Can you Dream ? -夢を生きる-

『Can you Dream ? -夢を生きる-/宝塚歌劇団 演出家・植田景子著(ソフトバンククリエイティブ株式会社)』を読みました。
というか、あっという間でした。
240ページある本ですが、無我夢中で読んでしまいました。
前半は、宝塚初の女性演出家の道が開けるまでのつらい下積み時代のお話でした。
しかし、植田先生の子供の頃からの宝塚に対する思い、熱意、さらに自分がその作品がつくられていく過程に入りたいという執念のようなものが描かれていて、“つらそう”だけど、でも「夢」に向かって突き進むその姿に我を忘れて入り込んでしまいました。
本を読んでいるのを忘れてしまうくらいに没入しました。
さらに苦労に苦労を重ねた挙げ句、入団後も演出助手をする中、体力も精神力も限界の中で懸命にもがく著者の様子が続くのですが、そこも私は一気に読んで、そんな大変な話なのに“爽やか”な印象を持ちました。
植田先生のひたむきさは、爽やかな感動を呼ぶのです。
この本を読んでいて感じることは、本のタイトルのように「夢」をあきらめないこと、それが植田先生の生き方の中心にあるのだということです。
植田先生の作品で、私が観たものは「パラダイス・プリンス」「マイ・ディア・ニューオリンズ」「ハプスブルクの宝剣」の三作品ですが、いずれも内容は似ても似つかないように一見すると感じます。
でも、ハッと気づいたのですが、どれも自分の夢を決してあきらめない男が主人公でした。
最後の最後まで、どんなことが起ころうとも、自分の人生を、信念を生きていました。いずれの主人公も・・・。
これは植田景子先生の人生そのものではないか!
と気づき、ハッとしたのです。
先生の思いの丈がそれこそ先生の今までの、そしてこれからの情熱を込めて書かれています。
面白くてたまらなくなるにきまってます、このご著書。
私はもう、我を忘れて一気に読み切り、読後感も、内容がけっこうつらい時期のことも書かれていたのに、非常に爽やかです。
宝塚ファンならずとも、これは読んで価値のあるものだと思いました。
人生のこと、人の真摯な生き方のこと、演劇やその他自分に興味のあることに対する情熱の傾け方など、これを読もうと思った方には、きっと何か力強く励ましてくれるヒントを与えてくれると思います。
この本では、さらに、宝塚トップスターや、宝塚の先生、先輩など、様々な人たちとのエピソードも散りばめられていて、それぞれがまた驚きと感動を呼ぶのです。
初めて大劇場公演の演出を担当したときの理事からの挨拶のエピソードなどは涙なしには読めません。
きょうは、私の今年一番のおすすめ本の紹介でした。
【Now Playing】 ラジオ深夜便 / 登山家・ 田部井淳子 ( NHK-AMラジオ )
« 鎌倉巡りは一日ではまったく足らない・その2 | トップページ | 「社交界」たいがい、再読 »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 古本の頁を繰っていて見つけるもの(2022.01.23)
- 中学生時代から今に至るまで、「レコード盤を貸してくれ」「CDを貸してくれ」「本を貸してくれ」と言われる話。(2021.12.21)
- 「日本人も知らなかったニッポン/桐谷エリザベス」を読みました。(2021.10.03)
- 「小林信彦 萩本欽一 ふたりの笑タイム -名喜劇人たちの横顔・素顔・舞台裏-」を読みました。(2021.09.28)
- 坪内祐三の「最後の人声天語」を読んだ。(2021.09.25)
「心と体」カテゴリの記事
- 「私 何だか死なないような気がするんですよ/宇野千代」を読みました。(2025.11.08)
- 俳句を詠んでみる_0606【 月の顔(かんばせ) 泣き出して 吾も泣く 】(2025.11.07)
- 「私訳 歎異抄/五木寛之」を読みました。(2025.10.23)
- 先生、あらためてすごい。(2025.09.30)
- 「死にたくなったら電話して/李龍徳」を読みました。(2025.09.28)
「仕事で生き生き」カテゴリの記事
- 俳句を詠んでみる_0579【 秋の昼 あの仕事した シャツ始末 】(2025.10.09)
- 先生、あらためてすごい。(2025.09.30)
- 俳句を詠んでみる_0570【 秋色(しゅうしょく) 師は喜寿を越え なお炸裂 】(2025.09.29)
- 「わたしの失敗Ⅲ/産経新聞文化部編著」を読みました。(2025.09.07)
- 「不機嫌な長男・長女 無責任な末っ子たち/五百田達成」を読みました。(2025.09.04)
「宝塚」カテゴリの記事
- 宝塚歌劇を長いこと見てきたという人に会った。(2024.08.14)
- 俳句を詠んでみる_0138《宝塚俳句[ミュージカル Me & My Girl に登場した弁護士役 未沙のえる さんの名演に捧げる]》【 お屋敷の弁護士 胸に薔薇ひとつ 】(2024.06.21)
- 俳句を詠んでみる_0132《宝塚俳句[※個人的な思いで創った句です。宝塚歌劇団、元花組娘役 青柳有紀さんに捧げる]》【 緑さす とどけ ナーヴの ボーイソプラノ 】(2024.06.15)
- 俳句を詠んでみる_0126《宝塚俳句[ミュージカル、「エリザベート」で宝塚歌劇に新たな一頁を加えた一路真輝さんを詠む]》【 一路真輝 蝦蛄葉仙人掌(しゃこばさぼてん) 黄泉(よみ)の国 】(2024.06.09)
- 俳句を詠んでみる_0120《宝塚俳句》【 大晦日(おおみそか) 幻のアーニーパイル 】(2024.06.03)


コメント