椎名誠さんの古い文庫本「日本最末端真実紀行」を読んだ

【※このブログでの文は、8月頭からのブログ休止中にデジタルでメモしておいたものをアップするものです。なので、現在とタイミング的にマッチしないものもアップされるかもしれませんが、あらかじめご了承ください。】
『日本最末端真実紀行/椎名誠著(角川文庫)』を読みました。ブックオフで手に入れた昭和61年初版発行のものです。
だからもう30年以上前のもの。
阪神淡路の震災も起こっていないし、日本中が何か変なものに浮かされて調子に乗りすぎていた時代。
悪いことなんて起こらない、世の中ガンガン開発して古いものは馬鹿にして、どんどん廃棄したり壊したりしていた時代です。
そんな時代の真っ只中で、椎名さんはなんと30代!若いねぇ。
そして、神戸や札幌、倉敷、飛騨高山、渋谷スペイン通り、幕張などへと旧知のイラストレーター・沢野ひとし氏らと旅立ち、その実体を見て感じて、呆れて、嘆き、怒り、笑い、ちょっと感動したりの“珍紀行”と相成っておりました。
たぶん、当時、まだ頭の中に“正気”な部分が残っていて、実際に“るるぶ”、“an・an”、“non・no”などを読み、妙に人工的な観光地などに集まっていた少女、女性らを見て「なんだこの人たちは?なぜここに来た!」と思える理性が残っていた人にはわかるであろう、当時の実際のその地の様子が描かれていました。
この本を読んでいると、すでに“妙ちくりん”なお店などは閑古鳥が鳴き始めている様子が書かれていますので、そんな“浮かれ状態”の日本も、やや衰退への道を歩み始めていた頃なのかもしれません。
上記のような有名“おしゃれ”観光地のほかにも、突然、離島に行ったりして、民宿や、島唯一の観光ホテルでの気恥ずかしいような対応や、しみじみと“ひなびている”島の様子、人々・子供の様子なども描かれていて、それはたぶん現在でも味わえるようなものじゃないかと思いました。
そんなことを書くのも当時から現代まで、たぶん椎名さんしかいないんじゃないでしょうか。
終盤に書かれていた椎名さんが小学校から高校生のあいだに住んでいた千葉の幕張の文にはしみじみとしました。
この文が書かれていた頃に、椎名さんは幕張の遠浅の浜が新しい人工の街になってしまったことを知ります。
タクシーで今の千葉市美浜区(マリンスタジアムや、高層ホテル群のある街)にたどり着き、幕張の人工海浜や稲毛の人工海浜を見て、あきれるというよりは、愕然として、そのかつては区全体が海底だった(椎名さんが夏休み一日も欠かさず通った)地を去ります。
貝や、海苔などの漁で生活の糧を得ていた静かな漁師町的な部分は何も残されていませんでした。
・・私の記憶の彼方にも幕張の遠浅での潮干狩りの様子、人でいっぱいだった浜の様子が残っていますが、そんなものの欠片も今はありません。
読んでいて、終盤のこのあたりで妙にしんみりとしてしまいました。
今や、椎名さんの古い文庫本などは絶版になりつつあるものも出ていて、かつての若かりし頃の椎名さんの、今よりもぶっきらぼうな文章に出会う機会も少なくなってきそうなので、この本、久しぶりに刺激を受けました。
【Now Playing】 My Sweet Lord / George Harrison ( Rock )
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