメリカに渡って行ったという事実です。初めて知りました。
経済状態も明らかにひどく、ろくな仕事も貰えない状態や、せっかくハーンを援助しようとした人達とも結果的に仲違いし(ハーンの気の短さも大いに原因しているふしがある)、結局日本に渡るまでは、かなり“悲惨”とも言えるような状況であったことがわかりました。

日本に来たときにも、ハーンは40歳の一介のルポライターに過ぎず、一般的な松江の英語教師で、明治新政府の“お雇い外国人”という理解は間違っていたわけです。

うがって言うと、日本の珍聞奇談を原稿にして売ろうとしてやってきた“押しかけ外人”であり、むしろ“経済難民”に近い立場だったようです。とても意外。

しかし、松江に来てからのハーンは、日本人の神との関わり方、そして仏教にも神仏習合で自らを律するような時に信心する寛容さ、さらに自然(動物、虫などとの関わりも含む)との対峙の仕方、人々の暮らしぶり、文明的には欧米に遅れているが、文化的にはむしろ立派なものを持っている、そして日本人ひとり一人が素敵な生き方をしていることに大きく感銘を受けています。

実はこの本を読んで、今さらながら私も日本人の良さを再認識したのです。
だから逆に、現代の日本の国の在り方、人々の荒廃したような心の在り方、文明(特に科学技術的なこと)優先の頭でっかちな方向などに、やきもきするというか、当時の八雲に対して恥ずかしいような気持ちになったのです。

八雲と、日本人の妻セツの二人だけにしかわからないハーン特有の奇妙な日本語での会話、やり取りも載せられていましたが、実にいい!この夫婦の仲の良さを如実に表わしていて、“いい夫婦”になっていったのだな、と思いました。

ハーンの書いたものについては、私は後に編まれた全集のみしか読んでいませんが、細々と色々な作品、著述があることも知りました。
これらは、読んでいけばきっと、日本人が日本人として誇りを持って生きて行くうえでの一つの指針にさえなるのではないかと、読んでいて思いました。

ハーンの足跡を鉄道で辿りつつ、さらに当時の歴史的事実も明かしていく、面白い本でした。
あっという間に読み終えました。おすすめですよ。

2019/03/10

南隆一 絵画・造形展に行って来た。

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千葉市若葉区東寺山663-8 ギャラリー cue9(社会福祉法人九十九会・まあるい広場)で開かれている「南隆一 絵画・造形展」に出掛けました。


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このブログに度々出てくる南先生は、私の中学時代の美術の先生で担任の先生でした。
掲載している作品の写真のとおりの人・・(^^;)です。


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どこまでも先生の世界が広がり、今回の広い会場、しかも外の素晴らしい庭園も見えたりする絶好の環境、何もかもがうまくつながり、まわって、とても明るくて楽しい絵画・造形展になりました。


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東寺山にこのような場所があったことを存知上げておりませんでしたが、素敵な場所でした。
お時間のある方には、ぜひにとおすすめしたい個展です。

広い会場の中でゆったりとした時間を過すのもいいですよ。
作品そのものの南先生に会えるかもしれないし、会えたら大ラッキーな出会いとなるでしょう。


【Now Playing】 ワン・オクロック・ジャンプ / カウント・ベイシー ( Jazz )

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