小沢昭一さんと永六輔さんの「遊びの道巡礼」を読んだ
『平身傾聴 裏街道戦後史 遊びの道巡礼/小沢昭一・永六輔(ちくま文庫)』という本を読みました。
この文庫本自体は2007年発行ですが、実際には昭和四十年代前半のインタビューをまとめたものです。
時代が時代なだけに、今の世の中に照らし合わせると、職業や身分に対する差別的な表現もかなり多く含まれています。
でも、日本のある時期の風俗や世相についての記録としては貴重なものなので、表現の削除も言い換えもせず残した部分があります。・・これを消してしまっては、歴史を書き換えてしまうおそれもあると思うし、この本の骨格を成す部分がまるごと無くなってしまいそうです。
なので、現代の感覚で読めば、ちょっと過激な部分にも驚きつつ、でも興味深く読みました。実にすごい本です。落語家・役者・幇間・にわか師などの遊芸稼業人たちの“色ざんげ”がインタビュー形式で収められています。
小沢さんがインタビューし、同行した永さんがまとめあげたものです。“力作”といってもいい。
この本でインタビューされている遊芸稼業の人たちの“おんな遊び”は“底なし”というか、年齢の壁をも越えて無限とも言っていい、果たしてそれがほんとうに“遊び”なのか“修行”なのかも判別出来ない苛烈なものでした。
いったい何千人の女性とそういうことになったのか、しかも奥さんは“芸の肥やし”的な視線で見逃し(たぶんほんとうは色々あったと思う)、とことんまで“おんな”との行為をし尽くす人たち・・また、特異な行為があったり、逆に玄人の女性の側からの幼い頃からそういう仕事に就くことになった物語や、男というものに対する感覚など、人間の“業”を垣間見た気がいたしました。
で、インタビューを受ける側も、する小沢さんも、絶妙の間合いでやり取りをします。
それがまた“話芸の極”と言ってもいいくらいのテンポのいい、しかも皮肉やギャグも効いている見事さです。
真面目な人は読まない方がいい。
“いい加減”だが、男と女の“睦み事”に関してはうるさい、そんな“助平”なあなたにもってこいの本です。だから私にももってこい!…σ(^_^;)
んじゃ、読んでみてね。
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