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2014/12/04

山﨑努さんの書評・・エッセイ本を読んだ

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『柔らかな犀の角/山﨑努著(文春文庫)』を読みました。
「犀(さい)の角のようにただ独り歩め」というブッダの教え、そのフレーズが気にいったと著者の山﨑さんが上記のようなタイトルで、書評+エッセイのような文を連載で書かれ、それを一冊にまとめたのがこの本です。

ブッダの教えでいう犀は、インドサイのことで、その犀の角は、中は“ぶよぶよ”なんだそうです。
で、タイトルには“柔らかな”と付け加えられているのです。

さて、この山﨑さんの書評とエッセイの境目のないような、不思議だけど、柔らかく流れるような文章に最初っから魅了されました。
しかも山﨑さんは、この本の中でも度々書かれていますが、1936年生まれの一般的には老境に入ったところですが、それを自分に信じ込ませるようにして“老い”を受け容れている様子がうかがえました。
それがまたこの山﨑さんの珠玉の文章が集められた一冊に深い味わいを添えています。

ものすごい数の、ジャンルを全く問わぬ読書量にも驚きますが、それらを読んで、その感想をすうっと冒頭からなめらかに書き出し、自分にとってその本がどんな印象で、何を想わせたかをスルスルと書き連ねていて、最初の二~三行でこちらは話に身を乗り出すことになります。

さらに、山﨑さんの今までの経験、人生に、どんなふうに色を染めるようにそれらの本が入り込んできたのか、また、役者としての山﨑さんが日頃考えていることも含めて書かれていて、もう書評とエッセイの境目の無い独特の構成に引き込まれましたねぇ~^_^

しかも、山﨑さんの読書及び様々な体験の数々は守備範囲が広いというか、限りなく拡散していて、ただただ驚いたのです。どの話も深く、目からウロコが落ちるようなものであり、山﨑さんの緩いような、厳しいような、緩急つけた生き方に通じていて、これはもう“名著”の部類に入るのではないかと思いました。
こういう種類の文って、私は過去読んだことがありません。

また、山﨑さんが読んだ書に因んで取り上げている人達もまた独特な物の見方をし、独自の探求的人生を歩んでいて、それらにも興味をそそられるのです。

読めば読むほど身体にじ~んと効いてくる、効能ある湯にでもつかっている気分で読了しました。

読書好き、そして役者としての山﨑さんが好きであれば、面白くてとまらなくなる本です。私からは、おすすめの一冊でした。


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