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2022/11/16

【The Beatles 研究室・復刻版】The Beatles (White Album)[B-9]Julia

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2004年から2008年にかけて作成したホームページ「The Beatles 研究室」・・2009年リマスター発売後の一部追記も含めてのブログにての復刻版です。ほぼ当時のまま、そして復刻後追記も付しております。15年以上前の文なので細部の表現・事実についてはお見逃しください。
今回は、アルバム「The Beatles (通称:ホワイト・アルバム)」からジョンの曲「Julia(ジュリア)」を復刻してみたいと思います。
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ジョンが単独で録音した唯一のビートルズソングと思われます。
このアルバム収録曲の中では最後のレコーディング曲となりました。
ひっそりと行われたものだとのこと。
ボーカルはダブルトラック、ギターは2回録音されています。

インドに瞑想旅行に行った時に作られたもので、アルバム中ひとつ前の曲にあたるポールが作った「アイ・ウィル」と同時期のものになります。
しかも同じアコースティック・ギター曲。
二人の気持ちはシンクロしていたのでしょうか。
インドでドノヴァンに教わったスリーフィンガー奏法をさっそく演奏に取り入れています。

曲は、母親とヨーコへの想いを一度に歌っているような曲です。
タイトルは母親の名前、曲中の“ocean child”は、“洋子”をそのまま英語にしたものであることからも、それがわかります。

windy smile 風の微笑み, seashell eyes 貝の瞳, silent cloud 静かな雲, sleeping sand 眠る砂・・などの歌詞はジョンならではのものですが、瞑想旅行中のインドに詩のような手紙をジョン宛に送って来ていたヨーコの影響もあるかも。

「僕の言っていることの半分は無意味だけど、ジュリアあなたに聞いてほしいがゆえ」という出だしの歌詞はたいへん印象的です。
自分を捨てた母親ジュリアは、ジョンが17歳の時に交通事故で亡くなりました。
母親に言おうとしても言えなかったことや、そんな自分をやさしく認めてくれたヨーコに対する静かなつぶやきのような、問いかけのような歌です。
前曲のポールの音楽職人的な曲作りとはまた異なったアプローチです。


〈追記〉2022/11/16

では、この曲についてもホームページ作成後に様々なテイクを聞くことができるようになりましたので、私の手持ちのテイクを聞いてみたいと思います。

「アンソロジー3」に入っているテイク

ギターの爪弾きの練習に近いテイク。
ジョンのボーカルが冒頭に入っているが、そのあとはギターの音のみが生音で入っている。
途中でギターをミスして止まり、ジョンがコントロール・ルームと会話している様子が入っている。


2009年「ステレオ・リマスター」のテイク

ジョンのダブルトラックのボーカルが水の波紋のように聞こえ、とても新鮮な印象。
ギターの音はほぼ生音で、低音部分を利かせてレコーディングされているように感じる。


2009年「モノ・マスター」のテイク

ほとんどボーカルにもギターにも大げさなエフェクトが掛かっておらず、とても自然な感じ。
ステレオ版のようなギターの低音部の強調もない。
ダブルトラックのボーカルも妙なエコー感がなく、ステレオよりも聞きやすいと感じた。
かなり良いテイクだと思う。初めてこの曲を聞いてもらう人にはこのモノラル・テイクが“おすすめ”。


50周年記念盤の「イーシャー・デモ」テイク

ジョンの歌い方が少しオリジナルと異なる。
ダブルトラックのボーカルもエフェクトの掛け方が異なり、曲全体の印象も変わっているように感じる。
ジョンのボーカルは、より“ささやき”感が強い。
ギターの爪弾きは「間違ってもいい、デモだから」という感じで、力強く大胆に弾いている。なので、ミスもあるが、あまり気にならない。
ジョン以外の人の声も複数聞こえる。コーラスをどうしたらいいいか試しているように思う。口笛なども入っている。


同じく50周年記念盤の「セッションズ」に入っているテイク

ギターはコードストロークで弾かれ、「どう料理してやろうか」とジョンが探っている感じ。
「もうちょっと速くしようか」とジョンが言ってからは、スリーフィンガーでギターを弾いている。
ボーカルはささやき気味に歌われている。
やさしい感じで歌ったみたらどうか、という感じで演奏されている。


さらに50周年記念盤の「ジャイルズ・マーティン・エディション」のステレオ・リミックス

ジョンのボーカルがリアルに聞こえ、さらにダブルトラックの方のボーカルも自然に聞こえるようにミックスされている。エフェクトはかなり強く掛けていると思われるが、それが不自然には聞こえない。
曲全体のサウンドが“深い”という印象になっている。
モノ・マスターも良かったが、こちらは技術で良いテイクにした感じがする。

 

2022/11/07

【The Beatles 研究室・復刻版】With The Beatles[B-5]Devil In Her Heart

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2004年から2008年にかけて作成したホームページ「The Beatles 研究室」・・2009年リマスター発売後の一部追記も含めてのブログにての復刻版です。ほぼ当時のまま、そして復刻後追記も付しております。15年以上前の文なので細部の表現・事実についてはお見逃しください。
今回は、初期ビートルズが必ずアルバムに入れていた他のアーティストの“カヴァー曲”である「デヴィル・イン・ハー・ハート」を取り上げてみました。

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“ドネイズ”という黒人のガールグループのあまりヒットしなかった曲のさらにB面に入っていた曲をビートルズが取り上げたものなんだそうです。
でも、いい曲だと思います。

原曲タイトルは“Devil In His Heart”で、あちらでは、律儀に女性の歌を男性が歌うときは“His”を“Her”に変換して歌うんですよね。

リンゴのスネア一発とバスドラ二発で「ンタッ・ドンドン」という感じで始まります。これが気持ちいい。

ジョンとポールが「彼女の心には悪魔が住み着いている」と歌うと、ジョージが「でも、彼女は魅力的」と歌う、掛け合いになっています。
コーラスのタイトル部分が妙に歯切れ良く歌われていて、ちょっと面白いです。

目立たない曲を取り上げた割には、非常に魅力的な曲で、初めて聞いたときは、いい曲だと感じて何度も聞いた記憶があります。

甘いギターのフレーズも、とても魅力的ですが、ジョージが弾いていると言われているのですが、ちょっとはっきりしません。
早く入り過ぎたり、やりそこねたりしているのを聞いていると実はジョンが弾いているのではないか、などと思うのですが、果たして・・。
一度聞いてみて判断してみるのも面白いですよ。


〈追記〉2022/11/07

まずはオリジナルのガールズ・グループ「THE DONAYS」の「DEVIL IN HIS HEART」の音源(メキシコ盤)を持っていますので、それから聞いてみましょう。

ドラムのイントロは同じです(*^_^*)
テンポはビートルズよりもかなりゆっくり気味。
ギターのリフも同じですが、プワンプワンとエフェクトが掛かっていて、女性が歌うこの曲にぴったりな感じがします。
歌い方は、ビートルズよりも感情を込めているように感じます。
特にサビのところは“歌い上げ”ています。
聞いてみると、とてもシングルB面の曲だったとは思えません。いい曲(^^♪
だからビートルズも気に入って、録音にまで踏み切ったんだと思いました。


アナログ盤、モノラル・ラウドカット

ジョージのボーカルと他のメンバーのコーラスが絶妙の音量でミックスされていて、コーラス曲であることをかなり意識していると感じる。
ギターもベースもフレーズがよくわかる。
リンゴのドラムの音もキレよく入っている。


シングルCD「ベイビーイッツユー」にカップリングとして入っているバージョン

録音過程のテイクと思われる。
まだジョージの歌が仕上がっていない感じ。
バックのコーラスがジョージを背中から応援しているように感じる。
途中、歌詞のあやしい部分もある。
リンゴのドラムも軽く“さぐりを入れている”ようなプレイになっている。


米国キャピトル盤「セカンドアルバム」ステレオ・バージョン

音はかなりワイルド。ノイズなど関係なく曲の盛り上がりを大事にしている。
心なしかジョージのボーカルが力強く感じる(^-^;テイクは英国オリジナルと同じにもかかわらず・・。
ベースはギターよりもやや引っ込んでいる感じ。
リンゴのドラムもややミックスは控え目。
ギターの音質は艶やか。


米国キャピトル盤「セカンドアルバム」モノラル・バージョン

キャピトル盤ステレオ同様ノイズなど無視して曲の勢いを大事にしている感じ。
だから盛り上がりがとてもいい!
コーラスもかなりノイズ混じりだが、ジョージを盛り上げている。
英国オリジナルミックスよりもベースは引っ込んでいるように感じる。
ギターもボーカルに比べ、やや引っ込んでいる感じがする。


ライブアットBBCボリューム2に入っているバージョン

ジョージはかなり頑張って歌っている感じ。
ジョンがコーラスをしながらジョージを途中で引っ張っていくところがある。
リンゴはかなり力を入れてドラムを叩いている。
ビートルズが観客に「聞かそう」としている意志が感じられるテイク。


2009年オリジナル・リミックス・ステレオ版

ギター、ベース、ドラム共にそれぞれがよく聞こえるミックス。
コーラスではポールの声が比較的よく聞こえる。
基本的にテイクは他と同じなのに、ジョージが必死で頑張っているように聞こえるから不思議。


2009年オリジナル・モノマスター

これはジョージのボーカルが中心にミックスされていることを強く感じる。
そしてポールのベースが曲を引っ張っているように聞こえる。
ギターはリズムギターのカッティング中心によく聞こえる。
このバージョンが一番自然な感じがする。

 

2022/10/27

【The Beatles 研究室・復刻版】The Beatles (White Album)[D-2]Honey Pie

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2004年から2008年にかけて作成したホームページ「The Beatles 研究室」・・2009年リマスター発売後の一部追記も含めてのブログにての復刻版です。ほぼ当時のまま、そして復刻後追記も付しております。
今回は、アルバム「The Beatles(通称:ホワイト・アルバム)」に収録されたポールの曲「ハニー・パイ」を取り上げます。
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1920年代風のジャズの香りが漂うような、優雅とも言えるような、そんなポールの才能とセンスが光る曲だと思います。
ポールはこういう曲が好きなんですよね。

SP盤に針を落としたときのスクラッチノイズとともに始まり、ポールの甘いボーカルでクラリネットとの絡みが絶妙です。

間奏の甘いジョンのギターもなかなかの味わいで、のちにジョージがそのプレイをほめていたようです。
そして、リンゴのドラムはブラシでのプレイで、そんなに難しくはなさそうですが、ジャジーな雰囲気を十分に出しています。

全体に凝り過ぎず、品良くまとめていて、さらに突き詰めずに途中で放り投げたような感じを残したのが素晴らしいと思います。

ポールはアルバム「サージェント・ペパー・・・」では、「ホエン・アイム・シックスティーフォー」で、そしてビートルズ解散後のソロになってからの BBC のテレビ番組「ジェームス・ポール・マッカートニー」では、「ガッタ・シング・ガッタ・ダンス」で、そしてウイングス時代にはヴィーナス・アンド・マーズの「幸せのアンサー」で、この曲のように懐かしくて“曲中曲”のような曲を披露しています。
シャウトしないときの優しいポールのボーカルにはぴったりな素敵な曲ばかりです。

ホワイトアルバムにはなくてはならなかった曲かもしれません。そう言えばあの加藤和彦さんもカヴァーしていました。かなりこのアルバムに近い形でカヴァーされていて、そのバージョンもなかなか良い出来でした。

ポールの佳曲、そして“天邪鬼”のジョンが、ねたみ半分に嫌いそうな曲です。


〈追記〉2022/10/27

この曲についても、ホームページ作成後にリマスターや記念盤などが出ているので、その音源をたどって聞いてみたいと思います。

まずは、「アンソロジー3」に入っているバージョン。

軽くポールがアコースティックギターを爪弾き、歌っているバージョンです。
この段階でもう雰囲気がかなり出ています。セミプロだったポールのお父さんの影響かもしれませんが、ポールはこういう雰囲気の曲を幼いころから聞いていたのかもしれません。

続いて、「2009年ステレオ・リマスター」バージョン。

クラリネットと、ギターの甘い感じの音色がベストマッチしていると思います。
ポールのボーカルもやわらかい音で、曲全体のムードがとてもよいと感じました。

さらに同年「2009年モノ・マスター」バージョン。

ポールのボーカルはほとんど“生音”に聞こえるくらい自然な音になっています。
これもステレオ版リマスターに劣らず、とても聞きやすいいいミックスになっていました。
一番“自然”に仕上がっているのではないかと思います。

さらに、「発売50周年記念盤」のイーシャー・デモ。

とてもラフな演奏だし、ボーカルの歌い方もラフだけど、そのワイルドさが逆に魅力になっているようなバージョン。
ビートルズのメンバーに得意気に「こんな曲つくったよ」と聞かせているポールの姿が目に浮かぶよう。
たぶんジョンだと思うけど、「オー・イェーッ」と掛け声まで出ているのが聞こえる。
・・仲いいじゃん・・。

もうひとつ同じ「50周年記念盤」のセッションズに入っている「インストゥルメンタル」バージョン。

バックの優雅なクラリネットを中心とした演奏とジョンの素敵なギター・プレイの見事なマッチングがよくわかるバージョンとなっています。
けっこう細部にジョンの“気遣いある”ギター・テクニックを聞くことができます。
ボーカル無しで聞いてみると、この曲がもともとしっかりとした素晴らしい曲であることを再認識できます。

最後は「50周年記念盤」のジャイルズ・マーティン編集、本番バージョン

左右の分けもオリジナルとかなり異なっています。
ポールのボーカルが豊かな音に聞こえます。息づかいまでよくわかる。
バックのクラリネット中心の演奏は全体に馴染むようなやさしい音色と音量に調整されている。それが流れるように展開しているのが実に見事です。

 

2022/10/04

【The Beatles 研究室・復刻版】Past Masters ・ Volume One[B-7]Bad Boy

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2004年から2008年にかけて作成したホームページ「The Beatles 研究室」・・2009年リマスター発売後の一部追記も含めてのブログにての復刻版です。ほぼ当時のまま、そして復刻後追記も付しております。
今回は、「パスト・マスターズ」に収録された「バッド・ボーイ」を取り上げます。
一部の方には、あまり馴染みのない曲かもしれません。
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アルバム「 Help ! 」のレコーディング時に録って、結局アルバムには入らなかった曲です。
逆にアメリカでは当時英国オリジナルと全く異なるアルバムが出ていたため、1965年に先に「 BeatlesⅣ」というアルバムに収録されて発売されていました。

イギリスでは、シングルにするという話もあったのですが、リンゴの強硬な反対があったらしく、お蔵入りになり、やっと「 A Collection Of Beatles Oldies 」というベストアルバム的なアルバムに『未発表曲』として収録され、発売となりました。

日本でもこのアルバムは1967年に発売され、私も所有しておりますが、とても素敵なアルバムで、初期から中期にかけての珠玉のアルバムとなっています。

解散後に出た俗に言う『赤盤』よりもずっといい構成です。これがCDで発売されるのを心待ちにしているビートルズ・ファンはきっと多かったと思いますが、『赤盤』があるからでしょう、未発売。 
そして、同じく、CD未発表のライブ盤「 Beatles At The Hollywood Bowl (※このホームページ作成時には未発売であったが、その後に再編成されたCDが発売される)」でも曲の途中のおしゃべりの中で、「これはオールディーズだけど」と言ってわずか1~2年前の曲を紹介している様子が入っていましたが、このアルバムのタイトルもわずか数年前の曲をビートルズは“オールディーズ”として扱っているのです。

さて、「バッド・ボーイ」ですが、一緒の頃に録音された「ディジー・ミス・リジー」とサウンドも演奏も似通っています。
そして、ラリー・ウィリアムスのカヴァーであることも同じです。
セカンドアルバムの「マネー」にも演奏が良く似ています。

ジョンはなりふりかまわぬ、腹の底から突き上げるような歌いっぷりで、得意の唱法です。
ジョンのギターもリッケンバッカーで小指を拡げるブルースっぽいフレーズを弾いています。
ボーカルを後から録ったのだと思いますが、同時に演奏するとなるとけっこう難しい演奏かもしれません。

ジョージはギターをダブルトラックで2回被せていて、特有の高くて細くてしかも丸みのある音でなかなかいいフレーズを弾いています。
リンゴは相変わらずの鞭がしなるようなフィルインを決めていますが、シングル発売を反対したところをみると気に入らないプレイだったのでしょうか?

中学生の時に初めて聞いたとき、私もちょっと元々のこの楽曲の持ち味に対して“やりすぎ”(騒ぎすぎ?!)かなと思いました・・・ジョンのボーカルもそんな感じ・・・。
うしろの方でそぉっと聞こえるオルガンも入っていて、これもジョンのハモンドかもしれません。
いずれにしても、アルバム「オールディーズ」の中では、他の曲がヒットソングばかりだったので、ちょっと見劣りする感じの曲ではありました。


〈追記〉2022/10/04

この曲も2009年リマスターや米国キャピトル盤がホームページ作成後に出ているので、それらを聞いてみました。

2009年リマスター盤「パストマスターズ(ステレオ)」

モノマスターズに比べ、音はクリア。
ジョージのギターの音も伸びやか。
突出して何かの楽器の音が耳に残るようなミックスはされておらず、とても常識的できちんとリマスターされたものだと感じました。


2009年リマスター盤「モノ・マスターズ(モノラル)」

楽器やボーカルの分離というよりも、曲全体の勢いを大事に、音が固まってくる印象。
各楽器の音もやや“こもり気味”に聞こえるが、全体的には聞きやすくなっている。
ただもうひとつ“突き抜ける”ような感じがない。


米国・キャピトル盤「BeatlesⅣ」ステレオ

ジョンのボーカルが艶やかに聞こえて、とてもいい感じ。
リード・ギターのフレーズもとてもよく聞こえる。
ジョージがダビングで弾いていると思われるが、ギター二台の音も分離よく両方のフレーズも音色もはっきりとわかります。
リンゴのドラムはやや引っ込み気味。
全体的にまとまりのよいミックスとなっています。


米国・キャピトル盤「BeatlesⅣ」モノラル

聞きやすいが、ジョンのボーカルになぜか霧がわずかに掛かっているような感じがして視界がやや悪いような感じに聞こえる。
ジョージのギターはフレーズ等はっきりと聞こえるものの、ミックスはやや抑えめの音量で、もうひとつ前に出るようにしてもよかったのかもと思いました。
全体的にはちょっと不完全燃焼か。


“内緒盤”の、なんと「オールディーズCD化」モノラル

これが一番じゃないかと思われる音のクリア度だが、全体的にはマイルドなミックス具合となっており、素晴らしい出来上がり(^_^;)・・これでいいのか。
各楽器の音色もベストな感じで、ボーカル、ギター、ドラムともにフレーズもよくわかり、安心して聞く事ができた。


あと、“謎”のリンゴが反対したシングル化について上記を聞きながら考察したのですが、リンゴのプレイは“キレ”もよく、リンゴらしい叩きぶりなので、自己のプレイに不満があったわけではなさそうです。
私もここに書きましたが、曲としてのスケール感というか、“力”がシングルにするには不足していると感じたんじゃないかと思います。
ドラマーって大局観がある人が多いので、リンゴの“正しい判断”だったのだということに結論づけたいと思いますd( ̄  ̄)

 

2022/09/23

【The Beatles 研究室・復刻版】Abbey Road[B-11]Her Majesty

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2004年から2008年にかけて作成したホームページ「The Beatles 研究室」・・2009年リマスター発売後の一部追記も含めてのブログにての復刻版です。ほぼ当時のまま、そして復刻後追記も付しております。
今回は、アルバム「アビー・ロード」から「ハー・マジェスティ」を取り上げます。
英国では、女王の国葬が行なわれたばかりですが、この曲は、ポールが女王陛下を歌った曲で、ギターを爪弾きながらつぶやくように歌っています。

日本では、今年「エリザベス 女王陛下の微笑み」という映画が公開されました。
女王在位70周年の祝福の年として2021年に製作されたものですが、その映像中にもポールが女王陛下と会話するシーンがありました。
そしてもちろんこの曲「ハー・マジェスティ」もラストのエンドロールで流れていました。しかもアルバム以上に長い“フルバージョン”で!

 

 

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“ユー・ネヴァー・ギブ・ミー・ユア・マネー”から始まるアナログ盤で言うB面3曲目からのメドレーが“ジ・エンド”の大団円を迎え、ロックミュージック史上最高の演奏を終えると20秒ほどの沈黙があり、「ズジャン!!」というコード音の後、この曲が始まります。

女王陛下に対して、「女王陛下は、なかなかプリティ・ナイスガールだ、あんまりおしゃべりは上手じゃないけど、いつか“モノ”にしてやる」という歌詞をアコースティック・ギターのつま弾きでポールがわずか23秒で歌います。

しかも最後の音はスッと絞られてしまいます。
ビートルズの数ある名アルバムの中でも、屈指の、そして空前のメドレー、名演奏のあとに、このジョークはさすがビートルズと言いたいところですし、素晴らしい演奏の余韻が残るなか、気取ったところを残さずに下卑た感じで終わらせるのも“彼ら”らしいと思いました。
サージェントペパーの最後みたいです。

この話には、後日談があって、実はこの曲、B面の“ミーン・ミスター・マスタード”と“ポリシーン・パム”の間に本来は入っていたのですが、通して聞いたポールが「これはいらないから捨てろ」と言ったことから始まりました。

「どんなクズ音源でも捨ててはならぬ」という社則を忠実に守ったエンジニアがアルバム録音テープの最後“ジ・エンド”の後に余裕をもって20秒、間隔をあけて、保存しておいたのでした。
チェック用のアセテート盤には、エンジニアも忘れてしまった「ハー・マジェスティ」が残されたままとなり、チェックしていたポールが最後に入っていたこれを聞いて「おもしろい、残そう」と言い出して、世紀の大傑作のラストにこの“冗談”が残ってしまったわけです。

ですから、“ミーン・ミスター・マスタード”の最後のコード音がそのまま、この曲の前に「ズジャン!!」と入ってしまったままになっているのです。

ビートルズはこのアルバムを女王陛下に送り(よくやるよ)、陛下からはお礼状が届いたというおまけつきです。向こうの皇室はジョークもわかってくれたようです。

そして、このアルバムは全世界で最大のセールスを記録し、マイケル・ジャクソンの“スリラー”に抜かれるまでアルバムセールスの記録を誇っていました。


〈追記〉2022/09/23

この曲についても、ホームページ作成後「アビー・ロード・アニバーサリー・エディション」が世に出て、いくつかのテイクが手に入ることとなりました。

それら音源について再度聞いてみて追記いたします。


2009年ステレオ・リマスター盤

ギター以外に楽器もなく、ものすごいサウンド・エフェクトがかかっているわけでもなく、しかも26秒(このCD)という曲の短さ!なんとも言いようがありませんが、ポールの声には割と深いエコーがかかっています。ギターの音は、繊細というか細くてシャープな感じで録られています。


アビー・ロード・アニバーサリー・エディション盤

こちらはポールのボーカルにエコーはほとんどかかっていません。生声をそのまま生かしたようです。なので逆にその場にいるような感覚になります。
ギターの音は、割と“こもり”気味というか、なにか個室で秘かに弾いているような雰囲気をねらったのか、低音の方が強調され、オリジナルバージョンの方がきれいな音に聞こえました。


アビー・ロード・アニバーサリー・エディション Disc One に収録されたもの

これは録った時の自然な音になっているように感じます。
ここでは、三つのテイクが入っています。
一つ目はオリジナル・バージョンと変わらず自然な感じ。
二つ目のテイクは冒頭間違ったり、ちょっとノドがいがらっほい感じ。
三つ目のテイクは、オリジナルでは消えてしまっている最後のギターの「ポーンッ」ていうポールのギターの締めまで入っています。
エリザベス女王の映画で使われたテイクはこのテイクか。


アビー・ロード・アニバーサリー・エディション 「セッションズ」に入っている「The Long One」
※アビーロードB面のメドレー中に本来「ハー・マジェスティ」が入っていたところに実際収めてメドレー全体を編集し直したものです・・貴重!

「ミーン・ミスター・マスタード」と「ポリシーン・パム」の間に「ハー・マジェスティ」が入っています。
もともとはこういう並びだったんですけど、“いまいち”据わりが悪いというか、居心地があまりよくないように感じました。

あの「ズジャン」というオリジナル盤の冒頭に入っていた音から始まり、なるほどここにこうして収まっていたのかとまずは納得。

で、曲の終わりは、オリジナル同様にポールのギターの“締め部分”はカットして、そのまま連続させる形で「ポリシーン・パム」が被さるように入ってくるように編集されていました。

実はこのアニバーサリー・エディションが出る前にラジオで日本のDJの方がこの部分を自分で編集して作ったメドレーを流していたのを聞いたのですが、そっちの方が「本当はこうだったんじゃないか」というくらい“鮮やか”な手際で編集されていました。
ようするに、編集によっては、このメドレー中程で「ハー・マジェスティ」が入ってくる方が良いのかも・・と思わせることも出来たということで・・。

でも、最終的判断はあのポピュラー・ミュージック史上に残るアルバムの流れで遺っているわけで、それが正解なんだと納得することにいたしました。
いたずらっぽくて、ビートルズ最後のアルバムらしいと思います。

 

2022/09/09

【The Beatles 研究室・復刻版】Past Masters ・ Volume Two[A-8]Revolution

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2004年から2008年にかけて作成したホームページ「The Beatles 研究室」・・2009年リマスター発売後の一部追記も含めてのブログにての復刻版です。ほぼ当時のまま、そして復刻後追記も付しております。
15年以上前の文なので細部の表現・事実についてはお見逃しください。
今回は、アルバム「パスト・マスターズ Volume Two」から「Revolution」を取り上げます。
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ジョンがアップル・レーベルからのシングル第一弾用に書いた曲ですが、それは元々「ホワイト・アルバム」に収められている「レボリューション“1”」でした。

しかし、他の三人のメンバーにスローなブルース・バージョンはシングル向きではないということで、このアップテンポなロックンロール・バージョンに変更したというわけです。でも、結局シングルA面はポールの「ヘイ・ジュード」に取られてしまったんですけど。

この曲はニッキー・ホプキンスというピアノ奏者を呼んで、エレクトリック・ピアノを弾いてもらっていますが、ちょっと割れた感じの音色とクルクル回るようなフレーズなど、なかなかビートルズに馴染んだ素晴らしいプレイを聞かせてくれます。
ローリング・ストーンズのアルバムなどでも活躍しているミュージシャンです。
ここでの成功が後のゲットバック・セッションでのビリー・プレストン招聘に結びついたのかもしれません。

曲全体は圧倒的なギターのファズサウンドが支配し、豪快で爽快なロックンロールに仕上がっています。元々のスローなバージョンを想像することができないくらい、このアップテンポ・バージョンは出来がいいです。

リンゴはバスドラムとスネアのみでリズムを刻み、これも跳ねながら圧倒的な低音強調リズムになっています。

これを書くにあたり、アナログのシングル盤(日本盤のオデオン・レーベルとアップル・レーベルを所有していたので)、それから米キャピトル輸入アナログ・レコード盤の「ヘイ・ジュード」収録バージョン、そしてこのパストマスターズ収録曲を聞きました。

アナログ・シングル盤はモノラル録音で、実はこれが最高に良い出来でした。
音の固まりになってスピーカーから飛び出してくる迫力、リンゴのドラムの音もステレオ盤と異なり適度に低音が抑え気味で絶妙です。
オデオンもアップルもほぼ同じ音でした。

米キャピトル・アナログ盤はステレオで、右からギター、左にリンゴのドラム、真ん中にジョンのボーカルという配置ですが、低音を強調し過ぎている感があります。アメリカ好みなサウンドなのかもしれません。

CDの方は基本的に上記キャピトルのステレオ盤に準じていますが、ドラムの低音はやや抑えめです。
ただ、ステレオ・ミックスはアナログもデジタルもジョンの声が真ん中から痩せた感じで聞こえてきて、それがちょっと気になります。モノラルでは全く感じませんでした。

レボリューションには、プロモーション・フィルムとして世に出ているバージョンもありますが(クリアなビデオ映像)、ここでのポールとジョージの「ポップ・シュビデュワ」とコーラスが入るものも素晴らしい出来です。
ここでのビートルズは演奏もプレイする姿も格好良すぎです。

レボリューションの詩の中身はどうかというと

「でも、何でもぶっこわせという話なら 悪いけど、僕は“イチ抜けた”だ 憎むことしか知らない人のために金がほしいというんなら 僕にいえるのは“兄弟、ちょっと待った”だ」

「それが社会の構造だっていうんなら 自分の精神構造をまず自由にしたほうがいいんじゃないの」

など、ジョンらしいものになっています。訳詞を見ながら聞くのもいいかもしれません。

トレブリーでノイジーなギターサウンドと共に、ジョンの世界を堪能できる一曲です。


〈追記〉2022/09/09

このオリジナル・ホームページを書いた頃には、まだ2009年リマスター盤が出ていませんでした。
なので、今回そのリマスター盤を含め、現在聞くことのできるバージョンを聞いてみて、追記いたします。

さらにマッシュアップされた「LOVE」バージョンや、近年出された「ホワイト・アルバム」のデラックス・エディションに入っているものもあり、さらにさらに、レボリューションには、「レボリューション1」や「レボリューション9」と、もともとレボリューション9が演奏の後部に付いているものもあり、「ホワイト・アルバム」の曲を研究・ご紹介のときにもそれらについて書こうと思っています。

とりあえず今回は、テンポの早いシングル向けの「レボリューション」に近い録音を聞き直してみます。

まずは、デラックス・エディションの「イーシャー・デモ」から

ジョンがアコースティックギターでオリジナルと同じくらいのテンポで歌っています。
複数人の手拍子も入っています。楽器というか、演奏はそのギターと手拍子のみです。
意外とシンプルでいいです(*゚▽゚)ノ
ちょっとくだけた感じのコーラスも入り、リラックスした演奏はとても楽しい。
曲全貌はもう出来上がっていて、あとはエレキ・ギターやベース、ドラムをどう演奏するか、みたいなところまでいっています。

次は「モノ・マスターズ」

非常にバランスよく楽器の音が聞こえるし、スピーカーから“一体”となって音が飛びだしてくる感じです。
ギターの音などは激しくオーバーロードしているにもかかわらず、耳障りとなることなく聞きやすい。ジョンのボーカルの音量も抑制が効いています。まさに“ちょうどいい”というミックスです。

次は2009年・ステレオ・リマスターの「パスト・マスターズ」

アナログでは違和感のあったドラムやベースの異常なくらいの突出した音量も制御されています。
ディストーションのかかったギターもうるさくなり過ぎないところで抑えられていて、こちらも聞きやすいと感じました。
ジョンのボーカルは、モノラルよりも生音っぽい印象があります。
リンゴのドラムもスネアの音などとてもカッコイイ音でミックスされています。

次は「青盤」のリマスター

上記ステレオと同じミックスのはずですが、なんだかこっちの方がワイルドなサウンドに感じます。ギターの音も歪み具合が強いように感じる・・そんなことはないはずなのに。
でもって、ボーカルなどの音は角が取れているというか、“面取り”したみたいな“まろやか”さを感じるという・・気のせいなのか (・_・;・・でも、とてもいいミックスだと思いました。

続いてマッシュアップ・アルバムの「LOVE」から

音は少し“もこもこ”している。だが、バスドラムやベースはけっこう思い切ってボリュームを上げています。
ギターは過剰なくらいにオーバーロードしている部分を強調して、ハウリングもそのまま生かしている。
これはけっこう“きつい”感じで作っていて、聞いているこちらも“しびれ”ました。

デラックス・エディションの「セッションズ」に入っている「テイク14」

これは、演奏だけでボーカルのないものです。
このくらいギターのディストーションは効かせようというような“探る”段階なのかもしれません。
ジョン独特のハンマリング・オンをしながらのリズム・ギターをよく聞く事ができます。
本番の音はさらに過激になっていくのですが、このバージョンも面白い。

同じくデラックス・エディションの「セッションズ」の「アンナンバード・リハーサル」バージョン

こちらはまだハードなギターサウンドになっていない頃のもの。
ジョンのギターは“生音”に限りなく近い。
ジョージもまだどう弾こうか試しながら弾いています。

 

2022/08/25

【The Beatles 研究室・復刻版】Beatles For Sale[A-3]Baby's In Black

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2004年から2008年にかけて作成したホームページ「The Beatles 研究室」・・2009年リマスター発売後の一部追記も含めてのブログにての復刻版です。ほぼ当時のまま、そして復刻後追記も付しております。
15年以上前の文なので細部の表現・事実についてはお見逃しください。
今回は、アルバム「ビートルズ・フォー・セール」から「ベイビーズ・イン・ブラック」を取り上げます。
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ジョンとポールの共作で、しかも二人仲良くハモるという、ビートルズファンとして一番うれしい展開です。
イントロは唐突ですが、でもジョンとポールの歌声が聞こえてきて、それもすぐ忘れてしまいます。
特にサビの部分のポールが高い方を歌うところは最高に盛り上がります。

特筆すべき部分は、やはり、リンゴのドラムです。
なんでもないようなリズムを刻んでいますが、右手のシンバルは、はねるようなリズムを安定して叩き、左手のスネアはワンショットずつリムショット気味だったり、はっきりストロークしたり、16分音符をちょっと入れてみたりして、平凡なこの曲をちゃんとした曲にするのに効果大です。
途中で右足だけのバスドラムでリズムを刻む部分も工夫たっぷりです。

1965年から1966年にかけてのコンサートで、この曲は取り上げられています。
もちろん1966年の日本武道館公演でも歌われています。
日本人にとっても思い出の曲です。


〈追記〉2022/08/25

この曲も今となればいろいと聞くことのできる音源がありますので、取りだして聞いてみました。

米キャピトル盤の「ビートルズ'65」ステレオ・バージョン
ジョンのメインボーカルもバックのポールのボーカルもはっきりと聞き取れます。
リンゴの刻むシンバルのリズムもとてもクリアに聞こえます。
曲の楽しい感じがよく伝わってきます。

同じく米キャピトル盤「ビートルズ'65」モノラル・バージョン
ボーカル、楽器、どの音もはっきりと聞こえる。
英盤2009リマスターよりも“押し出し”が強い。特にコーラス部分が気持ちよいくらい前に出てくる感じがする。
リンゴのタムタムのフィル・インも迫力がある。

2009年ステレオ・リマスター版
米盤と異なり、ジョンとポールのボーカルが一体となって聞こえてくる感じ。
リンゴのドラムもやや後方にいる感じに聞こえます。
リンゴのリズムがバスドラムだけになる部分もややぼやけた感じに聞こえます。

2009年モノ・リマスター版
全体がとても自然なバランスで、とても聞きやすい。
ギターの音も突出した感じはなく、楽曲の中に自然に存在しているように聞こえます。
リンゴのスネアの“キレ”がとても良いことも発見!

武道館公演7月1日バージョン
とてもテンポが遅い。テープを遅く回しているのかと思うくらい。
ギターソロが始まると、歓声が沸きあがり、オーバーロードして音が歪んでしまうくらい。
バンド全体が確かめるような感じで演奏している。

武道館公演6月30日バージョン
7月1日よりは少しテンポは速いが、それでも“ゆっくり”な感じ。
観客の声を抑え気味に録った武道館初日なので、観客の声で音が歪んでしまうことはない。
どちらかというと、ポールがうしろからジョンを支えて引っ張るような感じで歌っているのが印象的。

ライブ・アット・ザ・ハリウッドボウル
ジョンはやや笑いながら余裕のボーカル。
テンポはややゆっくりめ。
ジョンとポールはお互いの声が聞こえている感じがして、確かめ合いながら歌っているように聞こえる。
ポールの高音で歌う部分は声を“張って”、力が入っている感じ。
ベースの音もかなりしっかり入っている。

シングルCD「リアル・ラブ」に入っているもの
1965年8月のハリウッドボウル公演のものかと思われるが、音はかなりクリア。
ジョンはうれしそうに歌っている。ポールも誇らしげ。
観客の声も歪まずに入っている。

シェイ・スタジアム1965年バージョン
リズムはレコードと同じくらいのスピード。
音の分離はよくないが、ジョンとポールのボーカルはよく聞き取れる。
演奏はやや“ながれ”気味で、メリハリに欠ける。

 

2022/08/16

【The Beatles 研究室・復刻版】Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band[B-4]Good Morning Good Morning

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2004年から2008年にかけて作成したホームページ「The Beatles 研究室」・・2009年リマスター発売後の一部追記も含めてのブログにての復刻版です。ほぼ当時のまま、そして復刻後追記も付しております。
15年以上前の文なので細部の表現・事実についてはお見逃しください。
今回は、アルバム「サージェントペパーズ・ロンリーハーツ・クラブ・バンド」から、「グッドモーニング・グッドモーニング」を取り上げます。
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ジョンがケロッグのCMを家でゴロゴロしているときに見かけて、それをモチーフに仕立て上げた曲です。
まずはニワトリが鳴いて曲が始まり、4/4、5/4拍子というジョンお得意の変拍子がこの曲の特徴です。
リンゴはいとも簡単にこの変拍子をこなし、スネアのロールや、クラッシュシンバルを巧みに使ってこの曲の柱となります。

ジョンはブラスセクションも所望し、この曲の勢いの良さをさらにブラッシュアップさせます。ブラスセクションは、コンプレッサーで音を潰し、ものすごい圧力を感じさせるものに変貌させます。

さらに、ポールはギンギンにディストーションのかかったリードギターを披露し、ジョージの出る幕はありません。
リボルバーのタックスマン以来のトレブリーな“これでもか”状態のかっこよいギターです。

そして、ラストはニワトリや象や馬、ネコ、牛、狐を追う狩人などが固まりのようになって右スピーカーから左スピーカーにもんどりうつように転がっていきます。(※注:ステレオ・バージョンの場合)

痛快というか、愉快というか、たかがケロッグのCMを見ただけでここまで曲を作ってしまうジョンの「天才」にはおそれ入るばかりです。
誰がそれだけの材料でこんなロックンロールを作りましょうか?
この曲を批判する人もいますが、この曲はビートルズの、ひいてはジョンの天才ぶりを証明したものだと思います。

アルバムはさらに続き、最後のニワトリの鳴き声のあと、ラストのサージェントペパーズ・リプライズ(※「リプライズ」という日本語発音が「リプリーズ」の誤りだという指摘を後年になって聞きますが、当時は「リプライズ」がいろいろな書籍などでも使われていた一般的な言い方でした。私もそれに慣れているので今回使いました。私の持っている旺文社の COMPREHENSIVE という辞書では、「リプライズ」と発音記号が記されており、さらに米国の発音として「リプリーズ」、反復の音楽用語として「ルプリーズ」が例示されています)へと進みます。


〈追記〉2022/08/16

この曲についても、2009年リマスター後にスーパー・デラックス・エディションなども出て音源がいろいろありますので、聞いてみました。

アンソロジー2に入っているバージョン

ポールのベースが中心にブン・ブン・ブイ・ブイとすごい。
リンゴのドラムは、ほとんど完成版と同じ。
ギターはリズムギターがガイド的に入っている程度。
ジョンのボーカルも完成版とほとんど同じ感じです。


2009年リマスター・ステレオ版

ブラス・セクションが右スピーカーに分かれていて、とても鮮明な音。
ジョンのボーカルは、あまりエフェクトが掛かっていない感じ。
左スピーカーのリード・ギターの“鳴き”が強烈に入っている。
リンゴのドラムもクリアに録られている。
あらためて聞いて、“とても聞きやすい”と感じた。決定版!という感じ。


スーパーデラックス・エディションDisc4

モノラルで、ちょっとボーカルもベースも奥に引っ込んだ感じ。
全体に大人しく、各楽器の音の分離もあまりはっきりしていない。
ブラス・セクションの音は、それほど“ひしゃげた”音に加工されていない。


2009年リマスター・モノラル版

各楽器の音のまとまりがよく、分離してよく聞き取れる。
リード・ギターの音も極端に割れるようなところまで強調されてはいないが、ほど良い程度と感じる。
ジョンのボーカルも自然な感じで、エフェクトに過剰な感じはない。


スーパー・デラックス・エディション・ニュー・ステレオミックス

ものすごいベースの圧力。
ドラムもタム、シンバルをはじめ、全てが“ドカーン”と響くようなエフェクトが掛かっている。
バスドラムも、スネアも、やや異常なくらいに過剰なエフェクトが掛かっている。
ブラス・セクションも思いっきりコンプレッサーが掛り、つぶれまくり。
リード・ギターもこれでもかというくらいの迫力に。
ジョンのボーカルは、はっきりと歌詞が聞き取れるが、音はコンプレッサーのようなもので中域に圧縮されている。


スーパー・デラックス・エディションDisc2

ガイド的なリズム・ギターとリンゴのスネア中心のガイドリズムが収録されている。


スーパー・デラックス・エディションDisc2に入っている上記からの続きバージョン

上記のバージョンからのやり直し的にジョンのガイドボーカルが入って再度曲が始まる。
この時点でリンゴのドラムは変拍子対応をスネアやハイハットをうまく使ってやっているのがわかる。

 

2022/07/30

【The Beatles 研究室・復刻版】Please Please Me[A-4]Chains

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2004年から2008年にかけて作成したホームページ「The Beatles 研究室」・・2009年リマスター発売後の一部追記も含めてのブログにての復刻版です。ほぼ当時のまま、そして復刻後追記も付しております。
15年以上前の文なので細部の表現・事実についてはお見逃しください。
今回は、デビュー・アルバム「Please Please Me」から、「チェインズ」を取り上げます。
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ジョージがソロでボーカルを取る、最初の曲となります。
このアルバムで、前の三曲では、ポールとジョンがソロでもデュエットでも遺憾なく実力を発揮し、ジョージにとってはちょっとやりにくかったかもしれません。

でも、生真面目過ぎるほどの丁寧な歌いっぷりに逆に好印象を当時のファンは感じたかも。
ジョンが真ん中、ポールが高音、ジョージが低音を歌うコーラスは、バッチリ決まってます。やっぱりビートルズのコーラスは天下一品だと感じさせてくれます。

この曲は、ビートルズの作曲ではなくて、あのキャロル・キングがまだソング・ライターのみで、歌っていなかった時代の作だそうです。
アメリカでは、黒人女性グループのクッキーズがレコーディングし、17位までいったとのこと。
ビートルズは、当時ガール・グループの曲を取り上げていますが、その中の一曲です。

あまり注目される曲ではありませんが、ジョージの初々しさを感じ、ビートルズ初期の脈動を感じたいときには、どうぞこの曲をご賞味ください。


〈追記〉2022/07/30

手元にあるいくつかの「チェインズ」の音源を聞き直してみました。

先ずは、米国キャピトル盤「アーリー・ビートルズ」に入っているステレオ版。
ジョージのボーカルがジョンみたいに聞こえます。また、かなり“しわがれて”います。
何度かテイクの録り直しがあったせいかと思われます。
左右の分離は、かなり“はっきり”しています。
ギターの音も、とてもクリア。バックのジョンとポールのコーラスもよく聞こえます。

続いて、同じ米国キャピトル盤「アーリー・ビートルズ」のモノラル版。
英国オリジナル・モノラル盤よりもワイルドで、全体に音が歪んでいる感じがします(ギターもボーカルも)。
ジョージのボーカルは歪んだことによって、逆にリアル感が出ているように思います。

次は、アルバム「ライブ・アット・BBC」を聞いてみます。
リズム・ギターが軽い感じでリラックスして弾かれています。ジョンのリズム・ギターって、軽く弾いてもけっこうしっかりとしたカッティングにいつもなっているのです。
ジョージのボーカルはオリジナル本編と異なり、つぶれていなくてやさしい声。
リンゴのドラムは、割と一生懸命に叩かれていて、ハードヒットしている感じです。

そして、いよいよ2009年のステレオ・リマスター盤。
米国盤よりも、全体に落ち着いたミックスです。
アメリカほどギターの音が強調されていません。
ジョンとポールのコーラスも後ろで自然に聞こえています。

最後は、2009年モノラル・リマスター盤。
ジョージのボーカルを明らかに中心にしてミックスされています。
後ろの二人のコーラスは“かたまり”になって聞こえてきます。
リンゴのドラムも歯切れ良く、とてもいい音。
リズム・ギターも曲をよく引っ張っているように聞こえました。

 

2022/07/14

【The Beatles 研究室・復刻版】The Beatles (White Album)[B-3]Blackbird

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2004年から2008年にかけて作成したホームページ「The Beatles 研究室」・・2009年リマスター発売後の一部追記も含めてのブログにての復刻版です。ほぼ当時のまま、そして復刻後追記も付しております。
15年以上前の文なので細部の表現・事実についてはお見逃しください。
今回は、アルバム「ザ・ビートルズ(通称:ホワイト・アルバム)」から、「ブラック・バード」を取り上げます。

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ポールがインドで書いた曲で、ジョンが「ジュリア」でスリーフィンガーを使ったのと同様に、この曲についてもドノヴァンから教わった奏法を用いています。
同じ奏法を使いながらも、二人の“違い”もよくわかってファンにはとても面白いと思います。

録音はポールのみで、楽器はギターのみ。打楽器に聞こえるのは、ポールが足でリズムを取っている音です。(※この足でリズムを取っている“タップ音”のようなものもEMIのライブラリーにあった足音の音源を使っている、というようなことを書いている本もあります。でも、にわかには信じられない・・)

ちょっと聞いた感じでは、何気ないどこかで聞いたような良い曲、といった印象を受けます。
でも、よく考えてみてください。こんな良い曲、誰が書けるでしょうか?アルバムの中では、通り過ぎてしまうような場所にいて、ちょっとした佳曲となっていますが、実は他のアーティストにもカヴァーされる名曲なのです。

つまり、それがポールのすごいところなのだと思います。名曲をさらっと書き、そっと置いておくのです。まさに天才、まさに名人。

エフェクトとして入っている鳥の鳴き声は、EMIスタジオのライブラリのものだそうです。入れて良かったと思います。気ままなブラックバードが大空を飛ぶ光景が目に浮かぶようです。

ポールは、ビートルズ解散後も、ライブでこの曲を取り上げています。きっと本人も気に入っているのだと思います。

ホワイトアルバムを最初に聞いたときには、この曲のところで「おっ・・」と思いました。あとでアルバム全部を聞き終わったら、この曲を聞き直してみようと思ったことを思い出します。

ポールのソングライティングの素晴らしさをあらためて感じる名曲です。


〈追記〉2022/07/14

ポールのギター奏法は、「スリー・フィンガー」というよりも、実際は「ツー・フィンガー」で弾いていて、ジ・アルフィーの坂崎さんが名人芸的にポールのこのブラック・バードの演奏を再現しているのを見たことがあります。
特に人差し指の“前方に弾く”ような独特の弾き方が「あぁ、ポールがステージ上でこの弾き方していたな」と思い出させるものでした。坂崎さんのビートルズに対する探求は、その他いろいろありますので、また別の曲のときにご紹介します。

この曲のインスピレーションが、バッハの「リュート組曲ホ短調・第5曲プーレ」だというポールの発言が残っているようです。
クラッシック・ギターでよく演奏される曲だそうで、メロディとベースラインがハモるところに惹かれたとポールが言っています。

また、この曲が黒人の公民権運動への応援歌なのでは・・というのも、ファンのあいだでは知られているようです。私はよく知らなかったのですが。
ジョンのように直接的に歌わずに、ブラック・バードになぞらえて象徴的にしているのがポールらしいのかもしれません。

では、その後音源もいろいろ出回りましたので、あらためて新しい音源を聞いてみました。

2009年ステレオ・リマスター盤は、ポールの足踏みの音もきれいに入っているし、ダブル・トラックのボーカルもバランスよく入っている。
鳥の声のエフェクトは、モノよりもやや遅く始まるが、音自体は同じものです。

2009年リマスター・モノラル盤は、ステレオよりもとても落ち着いた印象。
ポールのボーカルもダブル・トラックがあまり強調されていません。
足のタップ音は、割とはっきりと入っていると思います。
鳥の声のエフェクトは、いったんブレイク後にギターが始まると同時に開始され、こちらの方がすっきりとしています。

ステレオ、モノともに、同じところでイントロ部分が差し替えられ、曲の途中のギター演奏部分を貼付けてイントロとしています。
いったん、モノのミックスを終えたあと(当時は、ビートルズのメンバーが実際に最後のミックスまで取り組んでいたのはモノの方で、こちらがオリジナルと言っていい訳です)、ステレオ・ミックスの作成時にイントロ差し替えがあり、モノも、その後ステレオと同じくする必要が生じて(モノとステレオのイントロが異なって販売されるのを避けるためと思われる)、両者同様のイントロ差し替えとなったようです。

アンソロジー3に入っているバージョンを聞いてみました。
かなり“生”の音そのままに録音されていて、ギターのラフに弾かれている部分もそのまま。
ポールのボーカルも加工はされていないと思います。
曲自体は、ほとんど完成されている状態です。

続いて、スーパー・デラックス・エディションの「イーシャー・デモ」のバージョン。
ADTを使い、ポールのダブル・トラック・ボーカルがものすごく強調されています。
ギターの音も割とワイルドで音量も大きい。運指や、つま弾きの様子も生々しく聞こえます。
このバージョンはプリミティブ・バージョンだが、本番よりもいいくらいです。
とてもポールらしい曲に聞こえました。

さらにスーパー・デラックス・エディションの「セッションズ」に入っているバージョン[Take 28]。
きっちりと、まずはスタジオで録っている感じ。
ギターも丁寧に弾かれている。
ボーカルもダブル・トラックにはまだなっていない。
ポールが、「こんな感じ」って弾いている様子が伝わってきます。

スーパー・デラックス・エディションのメインとも言える「ジャイルズ・マーティン・リミックス」。
丁寧にこの曲の良さを表現しようとしている感じ。
あまりダブル・トラック部分は強調せず、ボールの“歌いっぷり”を堪能できるようなミックスだと思います。
ギターも実に自然で強調のない演奏に聞こえます。
余計なエコーも極力取り去っているようです。

最後は、マッシュアップ・アルバム「LOVE」ミックス。
これはイントロだけいただいて、曲に入ると「イエスタデイ」になってしまいます。
「素材」としてイントロだけ使われていますが、“いい音”でギターが入っていました。

 

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