ポールマッカートニーのニューアルバム『NEW』
11年ぶりの来日というPaul McCartneyの日本公演に先駆けて新しいアルバムが発表されました。
さっそく聞いてみましたので速報を。
今回は、4人のプロデューサーがそれぞれいくつかの曲を担当するという変わった形での制作だったようです。
どうやら、試しに一曲やらせてみたら、どの人も良くて結局4人全員に任せたらしいですね(^_^;)ちょっと珍しい。
①Save Us
アップテンポでビートルズ時代には無かった感じのリズム感。
プロデューサーのポール・エプワースとの共作とのこと。
ギターサウンドの歪みがカッコイイ曲です。
②Alligator
プロデューサーはマーク・ロンソン、ポールのソロ時代にはありがちなサウンドですが、途中のメルヘンチックかつ宇宙に漂うような感じの部分は新鮮かつポールの曲らしい印象でした。アコースティックギターと、サステインの効いたエレキギターとの掛け合い具合も程よい佳曲です。
③On My Way To Work
プロデュサーは、あのジョージ・マーチンの息子、ジャイルズ・マーチン。
ポールの情緒的で牧歌的なイメージが余すところなく表現されています。ここまででは一番私にとってしっくりくる印象でした。
大掛かりに聞こえるバックのサウンドも見事なマッチングを見せています。
なかなかの曲に聞こえました。
④Queenie Eye
プロデューサーは、ポール・エプワース。
ポール独特のワイルド感横溢の曲。
ドラムはじめ演奏陣は叩きつけるようなプレイを聞かせてくれます。
キーボードとベースの組み合わせがビートルズ後期を感じさせてくれたような気もします。
⑤Early Days
プロデューサーは、イーサン・ジョンズ。
アコースティックギターの弾き語り曲。
静かに物語るように若い頃を回顧する・・そんな曲です。何か自然の情景が浮かんできそう。
⑥New
先行発売のシングル曲。マーク・ロンソンのプロデュース。
いきなりキャッチーなメロディで始まり、しかもハープシコードが曲をリードしていて、あれれ?ビートルズのあの曲っぽいなどとファンは懐かしがるかもしれません。
リズムも後期ビートルズっぽいなあ( ´ ▽ ` )
エンディングもビートルズっぽく、いたずら感があって良いと思いました。
⑦Appreciate
ジャイルズ・マーチンのプロデュース。
リズムがポールらしくないのがひとつの特徴かも。ヒップホップなズンズンいうベースドラムが印象的。
でも、かなりな意欲作だと思いました。このアルバムでも一番とんがっている作品だと思います。しかもライブでやったりしたら会場全体にグルーブが拡がるのではないかと思いました。間奏のギターもこれまでのポールの曲らしくなく、それがまた良いと感じました。
⑧Everybody Out There
これもジャイルズのプロデュース。けっこうナチュラルな曲づくりと、サウンドづくりです。ポールファンなら自然に聞けて、自然に“乗れる”感じ。
途中のブレイクもライブ向けに感じるくらい聞いている人の“乗り”を意識しているように思いました。印象的なギターリフもイケてるし、タイトなリズムもバッチリです。これも佳曲ですね。
⑨Hosanna
イーサン・ジョンズのプロデュース。アコースティックギターの音をそのまま過度に加工せずに出しているのが効果を生んで、ポールの優しいため息のようなものを感じさせてくれました。
そう言えば、イーサンのお父さんは、未発表となったビートルズの「ゲット・バック」・・「レット・イット・ビー」ではなく、このアルバムが本来は発表されるはずだった・・をプロデュースした人でした。
あの未発表アルバムは、けっこう原音そのものみたいな感じでした(そもそも元々のアルバムコンセプトがそうだったのだ)ので、それを思うとしみじみとしてしまいました。
※その一部は「アンソロジー」で聞くこともできます。
⑩I Can Bet
こちらもジャイルズ、プロデュース。
ウイングス初期のバンドで大学などを回り、ゲリラライブをやっていた頃のようなバンド感満載の曲です。タンバリンが入るとなぜかライブっぽさが増しますよねぇ(^-^)
途中のドカンとブレイクっぽくなるところもカッコイイし、リフもベリーグッド!d(^_^o)ウイングスみたい(*´∀`*)
⑪Looking At Her
これもジャイルズ。
このサウンド世界は新しくもクラシカルで、さすがジャイルズという気がしました。どこかで聞いたようなメロディも感じましたが、懐かしい部分と先鋭的な部分がミックスされて今のポール、まだまだ頑張って新しいものを模索している・・と感じました。
⑫Road
ポール・エプワースのプロデュース。
この曲も新しいポールの試みを感じさせてくれます。
静かに探るような曲の序盤からパッと開けるような展開が見事です。
そしてまた深く潜行して行くようなところがまた憎い(^_^)
不安感を煽るようなエンディングもまた良しです。
⑬Turned Out
ここからはボーナストラックです。通常盤には入っていない曲です。
そしてイーサンのプロデュース。
シャープでスライドの掛かったギターが印象的な力強く軽快な曲です。
それこそこのスライドがジョージ・ハリスンだったら最高だな(゚ー゚*)、などと思ったりもしました。この曲、気に入りました。カッコイイぞ(^-^)
⑭Get Me Out Of Her
ジャイルズ、プロデュースです。
これはわざと古くさく作った曲。ボーカルの音声も古く聞こえるようにされています。古いブルース曲を懐かしい楽器で、リズムも昔っぽく、スタジオを感じさせないゆったりとした感じで作られています。録音後ちょっと録ってみたリラックス曲みたいな感じに見せてあります。
⑮Struggle
ポール・エプワース、プロデュース。
これは日本盤のみのボーナストラック。
こちらはスタジオに“オタク”的に“こもって”作ったかのようなプライベートな印象の曲です。
⑯Scared
これはシークレットトラックで、プロデュースはジャイルズです。
ポールのピアノ曲らしい、語りかけるような印象です。
弾いているポールの様子が見えるようです。
この曲でアルバムは静かなエンディングを迎えます。
というわけで、日本公演がますます楽しみになってまいりました(゚ー゚*)。oO
【Now Playing】 Scared / Paul McCartney ( Rock )
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