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2024/08/19

「日本語 根ほり葉ほり/森本哲郎」を読みました。

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『日本語 根掘り葉掘り/森本哲郎著(新潮文庫)』を読みました。
この本は、1991年に新潮社より刊行され、4年後に文庫化されたものです。

三十年以上前の本ですが、読めばいろいろと今のこの時代に思い当たることがいくつもありました。

当時、日本語の「けじめ」は、アメリカ人も「Kejime」として英語にはない言葉であるとしていたとのことですが、そのアメリカ人から著者・森本さんは「日本人は“ケジメレス”だ」と言われたエピソードが書かれていました。
「けじめ」に英語の否定の接尾辞「less」を合成し、結局『日本人は“けじめ”がつけられないのだ』とい言われてしまったわけです。
今の時代はさらにそれが顕在化して、裏金議員も、特定宗教団体と関係を持つ議員も、もうすぐ辞める首相も『ケジメレス』です。

また、「厳粛に受けとめる」という表現は、良心がそう言わせるのでなく、世間に向かってただ神妙な顔をしてみせるポーズに過ぎないと、当時の森本さんが書かれているのです。
閣僚の不祥事が起こると、どっかの総理がいつも神妙な顔をして、「厳粛に受けとめ」てましたねぇ・・。

さらに、情報化だなんて言っているが、人は必ずしも何もかも知りたいとは思っていない。なのに否応なしに“耳目をそばだたせる”ような表現をとり、大仰な言葉を使って人の関心や興味をむりやりに引きつけようとする・・とも書かれていました。
これなどまさに今のネット社会、SNS、動画サイトに大きく反映されているのではないかと思いました。30年以上経って、どんどん事は大きくなっている。

最後にもうひとつ私が気になったこと。
当時の討論番組などで、やたらに大声を張り上げたり、不作法で、攻撃的で、粗雑な人間ほど受けている・・と書かれていました。
今はその不作法なヤツらばかりでコメンテーターを構成している番組が目白押しです。
私はもう見ていない。吐き気がする。

ということで、30年前に恐れていたことが今やほぼ毎日当たり前に起こっていると言わざるを得ない状況だと思いました。

マスメディアも安い構成の番組しか作らず、ジャーナリストと言えるような人は激減しています。
どんどん心が暗くなるので、本日はここまで・・。

 

2024/07/26

「いつも日本語で悩んでいます/朝日新聞社校閲センター」を読みました。

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『いつも日本語で悩んでいます/朝日新聞社校閲センター(さくら舎)』という本を古本で見つけ、読んでみました。
2018年第一刷発行のものです。

だいたい予想どおりの言葉が並んでいましたが、よくスポーツ選手が言う「みなさんに希望を“与えられる”よう頑張りたい」っていう“与える”という言葉が失礼じゃないか、という読者の意見が新聞社に来るという話。

選手には毛頭、上から目線で言っているようなつもりはないものと思われますが、この問題に対するひとつの回答として、囲碁の七巻独占を達成した井山裕太名人が熊本地震の被災者を気遣って「少しでもいいニュースとして受け取っていただけたらうれしい」と語ったことが載っていました。さすがと思いました。

あとは「真逆」という言葉。あっという間に広がりました。
1990年代から使われ出したらしいのですが、現代用語の基礎知識に載ったのは2007年版とのこと。
私には2000年代に入ってから耳にすることになった記憶があります。
小さい頃から一度も聞いたことがない表現でした。
今や私が使っている「正反対」という言葉の方が多勢に無勢で使われる頻度は少ないようです。
でも、私は一度も「真逆」を使ったことはない。体に沁み込んでいない表現だから。

「前倒し」に対する「後ろ倒し」っていうのも載っていました。
どうやら、議員が使い始めたのではないかという説があるようで、“先延ばし”と本当のことをいうと、批判されるのではと“後ろ倒し”と言ってごまかしているんじゃないかと思います。

半端ではない → ハンパない → パネェ っていうのも載っていました^_^;
私は死んでも使わないと思います。

「やばい」もすっかり“いい意味”で使っても若い人には(といっても40代くらいまでか)違和感がないと思われます。
もともと、ヤクザや泥棒業界の隠語なので私は“いい意味”では絶対に使いませんし、悪い意味でも下品なので使っていません。ふざけ合っているときくらいでしょうか。

などと、それこそたくさんの言葉が登場しています。
意外と朝日新聞は寛容で、「使ってもいいんじゃないでしょうか」というスタンスが目立ちました。

これからも面白いので、こういう本にはアンテナを張っておきたいと思いました。

 

2024/05/07

「全身翻訳家/鴻巣友季子」を読みました。

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『全身翻訳家/鴻巣友季子著(ちくま文庫)』を古本で読みました。
著者、鴻巣さんは翻訳家で文芸評論家、この本はその鴻巣さんのエッセイ集です。

2007年に「やみくも」というタイトルで刊行されたものを組み替え、加筆・修正し、さらに新聞、雑誌等に掲載されたエッセイも追加して発行されたものです。

鴻巣さんは小さい頃から色々な“習い事”を親に言われてやったようですが、文科系も運動系も苦手なものばかりで身につかず、でもあるきっかけから英語に興味をもって、「将来は翻訳家しかない」という思いを持つようになり、それを現実化したということが、読んでいてわかりました。

翻訳家って、ただ小説などを翻訳していればいいというわけではなく、その作品自体の“読み解き”が出来るかどうかだとご本人も書かれていましたが、このエッセイを読んでいるだけで、鴻巣さんの独特の視線というか、作品からその“匂い”を感じ取り、心憎い翻訳をされているのが例示されている翻訳を読んでいてもわかりました。

実際に外国に出掛けて行った鴻巣さんの旅の様子も書かれていましたが、街並みやホテルの様子、出会った人、それにこれも驚いたのですが、外国のお酒には滅法詳しい!しかもマニアックかつ、外国小説に出てきたお酒はこれだろう・・という推察も玄人です。

また、細かい言葉遣いなどにも気を配られていることもわかりました。
「ドタキャン」や「まゆつば」「かもねぎ」「早弁」などは略して言うことでしか表現できない気分が漂っているが、「半端ではなく」を「半端なく」と言ったり(※若者言葉の“ハンパない”とは違う元来の意味で)、「正直言って」を「正直」、「基本的に」を「基本」と言ったりすると、一字二字を惜しんで忙しがっている感じがして、野暮ったい、ともおっしゃっています。
これについては、私も同感です。
仕事をしていた時にはそういうタイプの人には警戒しました。油断ならない人が多かったので。

色々書きましたが、翻訳家の“生態”のようなものもわかり(*^^*)面白い本でした。

 

2024/04/27

内館牧子さんの「女の無作法」を読みました。

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『女の無作法/内館牧子著(GS幻冬舎新書)』という本を読みました。
2018年第一刷発行となっています。

内館さんが仕事やその他いろいろな付き合いの中で、「こんなときにはこう振舞った方がいい」とか「そんなこと言うと誤解されるよ」とか「あの言動は我ながら失敗だった」というようなことが数々書かれていました。

若い人が喋っている会話そのものが何と発音しているのかわからない、というエピソードも書かれていましたが、私もそうだし、いわゆるJPOPで歌われている歌詞は日本語であるのに歌詞カードを見なければほぼ理解できない状況にいるのが私です。
なんとかして英語に聞こえるように日本語を妙な発音にしていると思われますが、はっきり言ってみっともないと思っているところです。

内館さんが委員として出席している会議の中で、やたらカタカナ語が使われていることも指摘されていました。

センター・オブ・センター、ワイズ・スペンディング、アウフヘーベン、ダイバーシティ、オーラル・フレイル、エンゲージメント、イノベーション、アジェンダ、イシュー、ステルス、マスト・アイテム・・・(^^;)などなど、どんどんわからなくなっていくばかりです。
私が感じていることを言わせてもらうと、論点やほんとうのことを“ごまかそう”としているときにあやしいカタカタ語が使われているんじゃないか・・と。

若い人の「ヤバイ」「無理」「受けるゥ」も、ほとんど会話のときにこの三語で済まそうとしているのではないか、と内館さんは疑っていますが、他に語彙が無いんでしょう、たぶん。

若い人に負けず劣らず、国会議員の皆さんにおかれましても、仕事上の失態や不倫の釈明も、だいたいが「誤解を招くことをしてしまった」という言い訳にもならない説明をしています。
誤解しているのはお前だけだ!と言い返してやりたいっ!
誤解じゃない、あの失態や失言はまさにお前がやったこと、言ったことだ、誤解のしようがないぞ。
二人でホテルに入り、一晩経って二人で出てくるところまで写真に撮られても、それでも誤解を招くことをしてしまったと言っている・・、二人でトランプでもやっていたんでしょうね ^_^;

この本に書かれていたのは、内館さんの仕事での相手方や私事で付き合いのあった人とのいろいろなトラブルのようなことがたくさんありましたが、それは今回は割愛いたします。
けっこうすごい内容なので、実際のこの本を読んで「ああ、なるほどそうなっちゃうのね」と感心することしきりなのでぜひ本屋さんで手に取ってみていただきたいです。

今回の読後感はここまで。

 

2024/04/10

俳句を詠んでみる_0044【 花粉症 そうなんですね 聞く気は無し 】

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よく女子アナがインタビュー時にする返答で一句詠んだ。

【 花粉症 そうなんですね 聞く気は無し 】

《背景》季語:花粉症[春]
ある一定の年代の、特に女性のリアクションとして発せられる「そうなんですね」。

花粉症で大変なんだよ → そうなんですね

旅行が好きなんです → そうなんですね

健康診断で再検査になっちゃってね → そうなんですね

全く聞く気なし。
その話題を進展させる気なし。
あなたに興味なし。

そんなことだと思います。

 

2024/03/22

「おしゃべりの思想/外山滋比古」を読みました。

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『おしゃべりの思想/外山滋比古著(ちくま文庫)』という本を読みました。
古本で手に入れましたが、1980年6月に毎日新聞社から刊行された『ことばの四季』を精選・再編集し、書き下ろしも加えられています。そして2013年に文庫本として発行されています。

著者が言葉について、そして特に街に出て聞いた言葉や縦書き・横書きについて、テンとマルについて、語尾の処理などについても書かれていました。
日々変わりつつある言葉についても敏感に感じ取られていたことがわかりました。

私がおもしろいと思ったのは、昔、こどもがかけっこをするときの合図に、「ガッテンショー・ドン」と言ったという話です。
著者がこどもの頃の名古屋では「オーヤマゲッセン・ドン」と言っていたとのこと?(・。・;

実は前者は「アテンション(用意!)・ドン(ピストルの音)」だったということがわかり、後者は、「オン・ザ・マーク ゲット・セット ドン」なんだそうで、そういえばオリンピックなどでも100メートル走のスタート時にこんなふうに言っていたように思います。

言われてみると、なあるほど!となります(#^.^#)

もうひとつ、すでにこの本が書かれている時点で「手紙」というものが衰退の一途を辿っているような記述がありました。
著者は、「手紙を書くのは、文章の練習になる。学校でも作文を書かせるよりは手紙を書かせた方がはるかに実際的ではないか。」と言っています。

そして、この時期でもほとんどの人が携帯電話がいちばんの伝達手段になっていて、手紙を書くのはめんどうだという人が多いとも書かれています。
著者は「手紙を書くのはめんどうだという人が多いけれども、めんどうでない文化などあるものではない。」とも書いていますが、もう“多勢に無勢”です。

今の私にとっても、手紙を個人あてに書くなどということは、中学時代の担任の先生とのやり取り以外に無くなりました。

ある人から「あのぅ・・私、〇〇さんから手紙をもらったんですけど、どうすればいいんですか?」と聞かれたことがありました。

「返事を書けばいいんじゃないですか」と言ったんですけど、「手紙なんて書いたことがありません。困ったなぁ。」という返事でした。

挨拶でもお礼でも、なんでもいいから書けばいいんですよ。と言ったものの、手紙を書くことがすでに今の人にはハードルが高いんだな、ということがわかりました。

この本は、読んでいると、時代が古いので「ああ、昔はそんなだったなぁ」ということも多かったのですが、でも、人として言葉を操るときには「これが大事だ」ということが書かれていました。
頭と心の栄養になりました。

 

2024/02/26

井上ひさしさんの「日本語相談」という本を読みました。

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『日本語相談/井上ひさし著(朝日文庫)』という本を読みました。
1995年第一刷発行となっています。かれこれ三十年近く前の本です。

日本語の語源や、歴史、意味、文化、風俗など、週刊朝日の読者から寄せられた疑問に回答していく、という形式で綴られたものです。

「いい」と「よい」は、どちらでもいいのか?という疑問も投げかけられていました。
私も、ブログを書いていて、いつも迷うのです。「どちらにしようか」と。

ま、どちらでもいいらしいです。でも「いい」は口語的表現で「よい」の変異形と言ってもよく、「よい」の方が素性が正しく、形容詞としての活用形を持っていると答えられています。

大筋で私が使う時の選択は間違っていないようでした。

あと、私がしょっちゅうこのブログで言う、「視線」と「目線」の違いも書かれていました。
目線はもちろん業界用語です。
だから目線にはなんとなく人工的で、計画された響きがあり、使い方によってイヤな感じがしてしまうのだ、と書かれていました。私もそう思います。

もうひとつくらい挙げておきましょうか。
「自民党さん」「総務課さん」「千葉市さん」などのように組織名に「さん」をつけて呼ぶことが多くなったとも書かれていました。

私にはなんとなく“白々しい”感じがします。
地図などに「千葉銀行さん」などと目印に書かれているのも違和感があります。
固いこというなよ、と思われるかもしれませんが、なんだかしっくりこないし、馴染めない。

などと、上記のようなことについて井上ひさしさんがかなり色々調べた上で、時には真面目に、時にはくだけた形で回答している本、楽しく読みました。

 

2024/02/25

続報!!夏井いつき・句会ライブ in 市原市民会館(^-^) 俳句を詠んでみる_0001【 ガムテープ はがして 涙 残る雪 】

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Instagram から Facebook 経由でお知らせしました、テレビ「プレバト」の俳句コーナーでお馴染みの夏井いつき先生の句会ライブの状況。
こちらブログからは詳しくお伝えいたします。

2月24日(土)に市原市民会館で行われた上記の句会ライブ。妻が新聞折込チラシで発見し、行ってみようということで、出掛けました。
会場ロビーには、いかにも俳句のお仲間らしき団体の方々がいくつものかたまりとなり、挨拶など交わしていました。“自信満々”な感じで、たじろぎました(^^;)
着物を着て“いかにも”先生のような方も。

 

 

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希望者数名が俳句づくりにチャレンジするのを観客が見守るのかと思っていたら、夏井先生から俳句の楽しさ、簡単な作り方などのお話しを聞き、そのあと全員が俳句を作るのだと知って・・逃げようかと思いました( ゚Д゚)

で、スクリーンに今日のお題として「文房具店内」の写真が映し出され、これが今日のテーマです。はいっ!5分で作ってください。・・(^-^; あわてて写真に映っている文房具類などを見て、「ええいっ!」と書き、提出。回収もあっという間でした。

その後休憩時間があり、その間に夏井先生がどんどん選別していき、いくつか面白いものを読み上げ、最終的にはスクリーンを見てください!と映し出されたのは『七句』の俳句でした。
誰が書いたものかは、絶対の秘密となり、七句それぞれに会場にマイクが渡り、観客と先生で七句への批評が行われました。

 

 

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そして、優勝はその後観客の拍手によって決まることになり・・・インスタではご報告いたしましたが、優勝は私でした(#^.^#)
「どなたが書いたの?立ち上がって」と夏井先生から言われて立ち上がったのでした。

一番驚いたのは、隣に座っていた妻でした。

『ガムテープ はがして 涙 残る雪』が優勝句です。

一番最初の写真は、その句を妻が書いてくれて、さらに工作して「千代紙」をちぎり、カレンダーにしてくれたものです。ありがとう。

 

 

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優勝賞品として、先生から松山市の施設の割引クーポン付きの名刺と一緒に最新のご著書。これには『祝・句会ライブ優勝!!』と書かれたサインも入れていただいてありました。

先生からどういう句なのかと聞かれ、

自分は東京勤務時に、いくつもイベントを開催したが、撤収するときに色々と貼ったり留めたりしていたガムテープをベリッとはがし、そのとき「はがし残し」などもある。
それを春の残り雪のようでなぞらえた。

また、剥がすときにイベントでのいくつもの失敗や、お叱りなどを思い出すとともに、同僚の女性職員二人が必死に頑張ってくれた表情も思い出し、くやしさや、辛さ、感謝の気持ち、やり遂げたうれしさなどがこみ上げて来て涙してしまったのです。

と説明しました。

観客から見た批評会のときには、

「男と別れた女性がアパートなどに引っ越し、新しい生活を始めるために引っ越しの梱包のガムテープをはがしていて、思わず涙した句ではないか」

とか ^^;

「都会に就職した若者が、引っ越し先の自分の部屋に届いた故郷の父母からの野菜などの入った梱包をバリバリと開け、そして新しい仕事への不安や、父母の心づかいに泣いてしまったところだ」

などと感想が出ていました。

 

 

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結局、私はいろいろな取り方ができるようになったけど、それもいいや、と提出したのです。
それがよかったのかも。

他の入賞六作は、俳句づくりに熟れた素晴らしいものや、取り上げた文具が面白い取り扱いをされているものなど、私にはとてもとても作れるようなものではありませんでした。

生まれて初めて書いた、ビギナーズ・ラックですが、でも自分の素直な気持ちをそのまま真っすぐに書いたことが良かったのかもしれません。

終演後、会場を出る時に何人もの人から「おめでとう!」と声をかけられ、とても幸せでした。

先生からいただいた本を読み、これからは俳句を作ってみてもいいかも、と思っているところです。

 

2024/02/14

「日本語おもしろい/坪内忠太」という本を読みました。

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『日本語おもしろい/坪内忠太著(新講社)』という本を古本で見つけ読んでみました。
2010年初版の本ですが、著者は慶応大学卒業後、書籍編集のかたわら、「雑学知識」を収集、雑学や様々な謎に迫るような本を書いている方です。

下手くそな役者をなぜ「大根」というか?とか

「超ド級」の《ド》って何だろう?とか

なぜ「十八番」と書いて「おはこ」と読むか?

などなど、私が日常使っていても、その起源、語源、謂れ因縁故事来歴がわからない言葉などを解説している本でした。

「副食」のことを「おかず」というが、なぜか?
なんていうのもありました。

これは、主食につけ合わせ、何品か“数を取りそろえ”て出す、数があることを女房言葉で「おかず」といったということなんだそうです。
女房言葉は、宮中に仕える女性が使った言葉で、衣食住に関するものが大半でした。
同様の例をあげると、「おつけ」「おにぎり」「おはぎ」「おひや」などがあるそうです。

というわけで、「おかず」は女房言葉なんだそうです。

“ミュージシャン言葉”で「おかず」というと、因みに私はドラムを叩くのですが、リズムを刻みながら、時々入れる“合いの手”のようなフレーズ「タカタン・トコトン」などとタムタムを中心に叩くフレーズのことを言います。
国外のミュージシャンは「フィル・イン」などと呼んでいます。

「ズンタタ・ズンタ」などというリズムは“主食の白米”であり、「タカタカ・トコトコ」などと合いの手状態で入れるフィル・インは“おかず”というわけです(#^.^#)

おもしろいねぇ(*^^*)

きっといろいろな分野の俗な専門用語などにもこんな言葉が見つかるかもしれません。

面白い本でした。

 

2024/01/20

猿丸俳句、初めて知って初めて読んでみた

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『点滅/榮猿丸(さかえ・さるまる)著(ふらんす堂)』という句集を古本でたまたま見つけ、パラパラと頁を捲ってみたら、「なんだか面白そう」と感じたので、そのときの感覚を信じ買ってみました。
そして読んだらやはり面白かった。新鮮。

付録のように別冊で付いていた冊子には、著者猿丸氏の句が角川俳句賞の選考会で紛糾した様子なども書かれていました。
結局、受賞には至らなかったのですが、氏のカタカナが多用されたり、通俗的なところを詠んでいたり、何でも詠んじゃう、ほかに似たような句をあまり見ないなどの特徴は私にも強く感じることができました。

と、書いてみてもどんな感じなのかわからないと思いますので、私の心にふれてきた句を少し挙げてみたいと思います。

麦酒飲み 弱音はく父 嫌ひでなし
・・・私の父が酒を飲みつつ弱音をはいているのを見たことは無かったが、今の自分は父として弱音をはきそうだな、と思いつつそれも仕方ないよと、この句を味わいました。

みやげ屋の 二階食堂 デザートは柿
・・・ひなびた感じのみやげ屋の二階にある食堂。デザートが柿だなんて、なんだかピッタリで、ちょっと哀愁を感じました。

マフラーの 長しよ 恋の短しよ
・・・私が中学生の時の冬に彼女が編んだマフラーをもらったことがありましたが、次の冬までその恋はもちませんでした(T_T)

炎天の ビールケースに バット挿す
・・・これは強烈なリアル感がありました。昔、草野球をやっていた頃の感じがよみがえりました。

ダンススクール 西日の窓に 一字づつ
・・・これも同じことを実体験していて、三丁目の夕日的に“いいな”と思いました。

汝が腿に触れ ジーパン厚し 夕薄暑
・・・腿とジーパンを持ってきた感性がすごいと思ったし、感触が伝わってくるよう・・。

ストローの蛇腹 コココと 折りて夏
・・・この句のミソは「コココ」だと思います。たしかに「コココ」だが、今まで「コココ」で表現した人なんていたのかな?!と思いました。

ゆく秋や ちりとり退けば 塵の線
・・・ちりとりをパッと持ち上げたときにできている、あの“線”(#^.^#)、句に詠んじゃうんだ、と感心いたしました。

以上、少し面白かった句と、私の感想を書いてみました。

装丁も良く、付録的な冊子も面白い、新鮮な感覚の句集でした。

 

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