ナマコのからえばりシリーズ「人はなぜ恋に破れて北へいくのか」を読んだ
『人はなぜ恋に破れて北へいくのか/椎名誠著(集英社文庫)』を読みました。
“ナマコのからえばり”と呼ばれているシリーズのエッセイ第4弾です、ま、いつもと変わらず楽しい本でした。
特に気になったのは、電子書籍について世間が騒ぎ出し、このまま『紙』の書籍は衰退していくのだ、という当時の風潮についてふれている部分でした。
読書を単なる「知識の獲得」や「一時の退屈しのぎ」と考えている人はそれ(電子書籍のこと)で十分だろう・・と、おっしゃっていますが、さらに、音楽を聴くのにヘッドフォンでは満足せず、マーラーなどちゃんとした交響楽をいい音で聴きたい人はスピーカーで空気を振動させて重奏して伝わってくる旧来のリスニングに固執するようで、人によりけりの道具のひとつだと思う、と電子書籍などの新しい読書形態などについて語っていました。
これは食事に話を変えてみると、もうちょっとわかりやすくなるかもしれません。
食事が単なる“栄養摂取”の方法だと考えるのであれば、宇宙食のようなもの、サプリメントみたいなものをいくつか口にするだけで済んでしまうわけです。
でもねぇ、食事は料理を目の前にし、酒なども飲みながら、人のとの会話を楽しみつつ・・っていうのがいいわけで、そんな要素を排除して簡易・簡潔に済ませてしまうと、人生そのものの楽しみも減ってしまうんじゃないでしょうか。
話を読書に戻して、ページをめくる感触や、手にしたときの重さや風合い、読み進めたときの残りページの感覚、本棚に収まったときの風景、そんなのがいいわけですよ、私のような読書好きにとってはねd(^_^o)
ただし、カメラなどはもう多勢に無勢で、デジタル化が進み、フィルムを使うカメラは防戦一方、音楽ではテープ、レコード盤が後退し続けてきたのですが(・・最近アナログ盤が少し盛り返しているんですよね・・)、より簡易簡便に進化するに連れ、音楽はBGM化し、“お安い”ものとなり、消耗品となり果てました。
そんなこんなで、この本の椎名さんに“同感”するばかりでした。
次第に“進化”というものを妄信する人々は、誰も頼みもしないのにテレビを全てデジタル化して“大人しく文句も言わない人達”をだまくらかしてしまいました。
椎名さんは、『「国民」全体が常にいろんな仕組みや物に「動かされている」という不快感と不信感はついてまわる』と言っていて、これも激しく同感するのでした。
今、頼みもしないのに、また全国民になんとかナンバーというものを強制し、勝手に人に番号を付けておいて、「マイナンバー」だとぬかしている。
勝手に付けたんだから「ユア・ナンバー」じゃないのかっ、と激しく憤っている私でした。ほかにもそういう人、いないのかね。
・・死にそうになりながら、この制度のために日々がんばっている市町村の方々には敬意を表するし、立派な人でなければ文句のひとつも言わずに昼夜を問わぬ仕事など出来ないことだと思った上で言っているのです・・。
世の中、いったいどこに向かっているのか・・。
もう、きょうはこれでおしまいっ!!最後は怒っちゃった・・。
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