『終わらない原発事故と「日本病』を読んだ

『終わらない原発事故と「日本病」/柳田邦男著(新潮文庫)』を読みました。
東日本大震災に伴って発生した原発事故の分析(東電福島原発の吉田所長の死闘を含め)から始まり、続発する一流企業の事故、行政の転換を迫る判決の連打など著者が今まで取り上げ、関わってきた事件、事故について冷静にではあるが非常に勢いのある感情のこもった筆致で書き上げられていました。
阪神淡路大震災や、新潟県中越地震、信楽事故、水俣病総括、じん肺患者について、日航機事故にも話は及び、そこには著者の“被害者からの視点”に立った事故、災害についての考え方が出ていて、とても特徴的に感じました。
私が読んでいても、続発する災害、事故は表面的には被害の生じ方や事故の形態は異なっていても、根底に潜む問題は地下水脈で繋がっているかのような共通の問題点や教訓があるように思いました。その特異な状況が著者の言う「日本病」であると思われます。
その日本病にも将来的な不安を感じましたが、さらに現在も原発再稼働に向けて動いている日本の状況にも大きな不安を感じました。
家族を失ったり、仕事を失ったり、故郷を失ったり、人生そのものの根幹となるものについても喪失感を持っている被害者の方達の視線に立った施策が行われているとはとても思えない、と私も現在感じています。
東京オリンピックなんかやっている場合でしょうか。
それに向けたエネルギーや予算を被災地、被災者に注ぐことはできないのでしょうか。
この本の中では、復興予算をわけのわからぬ理由でほとんど関係のない今まで予算のつかなかった事業に使っている例もあげられていましたが、そんなことを聞いているだけでも腹立たしい思いをしました。
この本を読んでいる最中の一昨日、熊本でまた大きな地震が起きています。
自分が今、苦難、困難の只中にある被災者であったらどんな気持ちで、どんなことを為政者に対して望んでいるのだろうか、という視点が足りないと著者は書いていますが、私もまったくそのとおりだと思います。
東日本大震災、あの日を境に私の考え方は根本的に変りました。
国民は国のことを考えるけれど、国は国家のことしか考えていないのではないかと強く懸念を持ちました。それはあの日以降変ることがありません。
だって、その考え方が翻るようなことを国がしたという印象がまるでないからです。
文庫本でわずか270頁の本でしたが、内容はとても重いものでした。
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