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2020/02/29

吉田類さんの「酒場詩人の流儀」を読んだ。

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『酒場詩人の流儀/吉田類著(中公新書)』を読みました。

吉田さんが酒場を巡り歩く様子はたくさん拝見しておりますが、そんな様子が書かれているのかと思いましたら、内容はけっこう落ち着いた大人の、自然や人や、地域の様子を見ている様子が描かれた読み応えのあるものでした。

また吉田さんの俳人としての作品がそれぞれの項目に綴られている章もあり、作風が力強い男気のあるものであり、私が今まで「酒場放浪記」で感じていた人物像とはかなり異なっていることに新鮮な驚きを感じました。

山にも登る吉田さんの他の登山者への視線も、けっこう“お調子者”には厳しい眼差しを向けていて、ちょっと怖い感じさえするほどの毅然とした人としてのたたずまいを感じ、これにもさらに驚きました。

自分にも厳しい吉田さんは、他の人にも同じくらい厳しく、でも人生の荒波の中を一歩一歩、歩んでいる姿があまりにも泰然としていて、読んでいる途中からこちらも襟を正して読み進むことになりました。

大町桂月、種田山頭火、若山牧水らを“酒飲み詩人”の先達と仰ぐ吉田さん。
日本中を旅し、巡り、出会う人達との「酒縁」、今まで私が知らなかった独特の感性での紀行文などが綴られたこの本、表紙の写真からは感じられない“渋さ”と“重さ”を感じる著書でした。

 

2020/01/31

パリッコさんという方の「つつまし酒」を読んだ。

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『つつまし酒 -懐と心にやさしい46の飲み方-/パリッコ著(光文社新書)』という本を読みました。

著者「パリッコさん」は、長年勤めていた会社を辞めて、フリーライターとして独立した方だそうです。
ライターとしての仕事の99%は「お酒」と「酒場」ということで、“酒”一本で生きて行こうという決断をされたわけで、読んでみた文章のやわらかさとは対称的に厳しい世界を生きて行こうとされている方なんだなと感じました。

でね、この本を読み始めてすぐ感じたのは、今まで私が読んできたような、酒についての専門的な知識や、老舗の居酒屋を探訪したり、そんな世界ではないのです。

ではどんな世界かというと、ファミレスで飲む楽しみを見つけ、ファミレスでの“肴”と“酒”はこういうものがあり、お値段もリーズナブルで、今まで気づかなかった!みたいな話とか。

サラリーマン時代の勤め帰りに閉店間際のスーパーに寄り、“おつとめ品”のシールが貼られるのを待って“肴”をみつくろう楽しみ、とか。

豆腐が好きで、お店によっての肉豆腐の様々な姿をリポートし、それぞれを食べた感想もけっこう深い・・。お店への観察眼もちょっと今までのライターとは異なる視点で書かれています。

マクドナルドのハンバーガーを“家飲み”の肴にするという・・ふつうだったら私が「そんなのいやだよ」と思うようなことも、ハンバーガーに手を入れて美味しくする方法が書いてあったり、公園などに椅子を持ち込んでひとりコンビニで買ってきた缶チューハイなどを飲む楽しみを語ったり(花見の現場にもひとり行って同様のことをしたりする)、電気風呂というピリピリと電気ショックを受ける風呂に入ったあとの酒の楽しみを書いたり、おつまみも自分でいろいろ面倒がらずに作っていくのです。

青唐辛子を漬けたり、卵黄を漬けたり、らっきょうを漬けたり、けっこう“まめ”です。

冷凍食品で一杯の報告なども、あまり今まで見なかった非常に“身近な飲み”にこだわっている姿勢を感じます。

つまり、新しいジャンルを開拓している、と感じました。
読み手によっては、「しけてるなぁ」とか「しみったれてる」「みみっちい」などと言う人もいるかもしれませんが、でも私が感じたのは、新しいジャンルを切り開いているなこの人、ということでした。
こういう分野を見つけるセンスが素晴らしいと思ったのです。

家飲みや、カプセルホテルで飲んだり、サイゼリヤで飲んだりするこの意外とやってみれば“新感覚”なワールド!この本を読んで、ちょっとやってみてはいかがでしょうか・。

 

2019/11/21

「池波正太郎指南 食道楽の作法/佐藤隆介」を読みました。

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『池波正太郎指南 食道楽の作法/佐藤隆介著(新潮文庫)』を読みました。

著者の佐藤隆介氏は、広告代理店のコピーライターを経て、池波正太郎の書生をつとめた方。
[酒・食・器]の食卓に関わるものをテーマに文筆活動をされています。

亡師匠「池波正太郎」さんから教わった食い道楽の極意はこの本でも健在。佐藤氏は昭和11年生まれです。もうこういう“食”についての文を書く人はほとんどいないんじゃないでしょうか。だから面白い。

著者は酒と、食い物と、焼き物には金を惜しまないようにしようと、所帯を持った時に奥さんと約束した話を書いていましたが、季節によって器の“更衣”をしたりもしています。それに三日はかかると言っていますから、いやもうたいしたものです。

さわさわと青葉を渡ってくる薫風の中で何とか食卓の更衣を済ませれば、晩酌の気分のさわやかさは格別であると・・。

ちりめん山椒を自分でつくるやり方も書かれていますが、これでとりあえず酒も飲めるし、温かい飯にも、お茶漬けにも合う、チャーハンも悪くないと言っていて、もうただ者じゃありませんね。

「蕎麦前なくして蕎麦屋なし」などという章もあり、まだ私があまり経験していない、蕎麦屋での大人の酒の嗜み方についても書かれていますが、これが自然にできればもう立派な大人の出来上がりです(*^_^*)

今の“にわかグルメ”にはわからない世界、“食道楽”の粋な世界が描かれているこの本、読み応えがありました。


【Now Playing】 Dolphine Dance / Herbie Hancock ( Jazz )

 

2019/10/27

田崎真也さんの「ソムリエのひらめき」を読みました。

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『ソムリエのひらめき/田崎真也著(河出文庫)』という本を読みました。
1997年に単行本として刊行されたものの文庫化ですが、その文庫化も2000年のこと、かれこれ20年以上前のものをブックオフにて入手いたしました。

田崎さんは1983年に全国最優秀ソムリエ・コンクールで第一位。
1995年の第八回世界ソムリエ・コンクールで優勝され、一躍有名に!私もその頃に田崎さんを知りました。
田崎さんのラジオ番組なども当時聞いていた記憶があります。とてもわかりやすく、披露されるエピソードも面白く、人間的な魅力も感じる方だと思っていました。

幅広い分野で活躍するソムリエの第一人者であり、誰もがワインの魅力と共に知っている人ですよね。

そんな田崎さんが20年くらい前に書かれたこの本、やはりとても面白かった(*^^*)

私はワインにはかなり疎く、勉強にもなりました。
シャンパーニュが同じシャンパーニュ地区の違う品種の葡萄を合わせたもので、なぜ泡立つのかは気温に秘密があったことなど知るよしもありませんでしたが、そんないわれを知った今、シャンパーニュが飲みたくなってしまいましたよ'(*゚▽゚*)'・・すぐに影響される・・。

また、ドイツ・ワインというと、私も田崎さんがこの本で書かれていたように勘違いしていた者のひとりだったのですが、アルコール度数が割と低く、優しくて甘味があり、フレッシュな感じがあって、ワイン“初心者向け”だなんて思っておりました。赤ワインの渋みなどが苦手で慣れないなら、まずはこちらから、なんて・・。
でも、間違いだったわけです。
ドイツの気候風土でしか生まれない、絶対的な個性を味わう、なんてところまで思いがいたらなかったのです。

この本では、ギリシャやベニスでの田崎さんの貧乏ながらも楽しかった生活についても書かれていて、単なるワインについての本ではなく、紀行、エッセイとしても楽しめました。

そして最後、ポートワインについても書かれていましたが、私同様、田崎さんも生まれて初めて飲んだワインは「赤玉ポートワイン」、当時、日本では子供まで飲んでいた親しみやすいワインだったのですが、実はポートワインはチーズと共に飲んだり、チョコレートやカラメル、モカの風味などといったデザートに濃い甘味がオールマイティーに合うとのこと。

ヴィンテージ・ポートとなると、グラス一杯が4~5000円くらいになるという・・あの赤玉ポートワインからは想像もできない高価でレベルの高い甘味ワインだったということを知りました。
今後、そんなポートワインと出会えるような食事の機会があるかどうかはわかりませんが、もし機会あれば試してみたい、なんて思いました。

とにかく話題豊富、知識も豊富、とびきりの面白いエピソードも豊富な楽しい本でした。
ブックオフにたまたまあってよかった(*^_^*)

2019/10/21

「ニッポン居酒屋放浪記 -疾風編-/太田和彦」を読んだ。

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『ニッポン居酒屋放浪記 -疾風編-/太田和彦著(新潮文庫)』を読みました。
居酒屋といえば太田さん、太田さんといえば居酒屋ですが、この本は平成10年に新潮社より刊行されたものの文庫化です。だからけっこう古いです。

とにかく太田さんが編集者と共に巡る巡る!
高知、山形、長崎、横浜、徳島、函館、鹿児島、東京下町、大分、水戸、富山・・行っては飲み、行っては食べのまさに“疾風怒濤”の如く呑み巡るのでした。

同行の編集者と共に現地のビジネスホテルに突入すると、飲み屋街などに飛び込み、凄い日は一日に十軒も巡った日もあるようですが、この本を読んでいくと、けっこう失敗している店が多い(^_^;)

気の短い(同行の編集者談)太田さんは、怒って店を出てしまうことが何度もありました。
今まで私が読んできた本の中では太田さん、ほとんど“ハズレ”無く美味しいお酒と肴にありついていたように感じておりましたが、実際はこの本のような失敗の連続があったのだな、と思いました。

それでも、高知ではアナゴの稚魚[のれそれ]を堪能したり、大分の「こつこつ庵」では、人なつこいご主人との会話を楽しみながら、傑作![関サバの琉球]を存分に味わいます。
それとご主人自慢の[だんご汁]も'(*゚▽゚*)'
ここではまず麦焼酎から入り、かぼすで“焼酎ジントニック”をつくり、ご満悦の太田さんd(^_^o)

読んでいて、失敗している店は「ええい、ここでいいやっ!」と入り、いきなり店主が横柄だったり、威張っていたり、頑固・偏屈であったりすることが多いようです。
居酒屋に入った瞬間には、お店の“出迎え”る態度がやはり大事だよなあと思いました。
私も失敗したお店はほとんどが入った瞬間に決まっていたように思います。

良い店というのは、5時開店だとすると、もう4時には人が入り出し、あれ・・もう飲んでいる・・みたいなところがいいようですね。
私が今まで達人に教わってきたお店もそういう店が多かった。

まだまだこのシリーズ、「立志編」「望郷編」などをブックオフにて購入しておりますので、読み次第ここでご紹介したいと思います。
とりあえず飲みたくなったぞ(*^^*)

2019/08/31

「酔っ払いに贈る言葉」を読んだ。

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『酔っ払いに贈る言葉/大竹聡著(ちくま文庫)』を読みました。
著者、大竹さんは編集プロダクション勤務を経てフリーに。そして雑誌「酒とつまみ」を創刊しています。
タモリ倶楽部にも出演されていたのを記憶しています。

“酔っ払いに贈る言葉”は、著者の“酔っ払い”大竹さんから厳選されてこの本に集大成されています(^_^;)
全国の酔っ払いの皆さんは、様々な想いと共にこの本に目を通していただきたい。反省と後悔と、希望と、感慨などが綯い交ぜとなり身体に沁みてくることでしょう。

私が気に入ったお言葉は

夕暮れのビヤホールで
彼はひとり
一杯のジョッキをまえに
斜めに座る
[黒田三郎/詩人]

・・なんか気に入りました。私の飲む感覚に近い。


思うに、酔っ払った悦楽の時間よりも醒めて苦痛の時間の方がたしかに長いのであるが、それは人生自体と同じことで、なぜ酒をのむかと言えば、なぜ生きながらえるかと同じことであるらしい。
[坂口安吾/小説家]

・・生きていくのが苦痛だけど、わずかながら楽しみもある。酒を飲んでも醒めてしまえば苦痛を伴うが、でも飲んでいるときの悦楽を楽しみにする・・みたいなことか。なんかつらいが、わかるような気もする。


ごく強火で、手早く焼いて、醤油と七味唐辛子で食べると、なかから、あつあつの芯が飛び出してきて、舌を焼く。俗に言う鉄砲というやつである。
[神吉拓郎/放送作家]

・・焼いているのは葱です。しかも東京生まれの神吉さん、白い、太い葱のことを書いているのだと思います。酒呑みとしては読んでいるだけでも“いい感じ”(*^_^*)


世には、心得ぬ事の多きなり。とも有る毎には、まづ酒を勧めて、強ひ飲ませたるを興とする事、いかなる故とも心得ず。
[兼好/歌人]

・・要するに、何かあると酒を勧め、強制的に酒を飲ませることをおもしろがるのは、いかな理由ありともわけがわからん。って言っているのだと思います。
これには続きがあって、飲まされて具合が悪くなったり、二日酔いになったときの様子が書かれていました。つまり兼好は下戸ではない。二日酔いの気持ちもよくわかっている。
無理やり飲まされた人の哀しい酔態を簡潔な言葉にしているのです。
麗しき人は狂人となり、元気な人もたちまち病人みたいになる、前後不覚、ぱたりと倒れて目を覚まさない。
飲ませる人と、その風潮を嫌っているようです。
ひとり飲む酒は日々を慰め、好きだが、宴会はちょっといやだな、っていうのが兼好法師の言いたかったことのようです。

酒呑みの話はくどくなりそうなので、きょうはこの辺で。

2019/07/27

「汽車旅の酒/吉田健一」を読んだ。

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『汽車旅の酒/吉田健一著(中公文庫)』という本を読みました。

著者は、1912年(明治四十五年)生まれ。吉田茂元首相の長男です。
ケンブリッジ大学に学び、英仏にわたる翻訳や文芸批評、小説など多彩な文筆活動をされた方だとのこと。

この本は著者の鉄道旅行とそれにまつわる酒・食のエッセイを独自に編集したものです。

読んでみると、東海道新幹線「ひかり号」が走り始めようとしている頃の話などもあり、今じゃ考えられないような“酒びたり”の豪快な旅というか、“飲みっ放し”の記憶があまりない旅に驚きました(^^;)

新幹線が開通したことの本当の有り難みは皆が新幹線に乗るので、自分が利用する超特急以外の旅の交通緩和にあると語っていて、駅に停車するたびにビールを買ったり、駅弁や名物などを買い、飲み、食べることの楽しみが鉄道旅の醍醐味だと強調されています。

そうですよね、そのとおり。
ゆっくりな鉄道の旅、私もあこがれます。

「途中の駅で弁当を買ったりしていい気持ちになることを望むものである。飲み助に就ては、言うまでもない。“光の速度”などというのは学者が知ったことで酒とは関係がない。」
・・と書いていて、まったくもって“ごもっとも”であります(^_^;)

「リニア新幹線開通したら乗るぞぉっ」なんて言っている人・・「東京から大阪まで〇時間で用談をすませて、又 〇時間で戻って来なければならない人の為だけの汽車の旅行ではない」と著者が言っておりますが、あなたには何のことを言っているのかわからないでしょう・・そんな人がこの本を読んでも、ちぃとも面白くないでしょうねd(^_^o)

金沢や新潟など「汽車の旅」をする著者。
どんだけ飲むんだってくらい、汽車の中でも旅館でも、その他立ち寄り先でもシェリー酒、麦酒、お酒を飲み、そこででてくる銘柄は今でもあるのか、その味わいと各地で出会った名物なども紹介されています。

読んでいるだけで、ほろ酔い気分になり、なおかつ美味しいものを食べ尽くし、地酒を楽しむ著者に同化しているような自分を感じます。
汽車の旅とお酒の好きな方には、この“レトロな旅”の本、よいと思います。

2019/07/12

おいしい旅・・夏の終わりの佐渡の居酒屋/太田和彦さんの本を読んだ

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ベッドから起きられるようになり、少し顔色も戻って来た段階での病院で読んだ本でした。
『おいしい旅 -夏の終わりの佐渡の居酒屋-/太田和彦著(集英社文庫)』。

居酒屋で飲むことの達人、太田和彦さんが、今回は金沢・京都・仙台・佐渡・松本・東京、そしてウィーンと巡る巡る!(*^_^*)

北陸新幹線に乗って金沢へ。
顔なじみの「おでん高砂」では「かに面」!っと気負い込んで注文したが、「十二月で終わりです」との返事にがっくりする太田さん(^_^;)
越前カニの値の安い雌・香箱カニを丸ごと一杯剥いて甲羅に詰めなおし、注文を受けてから十分間煮る“かに面”!
カニ身・内子・外子・みそ、とカニのすべてが味わえるのだそうです。
でもって最後は空いた甲羅に燗酒を注ぐ「かに酒」が最高だ、なんて太田さんに言われただけで私も金沢に行きたくなりました。
・・結局、今回はそれが食べられなくて太田さん「スジ、ばい貝、車麩」と矢継ぎ早に注文、もちろん日本酒を燗で。

今回は、太田さん、京都に行き、『京都の中華』を紹介してくれます。
ハマムラのえび春巻き、平安のカラシソバなど、私のまったく知らなかった独特の中華。ぜひ一度行って食べてみたいと思いました。

佐渡、松本にも出掛け、どこに行っても馴染の店に懐かしい店主、女将がいて、そこでの交流も楽しく読みました。太田さんの人柄によるものだろうな、といつも思います。

東京に戻れば太田さんの本拠地。
そこでもまた太田さんの好きな洋食なども紹介してくれていて、相変わらずの名調子です。

ベッドで本を読んでいたときに、食べ物などの話は読みたくなかったものの、体調が回復し始めたら、やはり太田さんの本が読みたくなったのでした。

次は噺家、談志師匠のインタビュー本をご紹介しようかと思います。

2019/06/08

太田和彦さんの「山の宿のひとり酒」を読んだ

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『ニッポンぶらり旅 山の宿のひとり酒/太田和彦著(集英社文庫)』を読みました。
太田さんの横須賀、高山、一関、大津の旅。旅慣れて、さらに紀行文も達人の域に入って来た太田さん、一箇所での文が七~八っつの連続ものになり、様々な角度から各地の歴史、文化、風土などを織り込みながらおもしろい話をしてくれます。
もちろん、お酒の話も。

一関では私も行ってみたジャズ喫茶の「ベイシー」にも立ち寄っています。
太田さん、アート・ペッパーの「ミーツ・ザ・リズムセクション」を聞きたいなぁとベイシーに入って行ったら、まさにそのアルバムが掛かったりして、ちょっと神がかり的。

横須賀では、太田さんが日本の居酒屋三銘店のひとつに挙げている「銀次」も登場します。
私もまだ画像でしか見たことのない昭和の堂々たる貫禄を感じるようで、さらに気取っていない誰もが気軽に入れるようなお店、ぜひ行ってみたいと思っています。

高山では、五十周年を迎えた居酒屋「樽平・たるへい」に寄り、女将さんはじめそのご家族の様子なども太田さんの満面の笑みが見えてくるような温かい眼差しで紹介しています。
こういう交流の様子も太田さんならではです。

骨董屋をひやかしたり、歴史的な碑に向き合ったり、名勝を訪ねたりの楽しい旅とお酒の味わいが“パック”になった楽しい本でした。

2019/05/02

昭和・平成・令和にわたる呑兵衛の終着点

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令和になって、皆さんいろいろと大変立派なことを考えられ、いい文も書かれていますが、私は私らしく、そういうご大層なことにはふれず、テーマは「この世で見つけた呑兵衛の終着点」について…σ(^_^;)

写真は有楽町、電気ビルの通りを隔てて向かい側、ガード下にある「食安商店」。
私が東京勤務時代に飲み会のあと、帰宅を急ぐ途中で見つけた“立ち飲み居酒屋?”です。

夜も9時半を過ぎ、そこにはサラリーマンから作業員風の人、職業不明の人、時にはOLまでがたむろしている。

飲み物は全部自動販売機で購入し、店内はほとんど自販機スペースになっているので、前の歩道に飲んでいる人があふれ、乾き物等のつまみは、どうやら店の奥におばちゃんがいるらしく、その人から“ブツ”を購入するらしい。

仲良く飲むでもなし、皆、都会の路上で人はいっぱいいるのに、孤独な感じで飲んでいる。「寂しがり屋だけど孤独好き」みたいな感じ・・。だって、ここに集まっているんだもの。

ここに来る究極の目的は「酒」!飲むこと、飲めることだけにある。
お店の雰囲気を楽しむ、あるいは飲みながらの会話を楽しむ、肴を味わう・・なんてことはこの場には無いっ!!

蒸し暑い夏の頃がこの場所の特徴がいちばんわかる季節。

スーツ姿のサラリーマンまでもがアスファルトの歩道にそのままベッタリと座り込み、あぐらをかいて缶ビールや酎ハイを飲んでいる。
もう何も考えず、ひたすらアルコールを喉に流し込んでいる。

その光景を見たときに、「あぁ、ここは呑兵衛の終着点なんじゃないか」と思ったのでした。

世間や仕事のしがらみなど、全てを頭の中から追い出して、酒で自分を、自分の中にある様々なやっかいごとを流してしまう・・。
家に帰れば、何も解決していないけれど、でもこの場では全てが有楽町の夜空に雲散する。

胸が締め付けられるような、そんな都会の一角なのでした。

昭和も平成も変わらなかった、そして令和になっても変わらぬままの光景でしょう。
人生の縮図、大人の世界、私もそんなことがわかるような年齢になっていたのです。

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