「フィルム/小山薫堂著」読みました

『フィルム/小山薫堂著(講談社文庫)』を読みました。
著者は、「カノッサの屈辱」「料理の鉄人」などの放送作家として有名な方です。
短編小説集なのですが、どれもちょっと不思議で、ちょっといい話、そしてけっこうオシャレな感じの設定が多く、あまり所帯じみたような話はなく、さらにラストにぐっとくる感動が散りばめられ、面白くてあっという間に読み終えました。
深夜に彼女とケンカして彼女の家を飛び出したが、住宅街で道に迷い、表通りを探すうちに、民家の中に不思議なカレー屋を発見。そして、そこのマスターとのやり取りの中から彼女ともう一度ここに来てカレーを食べてやり直そうとする、普通、小説にはならないような展開の話も面白く読みました。
映画「おくりびと」の脚本も手がけた作者の「フィルム」という話は、おくりびとを彷彿とさせる内容で、記憶にない父親の死を知らされて、とまどいつつも父の遺体と向き合い、自分の知らなかった幼少の頃の記憶や、当時の様子がよみがえってくる、いい話でした。
さらに、「セレンディップの奇跡」という話は、突然自分の誕生日に長年付き合った彼女から振られるストーリー。次々と偶然とは思えないくらいの出来事が続き、結局“ついていない”ことばかり。
小さなビストロで、かつて申し訳ないことをした昔の友人のことを思い返していると、その後の展開が信じられない感動的なストーリーになってしまい、さっきまでの何の意味も無さそうだった行きずりの人たちが実は・・・という、ネタばれが危惧されて面白すぎる内容を伝えずらい一編、などなど・・・。
これはいい本でした。
読んでいるうちに、感動が少しずつ沁みだしてくるようで、その他の短編もどれも面白いものでした。
ちょっと素敵で、さわやかで、涙がちょっとだけあふれる、そんな本でした。
【NowPlaying】 Let It Bleed / The Rolling Stones ( Rock )
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