加藤和彦さんの「優雅の条件」を読んだ
『優雅の条件/加藤和彦著(ワニブックス【PLUS】新書)』を読みました。
著者の加藤さんは、2009年に亡くなっていることをご存知の方もいらゃっしゃるでしょう。
この本は、1991年に(株)京阪神エルマガジン社により刊行されたものの新書版化です。
かれこれ25年も前の本ですが、加藤さんが安井かずみさんと再婚し、お二人が過した“一番いい時期”の様子がわかるような、そんな本でした。
自分の(安井さんとの生活)のライフスタイルというか、日々の生き方、食事についての考え方、旅、ホテルでの過ごし方、洋服について、素敵なパーティーの催し方、リゾートでの究極のバカンス、ショーを見るときの前後の過ごし方、等々、加藤さんの考え方はひとつの“型”を持っていて、それは揺るがないものに感じました。
特に感じたのは奥さんの安井さんのためには何でもする。二人で旅をするときなどは完全にアテンドに徹する、そんな加藤さんの姿でした。
読んでいて、その「精神」みたいなものには共感する部分もありましたが、何せこの本に書かれていることを実践するにはフトコロが豊かでないと・・出来ないことばかりでした。
また、カタカナで表記されている言葉についても当時のバブリーでちょっと気取った、・・表現は悪いですが・・鼻につくような部分もありました。
あとがきで、加藤さん夫妻と親交の深かった画家の金子國義氏も書かれていましたが、「少しばかり傲慢な言い方になるが、ぼくや安井かずみと合う人なんてそうはいない。容姿も教養も感性も優れた人とじゃないと、ぼくたちは仲良くなれない。」と表現されていて、私のような田舎の小市民にはわからない世界が加藤夫妻とその周辺の人々(加藤さんの開く洒落たパーティーなどに集まってくる人達)にはあったようです。
それでも、読んでいて関心することは多々ありましたし、加藤さんが書いている男としての振る舞いなどには勉強になることがいくつもありました。
また、加藤さんが創り出した様々な音楽の独特のタッチの上品さ(サディスティック・ミカ・バンド時代のハードなロックについてもです)はここから来ているのだな、ということも深く感じました。
ソフトなタッチで、お洒落ですよね。
実はこの本を読んだ直後、加藤さんよりも早く亡くなった奥さんの安井かずみさんについて書かれている「安井かずみがいた時代/島﨑今日子著」という本を見つけました。
安井さんという人がどういう人だったのか、ということが加藤さんの本を読んでいて、とても気にかかったのです。
こちらも読んだら、このブログでご紹介しようと思います。
【Now Playing】 The Word / The Beatles ( Rock )
« 『宝塚夜話・第三十七夜 < 今の娘役のキリッとした姿はいい >』 | トップページ | 児玉清さんのラストメッセージ・エッセイを読みました »
「音楽」カテゴリの記事
- 「心を癒す音楽/北山修 編・著」を読みました。(2025.03.09)
- 映画「ブルースの魂(THE BLUES UNDER THE SKIN)」を見ました。(2025.02.09)
- 映画「ミスター・ジミー(Mr.Jimmy)」を見て、聞いて来ました。(2025.02.05)
- 俳句を詠んでみる_0267【 枯野に佇む ギターの音 聞こゆ 】(2024.10.31)
- 映画「トノバン 音楽家加藤和彦とその時代」を見ました。(2024.06.06)
「趣味」カテゴリの記事
- 「荒木経惟の写真術」を読みました。(2025.07.10)
- 「まわれ映写機/椎名誠」を読みました。(2025.06.18)
- 「前略、高座から-。/柳家三三」を読みました。(2025.03.04)
- 俳句を詠んでみる_0370【 春隣 先生の名を 発見す 】(2025.02.24)
- 俳句を詠んでみる_0365【 春近し あの日の よろこび 忘れず 】(2025.02.18)
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 古本の頁を繰っていて見つけるもの(2022.01.23)
- 中学生時代から今に至るまで、「レコード盤を貸してくれ」「CDを貸してくれ」「本を貸してくれ」と言われる話。(2021.12.21)
- 「日本人も知らなかったニッポン/桐谷エリザベス」を読みました。(2021.10.03)
- 「小林信彦 萩本欽一 ふたりの笑タイム -名喜劇人たちの横顔・素顔・舞台裏-」を読みました。(2021.09.28)
- 坪内祐三の「最後の人声天語」を読んだ。(2021.09.25)
« 『宝塚夜話・第三十七夜 < 今の娘役のキリッとした姿はいい >』 | トップページ | 児玉清さんのラストメッセージ・エッセイを読みました »
コメント