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2023/02/18

「飲むぞ今夜も、旅の空/太田和彦」を読みました。

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『飲むぞ今夜も、旅の空/太田和彦著(小学館文庫)』という本を読みました。
単行本「ひとりで、居酒屋の旅へ」の一部を加筆修正し、さらに雑誌に掲載してきた未収録コラムをまとめたものになっています。
で、この文庫版は2022年5月発行となっております。

割と近年に書かれたものが掲載されているので、太田さんの文は“角が取れて”とても“まろやか”で読みやすいものになっていると感じました。
それにお酒や肴の話ばかりに重点が置かれているのではなく、その土地やお店の風情や、行った先での人との関わりが太田さんの気持ちと共によく伝わってくるのです。

東日本大震災により、発酵中のもろみがタンクからから溢れてもろみの全廃を覚悟していたが、電気などが一部復旧し、生き残ったもろみが発見され、絞った酒は力強く生命力にあふれ、やがて「希望の光」と名付けられたという話を、当時それに関わった方たちのことと共に書かれているところでは、感動して体が震えました。

大分「こつこつ庵」の『琉球』という、関サバをゴマ醤油ダレに浸けておく、もともとは家庭料理だったものの紹介もありましたが、読んでいるだけで一度でいいから食べてみたいと思いました。
ちょび髭でジャズ・サックス奏者の坂田明さんに似たマスターの様子も親しみやすく描かれていました。

新潟「魚仙」のブリをつかった「ブリなめろう」の描写もうまく、ぜったいに行ってみたい、食べてみたいと思いました。

さらに旭川の「独酌三四郎」という日本でも屈指のいい居酒屋には、《日本三大白割烹着おかみ》(^^;)と太田さんが絶賛する美人女将がいて、大球キャベツ・鉈切り大根・人参・身欠きにしんを麹で漬け込んで発酵させたものについても書かれていました。
歯ごたえのある食感が伝わってくるようないい書きぶりでした。

こんな話が満載で、「小鍋立ての一人鍋」の良さについても書かれていて、それは居酒屋でもいいし、家で一人静かに飲むときにもいいなぁと思いました。

日本全国のお酒と肴と居酒屋とその土地の風情、さらにそこに住む人々の様子、マスターなどのとても心温まるエピソードなども添えられていて、日本の居酒屋世界を堪能しました。
今年はなんとか太田さんが行ったお店の何処かを訪ねてみたいと思いました。
横須賀『銀次』の「しこいわし」なんて食べてみたいですっ!(^-^)

 

2022/11/20

「私の酒 -『酒』と作家たちⅡ-/浦西和彦・編」を読みました。

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『私の酒 -『酒』と作家たちⅡ-/浦西和彦編(中公文庫)』という本を読みました。
この本は文庫オリジナルで、2016年に発行されたものですが、内容は『酒』という一人の編集者の手で40年の長きにわたり刊行され続けた雑誌の中から名エッセイ四十九篇を収録したものです。

その四十九篇の四十九人の“名だたる”人たち、“錚々たる”顔ぶれには驚くばかりです。
収録されているエッセイの多くが昭和三十年代のものなのですが、今の人たちの酒の飲み方とはまったく異なる豪快なものばかりです。

当時画壇における最高齢者であった横山大観を東京駅長の加藤源蔵さんという方がたずねたときの話を作家の上田広氏が書いている文がありました。

大観氏に長寿の秘訣を尋ねると、「人生長生きするには御飯を食べない方がいいようだね」と言い、では何を食べるのかとふたたび尋ねると「お酒があるでしょう。お酒を飲んでいれば、御飯なんかたべる必要はありません」と答えるのでした(^_^;)

この大観氏の話題を筆頭に、酒は浴びるほど呑むのが昭和三十年代の飲み方であったことがわかります。
この「酒」という雑誌では、酒飲みの番付も作っていたようですが、きっと三役以上の名だたる作家の方々は、収入のほとんどを酒にして飲んでいたような方にちがいありません。
事実、そんなエピソードも書かれていました。
奥さんに家計簿を見せられ、家計の赤字の理由はもちろん“酒代”です(^^;)
だいたい一般の会社の課長さんの給料くらいは酒を飲んでいたのだな、とご本人が書かれていました。
そんなんばっか・・(^^;

深酒で記憶を失ったり、財布をなくしたり、雪の降る中、道で寝てしまったり、電柱にのぼったり、・・読んでいるこっちは面白いけど、当時の周囲の人たちは大変だったろうという話ばかり。

昔の話をたっぷり読んで、笑ったり、感心したりでした。
酒飲みにとって、話の“肴”になるような本でした。読み応えたっぷり!!

 

2022/11/05

「おいしい旅 -昼の牡蠣そば、夜の渡り蟹-/太田和彦」を読みました。

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『おいしい旅 -昼の牡蠣そば、夜の渡り蟹-/太田和彦著(集英社文庫)』を読みました。
めずらしく“ブックオフ仕入れ”ではなく(^_^;)新刊として出たときに購入しておいたものです。

2019年発行なので、太田さんのこの「おいしい旅」の文は実に軽快というか、とても自然なものです。
読んでいて流れるよう・・。

日本全国どこに行っても「あら太田さん、いらっしゃい」と言ってくれる人がいて、居酒屋などはすっかり馴染みとなって、その家族の成長に目を細めたり・・、太田さんならではの「おいしい旅」となっておりました。

今回紹介されている倉敷の居酒屋『鬼の厨しんすけ』は、私も太田さんが過去に行かれたときの画像を見て店主の“鬼のしんすけ”さんのお姿は存じておりますが、まさに“鬼”のような容貌なのに、とてもやさしくお客さんに接する姿が印象的。

そこで、サワラの白子やマテ貝、しんすけさんが山からとってきて庭に植えた「タラノキ」からとったタラの芽天ぷらなどを食している様子が実にいい。

京都のジャズ喫茶をたずねたり、角野卓造さんからおそわった町中華をたずねて<冷めん>を食べたり、たのしくておいしい旅はどんどん続いていきます。

そしてそれとともに“地酒”を呑むたのしみはまさにこの世の楽園かもしれません。

コロナ禍が過ぎ去り、私の身体がもう少しよくなってきたら、私もそんな旅に出てみたいと思いつつ、読了いたしました。

 

2022/09/28

「まだまだ酔ってません/大竹聡」を読みました。

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『まだまだ酔ってません -酒呑みおじさんは今日も行く-/大竹聡著(双葉文庫)』という本を読みました。・・これもブックオフです(^_^;)安かった・・100円。

十年近く前の本ですが、酒呑みの生態を知るには充分な内容の本でした(^^;)

著者の大竹さんは、出版社、広告代理店、編集プロダクションを経た後、フリーライターになられた方ですが、お仲間と共に「酒とつまみ」を創刊されています。
大竹さんのお姿は、たぶんテレビの「タモリ倶楽部」に出演されていたときにお見かけした記憶があります。
ま、無類の“酒呑み”であられる(^^;)ことには間違いない方です。

それにしてもこの本を読んで一番驚いたのは、酒、肴、店についてはその内容に深くふれていないことです。
どんな銘柄の酒が美味しいだとか、あそこのあの肴は逸品だとか、どこそこのお店の雰囲気がいいとか、そんなことにはほとんどふれていないのです。

それでお酒の本が書けるのか?!と、ふつうは思うわけですが、書けちゃうんですねぇ(^_^)

とにかく“呑む”行為と、飲み過ぎてどうなったか、ということが書かれているのです。

どこそこで誰かと飲むことになった、待ち合わせの時間まで、とりあえず飲んでいる、で本来の飲み会でまた飲む、さらにそのうちの誰かと飲み会後にまた飲みに行く、そのあとハシゴを二軒くらい、その人と別れて、今度はひとりでまた飲みに行き、気づくと終電が出てしまった・・、じゃ始発まで飲むか・・( ̄O ̄;)・・ということで朝の通勤時間帯に電車に乗り帰宅。

三次会、四次会のあとの記憶はなく、タクシーで帰ることもあるが、クルマに乗ったところの記憶はあるがよく覚えていない。
一緒に飲んだ人たちと何を話したかも後半はまったく覚えていない。

二日酔い状態の日がとても多く、それでも飲みに行き、飲んでいるうちに二次会くらいで二日酔いを克服し (・_・;エンジンが再始動するd( ̄  ̄)・・そんなことの繰り返しが、しつこいくらいに書かれているのです。
私には未知の世界です。

懇意にしていた方が亡くなられたことについてしみじみと書かれていますが、そうなれば故人を偲んでまた飲むわけです。
だから飲まない日はない。

無間地獄(天国?)の酒呑みおじさんのお話、読んでいて、自分はしっかりしようと思いました…σ(^_^;)以上です。

 

2022/09/22

「今夜も赤ちょうちん/鈴木琢磨」を読みました。

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『今夜も赤ちょうちん/鈴木琢磨著(ちくま文庫)』を読みました。
いつものとおり、ブックオフにて格安購入。2012年発行のものです。

著者の鈴木琢磨さんは、毎日新聞夕刊編集部編集委員。
「今夜も赤ちょうちん」「酒に唄えば」などの居酒屋探訪コラムが人気を博している、と著者説明にありました。
ようするに“筋金入り”の居酒屋ウォッチャーとお見受けいたしました。

東京を中心に、気仙沼や京都、大阪にも繰り出しています。
有名店もありますが、知る人ぞ知る路地裏の居酒屋なども登場し、間口も広いが奥も深いという“底なし的”呑兵衛であることが10軒目あたりまで読んだところで判明いたしましたd(^_^o)全部で100軒紹介しています。

名物的な女将や、大将、そしてその店に通う(通っていた)有名人(あがた森魚、細川護煕、山本夏彦、サイデンステッカー、吉行淳之介・・etc.)も紹介され、実際に著者と関わりのあった方との思い出話なども書かれていました。

ここに来たら、これを食べなきゃというものも数多く紹介されているし、名酒というよりも、安い酒だけどこうして飲むとうまい、というようなその店独特のものも紹介されていました。本当の、本格的な居酒屋呑兵衛です。

新聞の編集者という時間も読めない仕事環境にありながら、毎日・毎夜よくもこれだけ通えるなぁと思うくらい居酒屋やバーに出かけています、鈴木さん。

飲み方にも何か流儀のようなものがあるわけでなし、まったくの自然体で初めての居酒屋にも入って行くし、人との関わり方も妙に意図的なところもなく、こちらも自然体でした。

よさそうな居酒屋と、おいしそうな肴、うまく飲める酒、そこに集う呑兵衛や有名人達のお話がいっぱい綴られている本でした。
呑兵衛なあなたは、この本を見たらすぐにでも出かけたくなることでしょう(^_^;)

 

2022/09/04

海老沢泰久さんの「人はなぜバーテンダーになるか」を読みました。

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『人はなぜバーテンダーになるか/海老沢泰久著(TBSブリタニカ)』を読みました。
ブックオフです、これもまた。

この本には、十三人のバーテンダーの話が収められていますが、平成5年から7年にかけて『サントリー・クォータリー』に連載されたものをまとめたものだそうです。

その時代に銀座や地方の名店で名を馳せたバーテンダーの方々を訪ねて、お話を聞いたものなのですが、当然その人たちは大正から昭和初期に生まれた方々で、戦争そのものに関わった人や、関連の軍事工場で働いたり、貧しい家庭に生まれ、東京に出て来ての苦労話など、過酷な時を何年も過されています。

その話だけでも「一代話」が出来上がってしまうのですが、そういう大変な話のあとに、バーテンダーとしての苦労話が始まります。

そもそも戦後には酒自体があまり無かったのに、いろいろなルートを見つけて入手したり、“あやしい”酒と言えるかどうかみたいなものも出していた話まで載っていました。

でも、この本に何度か出て来た言葉が「戦争があろうが、どんな厳しい時代だろうが、酒を飲むやつは酒を飲む」ということで(^^;)、戦後間もない頃でも酒を飲ませるところは何とか商売になっていたようです。

そしてその後、昭和三十年代から四十年代が、いわゆるバーテンダーのいるバーの全盛期だったようです。
バーテンダーの基本的な一日の過ごし方などは、今の若い人では一週間も持たない厳しい修行が続き、それでもその中で先輩チーフバーテンダーからカクテルのつくり方を“盗んで”いく様なども書かれていて、面白く読みました。

読んでいて何よりも強く感じたのは、バーテンダーは、ただカクテルなどのお酒をつくるだけでなくて、人と接することが、カウンター越しに出会うその空間こそが楽しみになっているというお話をされる方が多数だったことです。

そういうバーに行って、一日の仕上げに一杯やれる、そんな人間になりたいものだと思いました。・・まだ実現していない…σ(^_^;)

 

2022/08/15

東海林さだおさんと椎名誠さんの「ビールうぐうぐ対談」を読んだ。

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『ビールうぐうぐ対談/東海林さだお・椎名誠(文春文庫)』を読みました。

東海林さだおさんと、椎名誠さんの対談本ということですが、単行本としては1999年に刊行されたもので、その文庫化です。またもやブックオフ。

まあ早い話が、“どうでもいいこと”を“ああでもない”、“こうでもない”とお二人が話しているのを傍から見て面白がるという(^^;)本です。

対談する場所もいろいろで、銀座高級料亭では「なぜ高級料亭には生ビールがないのか」とか、「瓶ビール」が上位にいて、「缶ビールでは、いかんのか?!」などと(^_^;)くだらないことを論じ合っています。

屋形船に乗って、その意義を確認したり、芸者遊びをしたことのない二人が芸者さん二人に“遊び”の作法を教わったりもしています。ふたりとも途中から積極的に作法を覚えようとし、さらに気に入られるためにはどうしたらいいか、などと争って聞きだそうとしたり(^^;)もしています。

ラストの方では、かつての椎名さんが会社勤めしていた頃の上司で、爬虫類研究家の先生(私もテレビで見たことがある)に、男女の関係やそれにまつわる“強精”についてなど熱心に聞く二人( ̄O ̄;)

ずいぶんと勝手な精神分析論を掲げる大学の先生からも若い女性との出会いなどについて聞き出している (・_・;・・なにをたくらんでいるのか。
そして、先生も今じゃあ問題になるようなことを生徒と楽しんでいて、これ・・今じゃ発行できないだろうなぁと思いました。

最後には、椎名さんの本で挿絵イラストを主に担当している椎名さんの高校の同級生でもある「さわの・ひとし」さんが登場し、「妻以外の女性とつきあうことは、当然必要である」という論理(^_^;)から、「飲まない女性を最初からターゲットとしていない椎名さんは、80%の可能性を最初から捨てていることになるっ!」と、椎名さんを戒め( ̄O ̄;)、飲まない女性を“くどく”極意を伝授するのでありました。

それを身を乗り出すようにして拝聴するお二人(*^^*)

ま、そんな本でした。
でも、とても愉快な本、ということで、本日はお終いd(^_^o)

 

2022/07/28

太田和彦さんの「居酒屋と県民性」を読みました。

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『居酒屋と県民性 -47都道府県ごとの風土・歴史・文化-/太田和彦著(朝日文庫)』という本を読みました。

太田さんといえば、全国の居酒屋をめぐり、さまざまな特徴ある居酒屋やバーを、本やテレビ番組などで紹介している“居酒屋の大家”?!ですd(^_^o)

今回の本は、47ある都道府県別に、それぞれの風土・歴史・文化を紹介するとともに、「これは」という居酒屋も紹介してくれるという企画です。
港町、商業の町、城下町、門前町・・などなど、その土地の風景が見えてくるような“書きぶり”に、わくわくしながら楽しみつつ読ませていただきました。

私の住んでいる千葉県についても、もちろん書かれているわけで、ドキドキしつつそのページを見てみると・・。

外房の太平洋、内房が東京湾、そして南端の館山に至る海岸線に小さな漁港が転々と連なる・・ということで、酒の肴には事欠かないというところまでは良いのですが、千葉の人については、「マナーも、礼儀も、公徳心も、政治家の道義もなっていなく、愛郷心もない」・・(T_T)・・と、にべもないのでした。

そうかぁ、ある程度当たっていると言えなくもない(^_^;)

でもね、お隣の茨城県のページをのぞいてみたら・・

室町末期成立の日本各地の風俗・人の性向を記した『人国記』から紐解き、

「ただ盗賊多くして、夜討ち、押し込み、辻斬り等をして、その悪事顕はれ、罪科の行なわるるといへども、恥辱とも曾て思はず、微塵も非義、非礼ということを知らざるやうの風儀にて、ただ肝胆の間、逞しく生まれ付きてかくの如くと見えたり」

・・と、そこまで書くかという感じでした( ̄O ̄;)

“水戸っぽ”は、理屈っぽい、骨っぽい、怒りっぽい、ということらしいのですが、はてさてどうなんでしょうか。

こんな感じで全国の県民性について書かれているのですが、肝心なのは「お酒」と「居酒屋」です。

横須賀の「銀次」、鎌倉の「企久太」、旭川の「独酌三四郎」、東京根岸の「鍵屋」、長崎の「安楽子」、大分の「こつこつ庵」、倉敷の「鬼の厨 しんすけ」、などなど、一度は行ってみたいと思わせる居酒屋がたくさん紹介されていました。

ここで紹介されていた松江の「やまいち」には行ったことがあるのですが、そのときはまだ太田さんのことも知らず、ただ宍道湖沿いの味のある店と思い入ったのです。
太田さんが紹介されるだけのことはある、と、今にして思います。

今まで食べたことのない新鮮な“しめ鯖”や、トビウオの刺身など、絶品でした。

一冊まるごと日本中の風景が目の前に浮かび、そしてその土地独特の肴のある居酒屋がたくさん紹介されているこの本、“呑兵衛”で“旅行好き”の方は手元にひとつ欲しいものです。

 

2022/07/12

太田和彦さんの新刊「75歳、油揚がある」を読みました。

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『75歳、油揚がある/太田和彦著(亜紀書房)』を読みました。珍しく今回は新刊です
d(^_^o)

前回読んだ太田さんの新刊「70歳、これからかは湯豆腐」の続編であろうということは、タイトルからわかります。豆腐のあとの油揚ですから(^_^)

豆腐は料理の脇役、ときに主役として、懐の深さをみせ、融通無碍(むげ)、毎日でも飽きない、栄養もある。
人も年齢を重ねたら、このように在りたいと太田さんは言っているのですが、その豆腐を油で揚げた「油揚」。
姿も食感も味も一変!
新たに生まれた独自の個性は煮ても焼いても包んでもよし・・ということで、人生にも進化や昇華はあるだろうが、経験が昇華して新たな境地に至るのなら、長く生きる価値がある、と、この本のタイトル「油揚がある」となった心境をまとめられています。

こりゃ面白いにちがいない!と、さっそく読んでみたのです。

太田さんは、残りわずかな人生を“消化試合”にしてしまっては面白くないとおっしゃって、生きる実感や、日常を離れた冒険についてもこの本で書かれています。

75歳を過ぎて、あらためて身に付けるものについて考えてみたり、日々の過ごし方についても、もう一度見直してみたり、また「ひとり旅」をすすめてみたり・・、私はまだまだ75歳の境地はわかりませんが、今後の参考にさせてもらおうと思いました。

また、「死は来るときには来るのだから考えてもはじまらない、死生観なんて必要ない」とも。

「そんなことを考えるより、毎日を充実させるほうが大切だ。」

「好きなことを見つけて毎日続ける、社会に役立てば御の字だが、まあ無理せず」

という結論でした。

この本に書かれている旅の仕方、お酒の呑み方、人とのつきあいなどは、いつもながら面白く、興味深く、参考になりました。

私も日々、一歩ずつそんな境地の75歳に近づいていきたいと思います。
まだ、ちょっと早いけど…σ(^_^;)

 

2022/02/16

「酒場歳時記・吉田類」を読みました。

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『酒場歳時記/吉田類著(生活人新書)』を読みました。
吉田類さんといえば、もう“酒場に居る人”(^_^;)として知らない人は日本全国ほぼいない、と言ってもいいでしょう。

「居酒屋の達人」として知られる太田和彦さんとは双璧です。
酒場の巡り方というか、“いずまい”は、お二人はちょっと異なる印象ですが・・。

酒好きの人はほとんど吉田類さんがどういう人で、どんなお酒の飲み方をしているかはご存知かと思いますので、この本を読んでちょっと気になったところなどをご紹介したいと思います。

大阪の居酒屋、定番メニューの「どて焼き」と、東京でいう「モツ煮込み」は同じもの?っていう一文がありました。
基本的に味噌で煮込むのを大阪では「どて焼き」と言っていると思いますが、東京でも白味噌ベースの味付けをした煮込みもあります。

私の感じでは、「どて焼き」の方が“こってり”しているような印象があります。
また、東京の「煮込み」はどちらかというと、タレ自体をスープとしているような感じもあります。

現在はコロナ禍で難しいですが、大阪に行く機会があったら、その違いを“確認”に出掛けたい(*^^*)などと思いました。

もうひとつ、「ハイボール」の話題が書かれていました。
吉田さんによれば、戦後の焼酎はクセが強すぎて、臭いもきつかったそうで、炭酸で割っただけでは旨い飲物にはならなかったのだそうです。

そこで、かつては「謎のエキス」とされていた、そして今では「天羽(飲料)商店」の“ハイボールの素”として知られる“エキス”が開発され、それが炭酸とともに焼酎を割って、ハイボールが普及していったというお話でした。

実は、私、そのエキスの入った焼酎ハイボールを提供する老舗にはまだ行ったことがありません。
先ほどの「どて焼き」とともに、コロナ禍が収まったら、ぜひ試したいと思いました。

それから、吉田さんのテレビ収録に伴う苦労話も書かれていましたが、冷えてパサパサになったウニ焼きを食べねばならないようなこともあったとのことで、香りも水分も飛んでザラついたウニ焼きは喉を越せない・・と「針の筵(むしろ)に座しながら進行することもあった」と回顧していました。

そういうこともあるでしょうね。
吉田さんは、「貴重な体験であった」と、その悲哀について書かれていました。

吉田さんの『酒場俳句』と共に居酒屋の風情を楽しめる、いい本でした。

 

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