ケータイ小説の“ハシリ”「内藤みか」さんの著作、読みました
これは2003年頃の新潮ケータイ文庫と銘打ったサービスにより配信された「い○わるペ○ス」という作品です。
伏せ字にしているのは、また変なトラックバックを防ぐためのものですのでお許しください。
タイトルは写真を見ればおわかりになりますよね。
当時は、反響が大きく、総アクセス数は70万件を超えていたのだそうです。
恋人に裏切られたOLが、ヤケになって買った“ウリセンボーイ”という、主に男に向けて体を売る男との関係にハマり、どんどん堕ちてゆくというお話で、私からみれば救いようのない“ひどい話”なわけですが、読者である女性からの感想というか、メッセージは、「切なくて、涙」とか「主人公が痛くて、いとおしい」とか「心と体、伝わらない気持ちに泣きそう」などと、主人公に共感するものばかりのようです。
ほとんとが主人公の“一人称ストーリー”で進行して、登場人物や周囲の描写などはほとんどありません。
ケータイ小説ならではの書き方なのだと思いますが、逆にそれが同姓の読者の共感を益々呼ぶのだと思います。
たぶん、ケータイの画面で読むのと、本になり、紙面で読むのとでは作品の感じ方も変化してしまうのかもしれません。
私は「本」として形になったものを読んで、主人公がどんどん堕ちていく過程がより鮮明に感じられたと思います。
ケータイの画面の場合には、きっと「次はどうなるのだろう」と、ストーリーの進行が気になる読み方をするのだと思います。
それはそれで、両者に感覚の違いがあるのは、また面白いものですよね。
この作品は、ケータイ小説の黎明期をささえた記念碑的な作品ということなのだそうですが、たしかにわかりやすく、読みやすい、ケータイならではのものであると思います。
きっと、ケータイ小説に興味の無い方でも、ぱらぱらとめくっているうち、あっという間に読み切ってしまうかもしれません。本屋さんで見かけたら、ちょっと見てもいいと思いますよ。たしかに良く出来た小説だと思います。
【NowPlaying】 Resting In The Shadow / Lars Jansson Trio ( Jazz )
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