老いらくの花
『老いらくの花/小沢昭一・著(文春文庫)』を電車の中で読んでいます。
小沢さんの「小沢昭一的こころ」というラジオ番組は、30年以上続き、私も学生時代から勤めになっても、機会があれば聞いていました。あんなおもしろいラジオ番組はなかなかないですよね。
この「老いらくの花」は、昭和4年生まれの小沢さんがお歳を召されて近年の奥様を大事にしているお姿から、それこそ若い時分にかなりの“ご愉快”をなさった頃のことまで、その当時の風景や、家族、ご近所の様子まで含めて味わいある筆致で書かれています。
なんでもないように淡々と書かれていますが、行間には必死で働いて働いて働きまくった若き小沢昭一さんの当時の様子が書かれていて、私は読んでいるうちに「こんなに色々な逆境に遭遇しているのに、あの枯淡の境地はどうしたら出てくるのだろう」と思い至りました。
映画全盛時代のエピソードまで思い出されて、書かれていますが、この本は当時の世相や人々の暮らし、思いを知るにも貴重な本ではないかと思いました。
そして、この本を読んで知ったのですが、小沢さんは、徳川夢声、森繁久彌さんのあとを受けて、あの「明治村」の村長もなさっているのですね。
明治村には、私も大きな想い出があり(ねぇ、ymamaさん?!)、とてもうれしい気持ちになりました。
昭和の初めから戦争を経た時期を私は知りませんが、これを読んで父の生きた時代が重なり、感慨深いものがありました。
小沢さんのファンだけでなく、昭和の時代や、その頃の子供たちの遊びや駄菓子、町の風景などにふれてみたい方にもおすすめの本です。
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コメント
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ymamaさん、こんばんは!(^^)/
懐かしい明治村には、小沢昭一さんのお父さんが修行していた写真館も復元されているとのこと。
この本の中には、あの復元された帝国ホテルの前でシルクハットを被って、うれしそうにしている小沢さんの写真も載っていました。
私も、「ああ、ここにも行ったな」としみじみ想い出しました(^o^)
小沢さん、現在は、ほとんど忘れられかけている昔の歌をCD化しているようです。それも聞いてみたくなりました。
投稿: はっP | 2010/01/07 22:36
★こんばんは。
明治村!!
そうそう、思い出ありますねぇ。(^^)
懐かしいです。何年前でしょう??
小沢昭一さんも、懐かしいです。
テレビなどで、その飄々とした語りを聴いていると、なんと知的で、ウイットに富んだ方かと、子供心に感心していたのを思い出します。
こういうセンスの持ち主がマスコミに出てくることも、ほとんどなくなったのが寂しいです。
投稿: ymama | 2010/01/07 01:04