三島由紀夫作品「春の雪」観劇記
『春の雪/宝塚歌劇・月組東京特別公演』をすでに観劇しておりましたので、ご報告いたします。
三島由紀夫の著作「春の雪(豊穣の海第一巻)」を原作として、宝塚版の純文学作品を、月組の明日海りお(あすみ・りお)主演で行ったものです。
場所は日本青年館でしたが、観客は満員。
しかも、私が見た宝塚の“和物(時代は大正時代ですが)”では屈指の出来と言っても過言ではありませんでした。
矜高き侯爵家の嫡男「松枝清顕」を主演・明日海りおが演じ、美しくもプライド高く、しかも狂気を孕んだ、いかにも文学作品の登場人物らしい人物を見ていて、ふるえがくるほどの繊細さと、大胆さで、描くように演じていました。
素晴らしかった。
舞台上の演出も雪のシーン、馬車のシーン、心の葛藤を幻想的な「英霊」「海の巫女」で表現するなど、次から次へと純文学を舞台上で、どのように表現するか・・という難題に解答するかの如くの舞台を見せられ(魅せられ)、ただただ感心し、感動するばかりでした。
互いに思いを寄せているのに、運命の渦中でもがき苦しむ主演・明日海と、相手娘役の咲妃みゆ(さきひ・みゆ)に観客は息をのみながら物語の行方に気が気ではありません(^_^;)
咲妃さんの年上の美しい女性の演じ方にもただ驚くばかりでした。
2010年初舞台だなんて、とても思えない堂々とした演技と歌でした。こりゃ娘役の素晴らしい若手がまた一人出て来たという感じです。
咲妃さん演じる聡子付きの女中を演じた美穂圭子(みほ・けいこ)さんは文句なしの満点演技。ロミオとジュリエットの乳母役のあのファニーな感じから一転して渋い役どころでしたが、うなるくらいのいい演技でした。さすがです。
明日海さん付きの書生役だった宇月颯(うづき・はやて)さんは、好演でしたが、珠城りょう(たまき・りょう)さん演じた明日海さんの親友役でも良かったような気がします。
今回はもうひとつ宇月さんの大きな演技が役のせいもありましたが、見られませんでした。
逆に珠城さんは、出番も多く、ストーリーの展開に大きく関わる明日海さんの親友を清廉な青年として巧みに演じていて、好印象でした。
明日海さんと恋の地獄に堕ちていく聡子(咲妃)を見そめ、婚約した宮家の第三王子を演じた鳳月杏(ほうづき・あん)さんも微妙な立場を演じて見事でした。
今回は、全員が役どころを全うしているという印象が強く、舞台全体がきりっと引き締まっていました。
観劇後の感想は、明日海りおさんにとって、この作品は代表作のひとつに数えられるような美しい、彼女にとってもぴったりとはまった力作であったと思えるものでした。
今年は他組も含め、いい作品が多いです。
宝塚100周年に向けて、とてもいい感じで公演が次々となされて、ファンとしてもうれしい限りです。
さて、次は・・何組・・・。
【NowPlaying】 ラジオ深夜便 / 加山雄三 ( NHK-AMラジオ )
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