「水曜の朝、午前三時」・・印象の強い本だった

たまたまブックオフで立ち読みして見つけた本。
『水曜の朝、午前三時/蓮見圭一著(新潮文庫)』
250円でした。
ちょっと立ち読みしただけで、もうこの話から抜けられなくなってしまい、購入したものです。
いきなり、主人公・・?・・にあたる女性が亡くなっているところから始まり、その女性(45歳で亡くなる)が病床で吹き込んだ四巻のテープ、それを起こしたものがこの話だ、という形で始まる。
翻訳家でちょっと知れた詩人の本人。
危篤に陥る二週間前に、ニューヨークに留学していた一人娘のもとにテープが郵送され、その内容がこの話の中心となり、亡くなった女性の生まれてからやがて許嫁があらわれ、それに逆らうように大阪万博のコンパニオンとして働き、そこで激しい恋に落ち、激流のような恋人との人間関係、許嫁との約束破棄、両親との確執、葛藤、平凡な結婚に無理矢理突き進むも、自分の人生を自分で納得せぬまま・・ガンになり・・死を間近に人生を振り返る・・というもので・・・もう波乱のストーリーに引きずり込まれっ放しでした。
読んでいるこちらはハラハラしたり、なぜそんな向こう見ずなことをするのか、いや誰もがこんな経験をしていて、夫婦とは互いに秘密を持ったりしているものだ、これは波瀾万丈に見えて、誰にでもあるストーリーなのかも知れない・・などと思いつつ読んだのでした。
振り返る時代は70年代初頭の大阪万博の頃。
文中に登場する音楽は、当時のロックミュージックが随所に効果的に鳴っていて、たぶん当時を知らない人が読んでもなぜか“懐かしさ”を感じるかもしれません。
そんな不思議なノスタルジーさえも感じさせる空気が漂っています。
非常に“力”のある小説でした。
ちょっと本屋でめくっただけなのに、本から離れることができなくなるくらいだったのですから、実際に読んでいくと心の中に静かだが、強い風が吹きました。
奥付を見ると版を重ねているようですし、人気作品なんですね。
納得の力作でした。
心に残るものは、何年に一度かの強いものでした。
【NowPlaying】 Till There Was You / The Beatles ( Rock )
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