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2012/08/18

中山康樹著「さよならビートルズ」を読んだ

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『さよならビートルズ/中山康樹著(双葉新書)』を読みました。
中山さんと言えば、マイルス・デイビスの専門書、そして一連のJAZZ本、さらにビートルズ関連本からボブ・ディランまで、1950年代から60、70年代あたりの洋楽にかけては数々の名著と迷著?(^_^;)を次々と書かれています。

私も「マイルスを聞け!!」などは愛読書であり、座右の書ともなっております。

ビートルズ関係についても「ビートルズを笑え」など、ビートルズファンから見るとけっこう変則的な本も書かれていまして、ムッとしたりする論点などもありますが、どうにも気になる存在なのです。

今回の「さよならビートルズ」については、ビートルズの本というよりも、ビートルズが来日するまでのアメリカと英国と日本の音楽シーン、そして来日後から70年代の洋楽全盛期・・・さらに現在のJ-POPと呼ばれる“洋楽的邦楽”の時代までを、ある種の洋楽離れの危惧を抱きながらの展開を見せています。

ビートルズデビューから来日までの当時の東芝音楽工業のビートルズ担当者であった髙嶋氏の証言や、その他これまた当時のレコード会社洋楽担当の話、さらにワイルドワンズの加瀬邦彦さんやスパイダースのかまやつひろしさんの証言なども含めて時代の空気を絶妙に再現しながら日本の洋楽に対する理解度やGSなどの“もどき”的展開にまで論点を拡げています。

驚きの事実もたくさんあるし、結局ビートルズが日本に理解され始めたのは、来日以後で、最も理解されたのは解散後ではないかというのが中山さんの考えであり、私も実際に今までそう思っていたことです。なのでほぼ中山さんと私の意見は、この著書に限っては一致するところが多いものでした。

さらに「カラオケ」の発達や、歌詞が理解できないものは聞く必要もない・・というような風潮が進行し、今や『洋楽不要』的な世の動向にかなりの危惧を抱いているようで、私はさらに危惧ではなくて、もう人が生き方そのものに影響を受けたり、真剣に新譜が出たら友達、仲間の間で検証したりすることもなく、音楽に対する人々のニーズは単なるスマートフォンなどのような“手慰み”的なものになってしまったという落胆というか、悟りの境地にまで達しているのではないか、という状況であるとの理解に達しています。

アップルのスティーブ・ジョブズは、自宅ではアナログレコードでビートルズやディランを聞いていたようですが、皮肉にも i Pod など、ダウンロード中心のリスニングは遂に音楽を単なる“手慰み・・耳慰み?”に“変えてしまいました。

「さよならビートルズ」というタイトルの本ですが、「さよなら音楽」とでも表現したら良いのかもしれない現状を的確に解説したものとなっていました。

現在40代後半からそれ以上の年齢の人たちが死に絶えれば、音楽も死に絶える・・そんな印象をもった本でした。
最初に手にしたときとは、かなり印象が異なる本でしたが、昔日の音楽事情や日本の音楽シーンの状況を知るに貴重な歴史的資料ともなる本でした。
いわゆる“洋楽ファン”にはオススメの一冊と思います。


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