「杳子・妻隠」半分まで読みました
『杳子(ようこ)・妻隠(つまごみ)/古井由吉著(新潮文庫)』、前半の杳子を読み終えました。
この文庫の帯には、お笑いのピース・又吉さんの推薦文が載せられていて、「脳が揺れ比喩ではなく実際にめまいを感じました。身体に直接影響を及ぼす小説があることに驚きました。」と書かれています。
「杳子」と「妻隠」の二編が収められているのですが、現在「杳子」を読み終えたところで力尽きました。
主人公の杳子は、たとえば自宅からあるところまで行くにしても、その過程にそれぞれ通過ポイントのような目印を脳内に焼き付け、それにそって双六を進めるように歩くのですが、途中の通過ポイントで、いつもと異なる様子になっていたりすると、また家に帰ってきてもう一度振り出しから歩き始め、いつまでたっても目的地に近づけないような・・そんな女性。
杳子と山で出会った男性が、杳子と付き合う?ことになり、恋人とも他人ともつかない不思議な関係と、杳子のあまりにもじれったい、どこへ行くにも何をするにも三歩進んで二歩下がるみたいな状態に、その登場人物の男性も、読んでいるこちらも混乱します。
杳子と付き合っている男性の気持ちになって、杳子のそんな様子を理解してみようとか、どうしてそうなんだと思ったり、逆に杳子になったような気持ちで心の不安定な浮遊するような状態になったりもして、なんだかこちらの精神状態がおかしくなってきました。
結論めいたものは何もなく、最後には男性が杳子の家を訪ねるのですが、ここでも不安定な結末のない漂うような終わり方・・。
実は私も主人公の杳子のように、意味もないのに物事を行うときに自分なりのルールをつくって、それが崩れると、何もかも自己も崩壊するような、そんな経験が有り、他人ごととして読めなかったのです。
なので、読んでいてもどんどん不安や、いてもたってもいられない焦燥感のようなものを感じて、又吉さんの言うように“身体に直接影響を及ぼす”現象に見舞われました。
次第に本を手にするのも、文字を目で見ることも、意識が過剰になり、ぎこちなく、しまいには本を読むこと自体が怖くなってきて、とにかく読み終えるのに時間がかかりました。
ということで、まだもう一編の「妻隠」が残っているのですが、しばらくこの本はお休みして別の本でリハビリしようかと(^_^;)思います。
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