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2023/10/10

「見事な死/文藝春秋編」を読みました。

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『見事な死/文藝春秋編(文春文庫)』という本を読みました。
2008年発行の本で、古本で手に入れました。

著名人の最後の様子について故人の身近にいた方々が記したものです。

作詞家の阿久悠さんや、プロ野球・長嶋茂雄夫人の亜希子さん、映画の黒沢明監督、映画評論の淀川長治さん、世界的なモデルの山口小夜子さん、プロレスのジャイアント馬場さん、俳優の岸田今日子さん、作詞家・安井かずみさん・・四十数名の方々の亡くなる前と亡くなったそのときの様子について書かれていました。

中には有名人といっても犯罪者もいたりして、決して「見事」とは言えない「死」もありましたが、それはそれで驚きつつ、興味深く読みました。

最後の最後まで“前進”を止めない人、周囲に対してやさしくなっている人、突然のことで自らの死を覚悟することも出来なかった人、自分の死を何歳だと決めてそれに向かって事を成していく人、最後を悟って旅に出たりする人、自分が死ぬ前に親や配偶者が亡くなり逆にオロオロする人・・実に様々な様子が描かれていて、正直、私も自分の最後について考えてしまいました。

読んでいて、亡くなったあとに、いい思い出と共に周囲の人たちの心に残る人であることがいちばんなんじゃないかと思いました。
難しいけど、それは頭の中に入れておこうと思います。

具体的な個々の最後の様子について、ここではふれませんが、人にはその人なりの亡くなり方があって、案外「なるほど、この人らしい亡くなり方だ」と思ったのも事実です。
つい数年前に生死をさまようような経験をした私ですが、あのとき覚悟したことを思い出し、これからの毎日を生きようと思います。

 

2023/09/25

佐倉市立美術館で開催されていた企画展「IMAGINARIUM」を見てきました。

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《Junaida》さんという「Michi」「の」「怪物園」「街どろぼう」などの近年立て続けに出版した絵本が話題の画家の企画展を見に、佐倉市立美術館まで出掛けました。

長女がファンで、妻も気になっていたということで、「じゃ、私も」と、三人で見に行きました。
そして行ってよかった(#^.^#)素晴らしい絵の数々(400点超の出展数)に時間がいくらあっても足りないくらいでした。

佐倉市立美術館には初めて行ったのですが、展示の仕方がとても工夫されていて驚きました。
怪物たちが夜中に群衆移動していく絵を壁一面の動画投影で表現している部屋があったり、ジュナイダさんが描いたものを実物で表現した本棚が展示されていたり、テントのように暗幕を利用して同室内に別の雰囲気の展示スペースが存在していたり、と見ているこちらが飽きるということがありませんでした。

 

 

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私は長女におしえてもらうまで、このジュナイダさんという作家を知りませんでしたが、いっぺんに好きになりました。

不思議でメルヘンチックな画風であるが、ちょっと怖い感じ。
また、この世から逸脱したような奇怪な様子、楽しそうだけど奇妙な家々やそこに住む人間とその他怪しい生物たち。

楽しめました。二時間ほど見ていました。

 

 

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あとで聞いたら二作品以上を同時に撮影するなら写真撮影可だったのだそうです。
知らなかったので写真は撮りませんでしたが、チラシと当日買ったポストカードの写真を掲載しておきます。

また自分にとって新しい作家の作品を知り、とてもうれしい気持ちで美術館を出ました。
帰りに近くの食堂で昼食を摂ったのですが、そこもよかった(*^^*)、その様子はインスタグラムで・・。

 

2023/06/29

永六輔さんの「老い方、六輔の。」という本を読みました。

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『老い方、六輔の。/永六輔 構成・矢崎泰久(飛鳥新社)』という本を読みました。
平成16年発行のこの本は、永さんとはあの「遠くへ行きたい」という有名なテレビ番組の時代から付き合いがあった「話の特集」編集長の矢崎泰久氏がインタビュー形式でまとめたものとなっています。

読んでみたら、けっこう内容は“濃い”ものでした。
永さんが幼かった頃に病弱で学校に行けず、病院で過ごしていた頃から始まり、その後の疎開先でのいじめを受けたことについて、様々な時代を経て、やがて奥さんを看取ったことから「死」を考えることになり、「死」についても多くの頁を割いて書かれています。

そして今度は自分が亡くなるまでをどう生きるか、どう死ぬか、までを永さんらしくどんどん語って行きます。

また、言葉についての発言も多く、言葉に込める思いが手紙・葉書となって毎日ラジオのリスナーや手紙をくれる人達への年間何万通にもなる「心の通い」となって投函している話も出てきます。

近年、手紙の配達は土日が休みとなり、その週に相手方に手紙が届くようにするには水曜日までに投函せねばならなくなりました。
手紙というものが郵便事業の一番たいせつなものなんじゃないか、と日頃思っていた私には、もう紙に書いた「言葉」はそんなに大事なものではなくなってしまったのだな、とがっかりしていた矢先に、上記の永さんの日々手紙を書くお話しを読んで、・・大事なことだったんだよな、としみじみ思うことになりました。

永さんと言えば旅の話も、もちろん書かれていました。
日本全国いろいろなところに行っていますが、家に帰るのは“旅の合間”だったらしく(^^;)奥さんにはたまに会うみたいなことだったらしいです・・ちょっと信じられませんが、旅先から奥さんには葉書を送っていたとのこと。
旅先か家か、どっちが生活の根拠かわかりません(^-^;

で、奥さんが亡くなられてからも、旅先から奥さんあてに葉書を出していたとのこと。
それを自分が帰宅したときに郵便受けから受け取るわけですが・・どんな気持ちなんだろう。

と、あれこれ書いてしまいましたが、最後には“かかりつけ医”の大事なこと、どういうふうにお医者さんと付き合うか、なども書かれていましたし、自分の具体的な最後についても淡々と書かれていました。

私にもいろいろと心に残る部分がありました。
永さんの本、まだまだストックがありますので、また読みましたら読後感を載せようと思っています。

 

2023/06/18

「アガワ流 生きるピント」を読みました。

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『アガワ流 生きるピント/阿川佐和子著(文藝春秋)』という本を読みました。
ブックオフで古本として購入、2021年発行のものですから比較的最近の本です。

内容は、仕事、恋愛、家族、生活について読者からの悩み事を人生相談的に阿川さんがお答えするというものです。
もちろん阿川さんが答えるのですから、ラジオなどでやっている「テレフォン人生相談」のような弁護士さんやその他専門の先生方がお答えする回答とは異なって、阿川さんの人生経験からくる独自の不思議な説得力ある回答が返ってくるのでした。

読んでみて、意外と阿川さんの回答は“実戦的”だと感じました(^^;)

妙に相談者に対してやさしい声も掛けないし、自分が若い頃はこうだった、とか、厳しい結果を覚悟しつつこうしてみなさい、だとか、けっこう私も参考になりました(^_^;)

家族が認知症になったりだとか、介護が必要になったときなどの実際に直面する実例なども挙げられていて、かなりその部分などは真剣に読ませてもらいました。私にもいつ直面する事態かもしれない。

あと、話はちょっと逸れますが、今のマイナンバーカードの不具合というか、事故というか、不祥事というか、こういう事態のとき、上に立つ人の姿勢はこうでなきゃいけない・・ということも、かつていろいろなリーダーと言われる人達にインタビューした経験から書かれていた部分があって、私もそのとおりだと思った部分がありました。

かつてパナソニックで、石油温風器による事故が起きた際の当時の社長のとった態度、行動について書かれていたのです。

すべての商品コマーシャルを中断させて、ユーザーに回収を促す告知CMに切り替えた。
そしてその実行が速かった!
「すべて回収するまで通常のコマーシャルは出しません」という決断をよくぞなさったと感動した阿川さん。

社長の中村氏にインタビューすると、「誰でも失敗するんです。大事なのは失敗したあとの処置。そこで躊躇したらダメですね」とおっしゃったとのこと。
どこぞのデジタル大臣に聞かせてやりたい。

「社内外のコンセンサスを取ってからとか、マスコミに漏れないようにしばらく伏せておこうなどと、姑息なことは考えない。まっすぐに堂々と即座に立ち向かう。トップは誰もが肝に銘じておくべき覚悟だと思います。勇気がいりますけどね。」

「システムの信頼になんの揺らぎもない」だとか「ヒューマンエラーによるもので心配ない」だとか言っている人がいますよねぇ、上記の社長さんの言葉、よく噛みしめて、自分の拙い行動に照らし合わせてみるといいと思いますよ。

というわけで、ちょっと脱線しましたが、阿川さんの人生相談本、興味深く、そして楽しく読ませていただきました。
よい本でした。

 

2023/06/09

すごいタイトル「妻がどんどん好きになる」を読んだ。

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『妻がどんどん好きになる/梶原しげる著(光文社)』という本をブックオフで見つけ、あまりの“衝撃”のタイトルに驚き、買っちゃいました^_^;

梶原さんは、私の認識ではラジオ局のアナウンサーであった頃の印象が強く、のちにテレビなどでも局の枠を越えて活躍をされ、やがてフリーになり、かなり忙しい日々を送られていたことがこの本を読んでわかりました。

そして上記のようにあちこちで引っ張りだこになった梶原さんは、仕事一筋の生活に突入してしまい、奥さんや子供たちを“ないがしろ”にしてしまった・・ということが書かれていました。

さらにマンションを買い替えたりして住居も移転することを繰り返したりもしたのですが、奥さんが黙っていることをいいことに“やりたい放題”だったとのこと。
よくある仕事ばかりが人生のほとんどを占めているような男になってしまったのでした。

そして、奥さんが大病を患い、一緒に病院に行くと先生から「あなたは一緒に暮らしていて、奥さんのこの状態に気づかなかったのですか。何をしていたんだ。」と叱られてハッとし、そこから今まで奥さんが自分をはじめ家族のためにどれだけ苦労してきたか、文句のひとつも言わず頑張ってきたか、いつも世間的なことに疎かった自分を支えてくれたのは奥さんだったと気づくのでした。・・読んでいて、「遅すぎる」と思いました、私(^_^;)

それからは、仕事も生活も変えて、奥さんとの時間を大事にする様子がいろいろなエピソードを含めてたくさん書かれていました。
手をつないで歩くなどしたこともなかった梶原さんは、今では病気で足元がおぼつかない奥さんをささえ、病院その他一緒に出掛けます。

新婚当時よりも、奥さんが好きだと思った・・と書かれていて、「そうか、それでこんなタイトルだったのか」と思いました。

我が家でも、梶原さんのところとは逆に私が倒れ、入院し、半年もかけてやっと普通の生活ができるようになり、その後は一進一退の状態が続き、今も良くなりはしましたが、時々体調を大きく崩すことがあります。

私は、仕事でIT部門に異動になったときに、一日中キーボードを打っていたら両手の皮膚がボロボロになってしまったことがありました。ずっとプラスチックに接触していたのが良くなかったとお医者さんから言われたのですが、その後も両手は治りはしたものの、時々ひどい状態になっていて、最近妻が、朝のひとときに手をクリームをつけてマッサージしてくれるようになりました。

おかげさまで、かなり状態は良くなったのですが、毎日妻が私の手を握っていることがとてもいいことなんだと気づきました。

梶原さんが日々奥さんと手をつないでいることで、夫婦間の大事なものを感じているように、私も似たようなことを感じているのです。

全国の仲のいい夫婦も、そうでない夫婦も、たまには手を握り合うことをおすすめいたします。きっと何かを感じると思います。

この本のタイトルを見たときに、梶原さん、大丈夫か?!と思ったけれど、大丈夫じゃなかったのは私だったのかもしれない。

 

2023/06/01

映画「パリ タクシー」を見て来ました。

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映画『パリ タクシー(Une belle course)/2022年 フランス 監督・脚本:クリスチャン・カリオン 出演:リーヌ・ルノー、ダニー・ブーン、アリス・イザーズ』を見て来ました。

これから見る人は“ネタばれ”があるので映画を見てからこの先を読んでください。

パリの街を走るタクシーの運転手(ダニー・ブーン)に依頼があり、92歳のマダム(リーヌ・ルノー)が一人で暮らすことが出来なくなり、施設に連れて行くことになるところから物語は始まりました。

 

 

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マダムはタクシーに乗ると、ゆっくりと今までの人生を振り返り、思い出し、運転手に話しかけます。

「ちょっと寄り道してほしい」ということで、マダムのパリでの思い出の地を巡ることになります。

初めてキスをした時の甘い経験や、結婚してからの夫の暴力に苦しむ話(回想シーンはアリス・イザーズが演じる※美人です!)、自分や子供への暴力に耐えかねて夫にとんでもない仕返しをして裁判で有罪となり・・・などと運転手のダニー・ブーンも想像出来ないようなことが次々と語られます。

最初は無愛想だったダニー演じる運転手も、心を開き、打ち解けて様々な思い出の地を二人で訪ねて施設に着いたときには日付も変わってしまうのでした。
ダニー・ブーンも自ら妻との出会いから今までのこと、現在の生活の苦しさなどを心を許して語り出しました。

二人のタクシーの中での会話は実に奥深く、示唆に富み、人生の辛さ、苦しさ、愛の尊さ、人としてのよろこび、などが語られます。様々な回想シーンと共に。

 

 

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もうラストの驚きの展開が始まり、どんどんシーンが進んでいくうちに一緒に見ていた妻も、私も涙が出てきて、それをハンカチで抑えながらラストを迎えました。

とてもいい映画でした。
あちこちで泣いている人がいました。
今回も見てよかったと思える映画でした。ものすごくおすすめです。

 

2023/05/14

「夫婦という他人/下重暁子」を読みました。

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『夫婦という他人/下重暁子著(講談社+α新書)』を読みました。
いつものとおりブックオフにて安価購入(#^.^#)
読書人の雑誌「本」2017~2018年に掲載されたエッセイ「その結婚、続けますか?」を書籍化し、2018年に刊行されたものです。

下重さんの著書については、このブログでも何冊か既に読後感を書いていますが、私も自分の年齢が上がれば上がるほどその内容が身に染みてまいります(^-^;
今回は、『夫婦』という人類が永年にわたり形成してしてきた形態について、いつもどおり“ガツン”と書かれています。

全編に渡り、下重さんのどちらかと言えば現在社会一般で維持されている「夫婦」という形態に疑問を投げかけている考え方が綴られているのですが、その中で私が気になった部分をご紹介します。

「結婚生活の悲劇は、相手に期待しすぎるから起きる」

というものです。

下重さんは、人に期待しない・・を基本にしています。
家族、親や子や夫・妻も自分と違う人なのだ、と考え(私も近年このような考え方が強くなっています)、期待したら裏切られるのは当たり前で、いちいち傷ついていたのでは身が持たない・・と。

思いがけず向こうが何かをしてくれると、期待していないだけに余計嬉しい・・とも(^-^)・・そうかもしれない。

後半に入ってくると、夫婦でも互いに異性の別の人といろいろな関係を持ってもいいんじゃないか、とか、夫婦という形態の間で子供が出来なくてもそれはいいのではないか、とか、子供を育てる形態についても新たな考え方を書かれていました。

今のこの時代、様々な考え方、生き方、人との関係の持ち方、異性との関係の持ち方、あるいは同性でも同様のことが考えられるし、下重さんがここで書かれていることに時代が追いついてきた感があります。

LGBT関連の法案が与野党で揉めていて、「差別は許されない」を「不当な差別はあってはならない」に変更しようとする議員などには考えも及ばない下重さんの考え方が書かれていました。
きっと、変更しようとする議員さん、「あってはならないことが起こってしまいました」という対応で差別をしても逃げてしまいたいんだろうというのが見え見えです。

そんなことがいっぱい書かれていた本ですが、NHK入局当時の一年先輩の野際陽子さんとの想い出なども書かれていました。
初めて知ることがたくさん書かれていて、驚いたり、なんだかしみじみとしたりもしました。

下重さんのかなり“力強い”語調にあふれた本、読み応えがありました。

 

2023/05/05

映画「銀河鉄道の父」を見てきました。

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映画『銀河鉄道の父/2023年 日本 監督:成島出 原作:門井慶喜 出演:役所広司、菅田将暉、森七菜、豊田裕大、田中泯、坂井真紀』を見てきました。今日が上映初日でした。

原作となった門井慶喜さんの「銀河鉄道の父」は、直木賞受賞作ですが、私はまだ読んでいない作品で、この映画で初めて作品にふれることになりました。

で、見てよかったです。
ほんとうに映画らしい映画でした。セットもロケ地も撮影も(ランプの灯りの下での撮影がかなりあったが実に画像がよかった)、多くの人が参列する葬儀・火葬のシーンも素晴らしくよかった。

存命中は作品の評価がまだなされていなく、自分というものは何者だという状態の宮沢賢治の苦悩と生き方を演じた菅田将暉さんは、もう賢治が憑依しているのかと感じるくらいの演技でした。

また、賢治の父を演じた役所広司さんも父としての威厳と、自分には理解できない賢治の行動に“うろたえ”たり、実は賢治の作品に感動している状態でもある複雑な存在である役どころをベテランらしく見事に演じていました。もう、驚くくらい。

また、賢治の妹・トシを演じた森七菜さんも、たぶん苦労されたであろうことは想像されますが、心打つ演技を見せてくれました。
亡くなるシーンではもう私は涙がこぼれ、我慢できなくなりました。
庭に降る雪の美しさが、より哀しさを増しました。

賢治が亡くなるシーンは、原作とは大きく異なったものになっていたそうですが、菅田さん、役所さんの迫真の演技に私の涙の在庫が一挙放出されました。
周囲でもすすり泣きの声が聞こえていました。

役所さん(賢治の父)が菅田さん(賢治)の手を取り、「雨にも負けず」を暗唱するところは、監督が最後までこれでいいのか迷ったシーンらしかったのですが、最高のシーンになっていました。

また、これも原作には無かったそうですが、亡くなった賢治とトシが乗っている汽車に父である役所さんが乗り込んできて、親子ではないような会話をするファンタジーなシーンが挿入されていて、これもとても良かったと思いました。

いい映画を見られて幸せな気分になりました。

 

2023/04/29

伊集院静さんの「いろいろあった人へ」を読みました。

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『いろいろあった人へ -大人の流儀 Best Selection-/伊集院静著(講談社)』を読みました。
これは人気の「大人の流儀シリーズ」から選ばれ、まとめられたものです。
2018年発行となっておりますが、古本で買いました。

伊集院さんが様々な読者からの相談に答える形のシリーズですが、伊集院さん本人は、人の人生相談になんかまともに答えられるか、自分でも人に相談なんかしたことがない、とおっしゃっていて、相談にはその時々の自分の気持ちで答えていて、そうするくらいしかないよなと、私も思いました。

相談って、私も相談関係の部署で働いたことがありますが、ある程度答えを持っている人が相談に来ることが多いのです。
それに対して応援するか、あるいは“行き過ぎ”な答えを持ってきた場合はそれをちょっと抑えてあげるくらいしか出来ませんでした。

この本の内容としては、若い頃はけっこう“理不尽”な目に遭うことが多いけれど、それも嫌がって避けてしまうよりも、むしろそれを我慢してやってみた方がいいのだということや、亡くなってしまった人のことを毎日思い出して泣き暮らすよりも、「時」が薬になると思い、なんとかして日々過ごしていた方がよい、泣いている姿よりもそうした方が亡くなった人も安心するよ・・というようなことが主に書かれていました。

また、あの東日本大震災のときに多くの人が亡くなったけれど、不思議なことがいろいろなところで起きていて、たぶんそれは事実で、「霊」というものの存在についてふれているようなところもありました。

私もそう思います。
あちらこちらで耳にしましたが、通常では考えられないことが実際に起こっていたようです。亡くなった人たちが生きてなんとか頑張っている人達を支えてくれているような気がします。

人生って何だ? 生きるって何なんだ? なんて生きる意味を問うていたら訳がわからなくなる。
生きる意味なんぞ、誰か暇な奴が考えればいいの。とも言っていて(^_^;)・・・そうですね、そんなこと考えてもだえ苦しんでいるのなら、少しでも何か生きてやってみた方がいいかもしれません。

というわけで、またあっという間に読み終えた伊集院さんの本でした。
・・ほんと“癖になる”んだよな、伊集院さんの本。

 

2023/04/23

昨日、映画「午前4時にパリの夜は明ける」を見てきました。

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映画『午前4時にパリの夜は明ける(LES PASSAGERS DE LA NUIT)/2022年 フランス 監督・脚本:ミカエル・アース 出演:シャルロット・ゲンズブール、キト・レイヨン=リシュテル、ノエ・アビタ、メーガン・ノータム、エマニュエル・ベアール』を見てきました。

フランスの映画で、時代背景は1980年代、その時代の雰囲気が出るようにミッテラン大統領の勝利のシーンや、そのときのヒット曲が流れたり、人気のあった映画、俳優のこともうまく映画の中に入って馴染み、さらにこの映画自体の画質もわざとこのデジタル時代の画質を粒子を荒くしたりして、80年代の懐かしい風合い、色合いの画面になっていました。

フランスの人には、その時代を彷彿とさせるものになっているのだと思います。

 

 

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物語は離婚したばかりで、娘と息子がいる母のこれからの生活、人生に不安を抱えている状況から始まりました。

なんとか深夜のラジオ局での電話取次の仕事をやっとのことで得たのですが、その仕事帰りの明け方に、行くあてのない少女を見つけて連れ帰り、奇妙な4人の生活が始まります。

派手な事件、事故、その他強烈な展開は無いものの、4人がそれぞれの立場で悩みや苦しみなどを抱え、それでもなんとか生きていく様子が描かれていました。

見ていて、これは日本で生活している私のような家族も同じだと感じました。
何気ない日常に、次々と様々な問題が発生して、でも家族はどことなくそれを感じ、励ましあったり、喧嘩してでもなんらかの解決を見出し、さらにそれぞれがそれぞれの恋愛をしたりする・・。

冒頭のシーンから数年後のシーンが後半出てくるのですが、4人が各自自分の人生の方向性を見出しかけているところで、一緒に“和気あいあい”とする場面があり(あのとき連れ帰られた少女も大人になり、血のつながりが無くとも家族のようにその中に入っている)、まだまだ不安要素や、これから頑張らねばならないことが眼前に広がっているけれど、でも家族、親子、友というものはいいものだとしみじみとしたのでした。

劇的な展開などは他の映画と比べてほとんど無いのですが、でもフランス映画らしく「完全決着のないストーリー」は、むしろこの映画を味わい深いものにしていました。

ここ数年、なかなか映画館にも足を運びずらい環境でしたが、今回も意を決して行ってみて、よかったと思いました。

 

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