「ラブ・イズ・ザ・ベスト」を読んだ
『ラブ・イズ・ザ・ベスト/佐野洋子著(新潮文庫)』を読みました。
以前に、同じ佐野さんのエッセイ集「覚えていない」の読後感を書きましたが、今回の作品は、佐野さんの記憶の片隅にある不思議な想い出というか、多くは印象に残る人達のことが、短編小説のように語られているものです。
佐野さんの母親も登場しますが、どんなに苦労している時でも化粧を欠かさない、唇に紅を指すときの唇の描写などが妙に艶めかしく、子供の頃の佐野さんにはそれが「一番きれいな人」に見えていたので、化粧するときにはいつもそばから見ていて、母親にうとまれた・・そんな記憶が摩訶不思議な短編となっています。
学生時代の友、アルバイト先の同僚、ままならぬ自分の子供、出てくる人達それぞれにそれぞれの生き方が有り、影が有り、息づかいが有り、どの人物もどのエピソードも全く別々の世界にいざなわれます。
それは、佐野さんの人生そのものが波瀾万丈であったことがうかがわれるものです。
この本を読んで、人がひとり生きて行くこと自体が様々な枝分かれした道を進んでいくようなものだと思わされました。
数奇で、ちょっと味わい深い人生の側面を垣間見てみたい、そんな気分に合う本でした。
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みいさん、コメントありがとうございます(*^^*)
この本、けっこういいですよ(^-^)/
おすすめです(*'-'*)
ただいま帰宅途中の特急の中です(o^^o)
投稿: はっP | 2012/03/08 22:20
こんにちは。
佐野さんの本は数冊持ってますが、この本は未読です。
読んでみたくなりました。今度本屋で探してみますね。ご紹介ありがとうございます。
投稿: みい | 2012/03/08 11:28