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2023/03/22

糸井重里さんへのインタビューを中心にした「すいません、ほぼ日の経営。」を読みました。

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『すいません、ほぼ日の経営。/川島蓉子・聞き手 糸井重里・語り手 (日経BP社)』を読みました。ブックオフで見つけた5年ほど前の本です。

この本は、日経ビジネスオンラインや読売新聞で連載を持つジャーナリスト、川島蓉子さんが、社名を「有限会社東京糸井重里事務所」から「ほぼ日刊イトイ新聞」に変更し、2002年に株式会社化、さらに2017年には東京証券取引所ジャスダックに会社を上場した糸井重里さんにインタビューする形でまとめられたものです。

私が存じ上げているのは、糸井さんがインターネットが一般的になり始めた頃に、「ほぼ日刊イトイ新聞」というサイトを立ち上げ、“ほぼ日刊”どころか毎日書き始めた頃からの「ほぼ日」の活動です。

そして、一番印象に残っているのが「ほぼ日手帳」というヒット作を生み出したこと。
今や、手帳というと、「ほぼ日手帳」というひとつのジャンルみたいなものにまでなっていて、たぶん売り上げもかなりのものだろうな、と想像できるまでのところです。

会社名を「ほぼ日」にしたところまでは、そんなこともあるだろうと思いましたが、まさか株式会社化して東証上場なんて「ほぼ日」には“似合わない”と思ったのですが、この本の中でも多くの人がそう思っていたことが糸井さんへのインタビューの中でわかりました。

でも、そんな組織化をしてもなお、「誰かがこんなものが欲しいな」と思うものを見出して提供するような姿勢、さらに強くはあるがやさしい姿勢、企画書もなく、「こんなのどうでしょう」「いいね、じゃやってみようか」みたいな動き方、人事はピラミッド型でなく、人体模型図型?!、予算も組まない、部署ごとに部屋があるわけでもなく、席替えを度々して経理関係の隣に実働部隊がいたり、総務関係がいたりで、互いの仕事がどういうものかわかっている、さらに専門分野で人が固まるわけではなく、“お手伝い”として部署を飛び越えて仕事をする、・・・などなど、およそ会社組織という観念からは逸脱した形態をしている「ほぼ日」という会社のあり方に驚くのでした。

読んでいて、一般の組織が真似してもいいんじゃないかと思うこともありました。
創業者がトップの会社などによくある“トップダウン型”の命令系統が会社そのものを硬直化させている状況には、もっと“緩くて”下からもアイデアが遠慮なく飛び出すような形へのヒントが「ほぼ日」にはありました。

目標値達成のためには、無理にも無理を重ね、「一日100件、営業回って来い」的な話もよく聞きますが、それって効果があるのかな、と糸井さんも語っていました。

また人事評価のために、困難というか、果たして実際はそれがいいものなのか、会社のためになるのか、という難易度の高い目標を敢えて掲げて、部下にも無理強いしてそれを達成させる人(こういう人が“できる人”と勘違いされ、皆が結局言うことを聞くようになる)を私も自分がいた組織で何人も見ましたが、最終的には人を疲弊させ、組織も硬直化し、何より、達成した新たなシステムが使いずらく、仕事の足枷になっているという事態を生み出していました。

この本を読んでいると、近未来の日本の会社のあり方のヒントになるようなものが少しエッセンスのようにふりまかれていたように感じました。
経営者や、管理職の人が読んだらいいなぁと思いましたが、絶対に読まないだろうな、とも思いました。
以上です。

 

2023/03/02

「悩むが花/伊集院静」を読みました。

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『悩むが花/伊集院静著(文芸春秋)』という本を読みました。
伊集院さんの本は、このブログでもけっこうご紹介していますが、またブックオフで見つけちゃいました(^^;)
「人生相談本」です。

相談内容は、相変わらずというか・・新入社員が上司からの理不尽な要求に悩んだり、上司は上司で部下が言うことをきかない、そして私をバカにしているんじゃないか、などというもの、さらに女性の会社員から「自分の周囲は仕事も出来ない、頭が悪く、考え方に“キレ”がない、こんなやつらばかりじゃ結婚する相手もいない」などというもの、ギャンブルに勝つにはどうすりゃいいんだ、とか、美人にモテる方法を教えてくれ・・(^_^;)などなど、伊集院さんもあきれたり、どやしつけたり、丁寧に諭したりです。

この伊集院さんの回答ぶりが、もう『芸』の域に達しているというか(^-^;読んでいて実に面白い!
なのでまた買ってきて読んでしまう、ということになるのでした。いつものことです。

叱ることが多い伊集院さんですが、時には必死に生きる人、困難に立ち向かう若者などには実に力強いエールを送ります。
こういうエール、私も若い頃に欲しかった・・と思いました。

伊集院さんが回答の中でおっしゃっていたことで、そうだよ、そうだよ、と思ったことがありました。

「頭が切れる男と評判の奴くらいつまらない男はいないから。“頭が切れる”とか“カミソリみたいな頭”と言われている男は自分以外の男を皆クズだと思ってるんだから。そんな傲慢な奴がいかに鼻持ちならないかは少し社会で人間を見た者なら誰でも知ってるよ。」

という言葉です。
長いこと生きてきて、仕事をしてきた中で、私もそう思っていました。
実物を何人も何人も見てきました。
あんなヤツの言うことなんかまともに聞く必要はなかったと、今にして思っているのでした。そのときはわからないんだよねぇ(^_^;)

あっという間に読み終えた「悩むが花」、まだまだ伊集院さんの“相談もの”の本、持っていますので、また読んだらご紹介しますね。

 

2023/01/10

「プロフェッショナル100人の流儀(珠玉の名言集)」を読みました。

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『プロフェッショナル100人の流儀 -珠玉の名言集-/藤尾秀昭監修(致知出版社)』という本を読みました。
いつもどおりのブックオフで購入。

監修されている藤尾秀昭氏は、月間『致知』編集長で、≪人間学≫をテーマに一貫した編集方針を貫いてきた方とのこと。

この本に登場する100人の著名人の方々は、それはもう立派な人ばかりで、そのお言葉は参考にするには私のような凡人にとって厳しいものばかりでした。

いくつか私が気になったものをあげてみると・・

「地球上で最も必死に考えている人のところにアイデアの神様は降りてくる/森岡毅(ユー・エス・ジェイCMO)」
・・・何度も壁に直面し、その都度、歯を食いしばって、執念でアイデアを振り絞ってきた、泥臭い積み重ねです。と書かれていました。
たぶんこういう人は何百万人にひとりなのかもしれない。凄すぎて私には想像もつかない世界です。

「嫉妬しているうちは本当の福は回ってこない/小出義雄(女子マラソン指導者)」
・・・これはなんだか私にもわかります。自分のことで思い返してみても、“嫉妬”したときというのは、その後ろくなことになりません。素直に「よかったね」と思うと、なぜか物事が好転することがありました。

「信用は使ってはならない、使わなければどんどん増えていく/黒田暲之助(コクヨ会長)」
・・・先方の言葉に甘えて信用を使い出すと、長い年月をかけて血のにじむような努力によって蓄積したきた信用が取り崩されてしまう。お金は減ったらわかるけど、信用は目に見えないだけに減っていることがわからない。信用は使わなければどんどん増えていく。そんなことが書かれていて、「なるほど」と思いました。
溜まっていた信用を使い出した途端に一気に人としての信用を失った人・・何人か見たことがあります。

上記のようなお言葉が100人分、・・読んでいるだけで“疲れ気味”です(^-^;

 

2023/01/02

「静かに 健やかに 遠くまで/城山三郎」という本を読みました。

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『静かに 健やかに 遠くまで/城山三郎著(新潮文庫)』を読みました。
これもブックオフで110円で見つけたものです。
暮れから読み始めたのですが、新年となりタイトルも新年らしくていいな、と思いつつ本日読了。

城山さんの小説や随筆、インタビューなどの著書から、これはという文を抜き出して集められたものです。
けっこう響く言葉がたくさんありましたし、教訓になるものや、これから心がけねばならないと思うこともありました。

少し私が気になったところをピックアップしてみます。

「塩野七生さんのベネチアの話を読むと、ベネチアは商人国家だが、政治家になって権力を持った人は、そのポストについていた期間、次には休まなくちゃいけないと定められていたそうです。これなんかは、一つのチェックシステムだと思うんです。こうしたチェック機能があったから、商人国家が続いた。日本の社長は、自分の任期を自分で延ばしちゃう人もいますから。けじめをつけない社長は、何かあったら、ほかの役員以上に重いペナルティーをかけてもいいですね。」

という一文です。
どこかの国の指導者などは、自分が偉くなると自分の任期を延ばしたりしているし、どこかの国の首相になった人が辞めたあとも、まるで“院政”のごときふるまいで現行の首相を操っているようにも感じます。
辞めたらもう政治の世界からいなくなってほしい人が多々いらっしゃいますし、「辞めたら後がない」覚悟でその任期に命を賭けてほしいと思う昨今です。

次の気になった一文。

「将軍には将軍の使命があり、参謀には参謀の仕事があり、そして兵には兵の・・・。しかし、真の将軍というものは、兵士以上に兵士のことを知り、まず兵士のために憂える人でなくてはならぬ。兵士に先んじて憂え、その楽しみは兵士より後にすべきである。」

そのおとりです。
最低の将軍は「絶対安全」の場所に閉じこもり、高みの見物に終始する。そして、兵士より先んじて楽しみ、危うしと見れば、兵士より早く遁走する・・。
今や、こんな人ばかりです。
軍事費を倍増し、軍備を拡大し、危うい状況をつくり、いざとなったら自分はどこかで高みの見物を決め込むのでしょう。

長文になりついでに、もうひとつ。

「通勤苦ひとつとってみても、組織の中で生きるとは、たいへんなことである。ときには、やりたくない仕事をやらされ、好きな仕事には就けぬ。顔も見たくない上司に仕え、蹴と飛ばしたい思いのする部下にも耐えねばならぬ。」

なんだか私の人生を振り返ってもらったような気になりました(^_^;)

上記のような文が満載のこの本、とても勉強になり、ぐっと私の心に入り込みました。
良い本でした。

 

2022/10/05

阿川佐和子さんと大石静さんの対談本「オンナの奥義」を読みました。

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『オンナの奥義 -無敵のオバサンになるための33の扉-/阿川佐和子・大石静(文芸春秋)』という本を読みました。お二人の対談本です。

2018年発行となっておりました。相変わらずのブックオフで200円での購入。
ブックオフには毎度私の読書欲を全うするのを助けてもらっています。ありがたい。

阿川さんが脚本家の大石さんにオファーをして実現した対談本ということですが、お二人のある意味“豪快”?な生き方が文中の遠慮のないやり取りの中でよくわかりました。

しかも、似ているのかなと思っていたら基本的には正反対と言えるくらいの人生観、死生観をお持ちだということもわかりました。

たとえば、大石さんは苦しいこと、苦しいこと、悲しいことこと、苦しいことと、苦しい・悲しいが10ある中でそのうち1度くらいちょっと楽しいことや幸せと感じることがある・・というのが人生なのだという考え(読んでいて驚いたが、私も全く同じ気持ちです)で、阿川さんはその10と1が逆なのです。

人生は、楽しいこと、楽しいこと、ときどき苦しくて、また楽しいことがあって、また泣いて、なぐさめられて喜んで、ちょっと落ち込んで、また楽しくなって喜んで・・というわけです。

身体に良いと言われれば、ホルモン注射をしたり、医師にすすめられれば子宮を取る手術をしてしまったりする大石さん、そしていくら良いからと医師にすすめられたりしても、一ヶ月後くらいに・・と思いつつ結局何年も何もしない阿川さん。
対称的なお二人でした。

そして共通点と言えば「更年期障害」の時期をどうやって乗り越えたかというのは、お二人ともかなり厳しい状況について書かれていました。
男にはわかってもらう必要がある・・とのことでしたが、私の想像以上に厳しいことがわかりました。
かつての私の職場でも更年期障害に悩んでいる方がいましたが、仕事上手助けをしたり、悩み、お話を聞いたりしていたことを思い出しました。まさにお二人がおっしゃっているような状況下にあったのです。

長くなってしまいましたが、もうひとつ大事だなと思った部分がありました。

オリンピック選手だとかアスリートと呼ばれる人達が「夢は必ず叶う」って当たり前のように使うが、気軽に言っちゃあかんのでは、というところでした。

「普通、かなわないでしょ」ってことです (・_・;

人間はどれも尊い命だけど、“身の程”というものがある。
能力にも確実に差があり、それぞれの能力を全開にして、精一杯に生きることこそ尊い、そんな考え方がないがしろにされている気がするというのです。
私も同感。

しかも夢が叶えば幸せなのか、描いていた夢そのものが間違っていたという場合もあるんじゃないか、人それぞれだし、何が幸せかは自分で判断しないと・・ということをおっしゃっていて、今の私にはその言っていることの意味がよくわかります。

そして今、私も、自分の生き方、幸せというものについて少しずつ考えているところなのです。

 

2022/09/17

中島誠之助さんの「骨董掘り出し人生」を読みました。

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『骨董掘り出し人生/中島誠之助著(朝日新書)』を読みました。
2007年発行となっていますので、かれこれ15年前の本です。
著者は、あの「なんでも鑑定団」の焼物を主に鑑定していたあの中島誠之助先生です。

このあいだ、伊集院静さんの本をこのブログでご紹介したときに、そこに掲載されていた短編小説二篇「少年譜 笛の音」、「親方と神様」の感想を書きましたが、中島さんの生涯は、まさに上記二篇の小説のような、幼少期から少年期の両親を失い、養子として伯父や伯母などに育てられるも、戦争の惨禍から大変な苦労をする話が書かれていました。

骨董という道に入る前の学生時代の様々なことへの挑戦と、実際に仕事をするようになってからの挫折や、その中で手を差し伸べてくれた今となっては驚きの有名人達の話、まるで小説を読んでいるかのような数奇で、波乱にとんだ人生が描かれていました。

前回の伊集院さんの小説といい、今回の中島さんの自伝的なお話も、私の今後の生き方にとって大きなものを得たように思います。

世の中は自分の思うようには出来ておらず、次から次へと困難に見舞われ、あたたかく手を差し伸べてくれる人もいれば、多くは悪い人がいて様々な苦境に陥れられ、自らの信ずるところに向かってひたすら信念を通して生きていくことがいかに大変なことか・・ということがこの中島さんの実体験的自伝をとおして描かれていました。

中島先生には、二十年も前だったでしょうか、私の職場が企画した「出張・なんでも鑑定団」においでいただき、私と妻の新婚時代に買ったお宝「野々村仁清の香盒」を鑑定していただき、見事8千円の鑑定をいただき、妻は泣き出し、そのおかけでMVPをいただいてしまい、石坂浩二さんの絵を賞品として受け取るという、悲しいんだか、嬉しいんだかわからない結果になったことがありました。

事前に、先生方との握手やサインは出場者は「厳禁」との説明を受けていましたが、泣き出した妻を見て、あとで中島先生ファンだった妻は握手をしていただき、持参した中島先生のご著書二冊に丁寧なサインまでいただいてしまいました。

今となっては、たいへんいい思い出です。
それに、京都のみやげ物という鑑定をいただいた香盒は、逆に私達夫婦の“お宝”になりました(*^_^*)

この中島先生の「骨董掘り出し人生」は、自分を勇気づけるために、今後も読み返すことになると思います。

 

2022/08/28

「毎日が日曜日/城山三郎」を読みました。

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『毎日が日曜日/城山三郎著(新潮文庫)』を読みました。
ブックオフで見つけた城山三郎さんの長篇小説です。実に652ページ。
昭和51年に新潮社から刊行されたものの文庫化で、この本自体が平成19年のものなのですが、既に五十刷を重ねています。つまり大ベストセラーだったのですね。

日本の総合商社に勤める妻子ある男が主人公ですが、巨大な組織とそのダイナミックな機能、日本的な体質と活動が主人公と家族の日常生活とともに描かれています。

描かれている舞台は商社ですが、商社という特殊な企業活動ではあるものの、男なら誰もが何度も通る仕事の厳しさ、人事の厳しさ、家族との生活・人生の中で何度も遭遇する困難は人皆共通なのだ・・と“ひしひし”と感じる物語でした。

人事異動で与えられた職場がどんなところでも、多くの人は必死で働き、頑張り、それでも次から次へと問題が発生し、全力でぶつかっていく。そんな最中でも家族の間では様々な問題・事件は容赦なく襲ってきます。
それを仕事の細部に渡り、さらに関わってくる登場人物についても実に克明に、まるで現実であるかのように書かれている城山さん。
この人の描く小説世界は限りなく広大で、しかも身近に迫ってくるのです。

私も今まで仕事をしてきた各部署でのあまりにも厳しい環境を思い出して身震いしました。
しかも、そんなときにも家族の問題は“待ったなし”でやって来るのですから、人が、家族が生きて行くっていうことがどんなに大変なことなのかというのをあらためて突きつけられた感じです。

私がこの本を読み始め、テーブルに置いておいたら、妻が見つけ「あっ、この本お父さんが読んでいた本だ」とつぶやきました。

妻の父は、63歳で若くして亡くなりました。仕事での役職も上の方にいって、部下に対して厳しくも過酷なことを言わねばならなかったようで苦悩していたということを聞いたことがありました。

きっと、この本をお義父さんも読みながら、自分の仕事での置かれた環境と、家族とのいろいろな問題を考えていたのでしょう。
私が何十年後にその同じ本を読んだというのも何かの因縁かもしれません。

とにかく圧倒的な、仕事と家族を描いた「人生の本」でした。
とてもいい本に出会えたと、今、深く感じているところです。

 

2022/08/13

「医者の個人生活366日/米山公啓」を読みました。

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『医者の個人生活366日/米山公啓著(集英社文庫)』という本をブックオフで見つけて読んでみました。

著者の米山公啓さんは、医学博士で、専門は神経内科。
「大学病院・医者ものがたり」「医者語・ナース語」「午後の電話はぼけはじめ」「医者の半熟卵」などの著作があるお医者さんです。

今回読んだ本は、書き下ろしの文庫本で、1995年に第一刷が刊行されています。
27年も前のものですから、けっこう現在のコンプライアンス上では、やや問題ありな発言も多いのですが、でも逆にお医者さんの事情もよくわかるし、なんとなくオブラートに包んだような発言が多くて何が言いたいのかわからない本が多い昨今、もやのようなものを感じず、気持ち良く読めました。

大学病院に勤務されていたときの生活を書かれたものでしたが、研修生に教えたり、看護学校で教鞭を執ったり、論文を書いたり、この本のような著作物も書いて、さらに各地で開かれる学会への出席、講演も行なわれているし、訪問介護に出かけたり、アルバイトでいろいろな病院に出かけて行っての診察も、さらに実家の医院の手伝いもしていて、目まぐるしい仕事ぶりです。

ご自身では、あまり生き生きとした生活じゃないような書きぶりですが、読んでいるこちらには生き生きとしているように感じました。

私のように若い頃からお医者さん、病院のお世話になってきた者が、このような本を読むと、「そうか、先生は患者をこんなふうに見ているのか」と新鮮に感じました。

また、先生の側からいうと、病院にいるときの患者と医師という関係をはずれて、患者さんが家で暮らしている場に行ってみると(往診もされている)、診察室では気づかなかったその人の生活実態がわかり、ただ単に薬を投与したりしているだけでなく、その生活に合わせた対応が必要なんだと気づくこともあるようです。

タイトルどおりの、366日の“日記”として書かれているこの本は、お医者さんの実態や、気持ちが垣間見えて、興味深く読めました。

現在の“かかりつけ”のお医者さんに今度会う時の気持ちの持ちようも少し変わりそうな気がしました。いい意味でd(^_^o)

 

2022/08/05

石田衣良さんの「坂の下の湖」を読みました。

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『坂の下の湖/石田衣良著(日本経済新聞出版社)』という本を読みました。
これもまたブックオフにて200円で購入(*^^*)

この本は、リクルートの「R25」に2008年から2010年にかけて連載されたものに加筆・修正を行なったものだそうです。

時代としては、サブプライムローン問題が発生し、リーマン・ショックへ、そしてそれが世界にも日本にも影響を及ぼし、経済的には大きな危機となった頃です。

さらに、自民党政権が総選挙において大敗し、当時の民主党政権が誕生した時。
そしてその民主党政権がなんとも心もとない政権で国民の期待を大きく裏切りヨタヨタな状態。
そこに輪を掛けて東日本大震災が発生し、なんというのか、夢も希望もないような時代だったのかもしれません。

で、石田衣良さんの文です。

時代は就職難でもあり、先行き不安な若者は新入社員でもこつこつと貯蓄をする。
そして、男子は“草食男子”と呼ばれるタイプが増殖していく。

自分を守ろうとすると、皆が同じようなことを考え、世の中画一的な方向に向かいます。
石田さんが書かれていますが、本の世界も「ひとり勝ちの世界」になってしまったと。
ナンバーワン以外はぜんぜんダメ。第一位の本はよく売れるが、それ以外のノミネート作品はまったく動かない・・。

映画や音楽でも同様のことが起きて、エンターテインメントの未来は暗い・・。
創作の世界の豊かさがなくなってしまうというのです。

個々がひとり・ひとりその場で耐え、自分の力をすこしずつ磨き、いつかやってくる変化の時を待ってと石田さんは呼びかけていました。

このとき石田さんが政治に対して発言していることは、今現在の世の中でもまだ言えることだと思いました。

政治家は、ぜんぜん仕事をしていないと思う。
それは法案をつくったり、国会で審議したり、決議したりという代議士のルーティンの仕事についてではない。
それよりももっと大切な、政治家としての根源にかかわる部分で仕事をしていないのだ。

日本という国の明日の希望をつくりだす仕事をしていない。
それこそ今も昔も、政治のもっとも大切な仕事であるはずだ。
日本という国がなにを目指すのかという明確なメッセージはまるで伝わってこない。

・・そういう政治家っているのか・・。

全体にこの本の文体は“軽い”のですが、でも、「芯」の部分はしっかり力強いと感じる本でした。

 

2022/07/20

「島耕作の名言集」という本を読みました。

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『島耕作の名言集/森山晋平(文)  弘兼憲司・モーニング編集部(監修) (誠文堂新光社)』という本を読みました。

この本は、漫画「課長(部長・社長・・)島耕作」の様々なシーンの中から、これはと思われる「名言」を抜き出し、その場面のコミック掲載部分についても併せて載せているものです。

私も時々このコミックについては読むことがありました。
会社員として生きて行く一人の男の物語ですが、あらためてこの本のように「セリフ」を抜き出してみると、いろいろ感じることがありました。


「いろんな苦情を聞いても 決して否定的にはとらえないようにしようと思う」

・・あの人はわがままだ、などと事前に情報を聞かされていると、当人に会うとどうしても悪い印象を持って接してしまうが、でも実際に会ってみるとそうでもないことも多く、事前情報は少し過剰に入ってくるのでは、ということでした。
ようするに、悪いうわさは大げさに広がり、人から聞くよりも実際に見ることが大切ってことでしょうか。


「もともと現実は理屈どおりには運ばないものだ 理不尽でもそれが現実なら受け入れるべきだろう」

・・長い間、身を粉にして働いてきても、努力が正しく評価されないことに人は理不尽さを感じます。私もそうでした。
でも、ここにも書いてありましたが、実際には仕事社会では、努力が正しく評価されることの方が、むしろ少ないと思います。
担当者の好き嫌い、タイミングなどによって結果は大きく変わってしまいます。それが現実なんですよね。
それを端的に表現したセリフだったと思います。


「生涯一人の人間しか好きにならないという奴がいたら それはよほど鈍感な人間か あるいはウソつきだ」

・・課長・島耕作には、様々な女性が現われ、主人公と深い関係になったりすることも多くありました。この男は・・と思うこともありましたが、でも、現実はこんなふうに女性に溺れることもありうるんだと、冷静にながめてしまうこともありました。
このセリフは、案外真実を突いていると思います。

以上、本文中で気になったところを少し抜き出して書いてみました。
文と漫画の同居するつくりになっているこの本、あっという間に読めました。

 

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