四十~五十台の夫婦には大きな問題の本
『結婚しても恋人でいたいなら/亀山早苗著(新潮文庫)』を読みました。
またもブックオフ価格108円。
著者は1960年生まれで、大学では演劇学を専攻していたが、卒業後はフリーライターとして女性の生き方をテーマに、恋愛、結婚、性の問題に取り組まれてきた方。
社会状況を分析する筆力には定評があるようです。
この本では、夫が五十歳を越えたあたりの夫婦を中心に著者がリポートし、分析しているのですが、多くは子供が成人したり、独立したりして夫婦二人の生活に入っていて、そこで夫婦として“男女の関係”がほとんど無くなっていて、その関係はほとんど修復できないほどの悪化を見ている状態なのです。
夫は、子供が出来て子育ての時期に仕事に追われてほとんど妻との生活を顧みなかった状況、中にはそういう中で夫婦関係が悪化し、仕事に疲れ、家庭の問題の中に飛び込むことから回避して、浮気をするという・・絵に描いたようなことになっているのでした。
妻は、子供が大きくなる中で、夫はちっともそれらに関わろうともせず、しかも中には浮気する輩もいて、夫婦の営みなどは“盆暮れ”にあればいい方、ということになり、自分の女性としての生き方、魅力についても家庭生活の中に埋没してしまい、・・夫婦共々ひどいことになっているのでした。
そんな中、あるきっかけをもとに夫婦関係を修復し始めた方々にインタビューし、なぜ関係修復に成功したのか、あるいは、今後どうなっていくのだろうか、というようなことを丹念に分析しているのがこの本です。
聞いているだけでも辛い話がいくつもあるのですが、文中の丁寧なインタビューには頭が下がります。
解決方法には、ここで書けないようなドラスティックな方法を取る方が多く、私も読んでいて「これがほんとうに解決に結びつくのか」と、ハラハラするようなことが書いてありました。
詳しく書くとこの本に対して営業妨害になってしまうので、解決方法の内容は書けませんが、要するに男と女の緊張感を取り戻すには、「相手に嫉妬する」気持ちを持たせることがきっかけとなって修復に向かうケースが多いことがわかりました。
恋人だった頃は、会う度に色々と状況が変わったり、環境もスリリングに変化したりして、いつも緊張感がつきまとっていたことと思いますが、結婚生活をして、基本的に同じ場所で家庭生活が進行し、“夫婦としての居場所”が固定されてしまったような状態では、結局夫婦の間には決定的な亀裂が生じるのでしょうね。
よくラジオ番組などの人生相談では、その多くが夫婦の精神的な繋がりについてアドバイスされたりしていますが、それだけでは解決できない、“体”の結び付きの問題について深く、遠慮無く書かれているのがこの本でした。
恥ずかしいけれど、読んでみてためになる本でした。
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