「きびしょ」って使いますか?
「お言葉ですが/高島俊男著(文春文庫)」を読んでいたところ、むかし上方ではお茶を入れる急須のことを「きびしょ」あるいは「きびしょう」と言ったと書かれていました。
で、思いだしたのですが、明治28年生まれだった父方の祖母はたしかに「きびしょ」と言っていました。
祖母は千葉の生まれ育ちですが、でも千葉の人間の一部は和歌山県から船で入ってきたというのもよく聞く話なので上方から伝わってきた言葉だったのかもしれませんが・・・。
『東海道中膝栗毛』の淀川くだりの夜舟の場面にも「きびしょ」という言葉が使われているとも書かれていました。
けっこう古い言葉のようです。
熊本県の一部では“ひとの会話に横から差出口するな”という場合に「キビチョ口出すな」と言うそうです。
これは急須のことを「きびしょ」または「きびちょ」と言うこと自体は無くなっていても、「キビチョ口出す」という慣用語が残されているのだと思います。
亡くなった祖母の使っていた言葉で、誰も使わなくなっていた言葉がいくつもあったような気がします。何かに書き留めておけばよかったと悔やまれます。
たしか「風呂をわかして」というのを「風呂ふったけろ」と言っていたように思います。
“火吹き竹で吹いて焚く”が「吹き焚ける」→「吹っ焚ける」になったのではないかと想像します。
また、古い言葉を思いだしたら書いてみようと思います。
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