「だれかのことを強く思ってみたかった」を読みました。
『だれかのことを強く思ってみたかった/角田光代・著、左内正史・写真(集英社文庫)』を読みました。写真集的にもなっているから“見ました”もありますけど。
この本は一年間にわたり、角田光代さんと写真家の左内正史さんが東京の街を二人で巡り、水族館や住宅街、東京タワー、駅のホームなどの写真を撮り、それと共に角田さんがその街の風景のイメージで書いたそれぞれの短い物語のようなものが付されている構成です。
左内さんの写真は、人が多く写っているものでも、なんだか沈鬱な様子を感じさせるのです。
それがまた、人々が黙々と日々の生活をしていることを逆に感じさせてくれて、この写真を見ているだけでも心に感じるものがありました。
そこに付け加えての角田さんのショート・ストーリー的な文が男と女の関係や、友との関係、母親や祖母との関係、さらに幼い頃のピアノの先生への想いなど、様々な人生模様を感じさせてくれて、一冊読むと、人生の哀しさみたいなものが浮き上がってくるような気持ちになりました。
ブックオフで手に取り、風変わりな本だけど、気になって買い求めたものでした。
東京の街の中に“ぽつん”と一人居る・・そんな心象風景をもたらす不思議感覚の本でした。
【Now Playing】 嶌信彦 人生百景「志の人たち」 / 西原智昭:野生生物保全協会技術顧問 ( TBSラジオ )
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