「月夜のサラサーテ」を読んだ
『月夜のサラサーテ/森博嗣著(講談社文庫)』を読みました。
1957年生まれのこの著者を、私、恥ずかしながら存知上げておりませんでした。
人気作家で、Amazon.co.jpの10周年記念で殿堂入り著者にも選ばれているそうで、すまん!って感じなんです。
本屋で立ち読みして、こりゃ面白そう!と手に取った次第です。
著者・森博嗣氏が100のつぶやきをしているというこの本、「謝罪会見は、いったい誰に謝っているつもりなのか」とか、「リストラで駄目な部分が切られるが、原因は駄目だからではない」、「感動の不適切な扱いが目立っているこの頃」などなど、目次を見ているだけで面白そう、と感じたのでした。
しかしながら、この本のカバーにもかかれているように、著者・森博嗣氏は理屈っぽい・・っていうか、理詰めでどんどん攻めてくるので読んでいるこちらも“ぐうの音も出ない”状況に陥ります。
人として生きていると様々な出来事、事象に出くわしますが、それを著者は観察、考察して、こちらが長いこと信じてきたような世の考え方をバッサリと切り捨てます。
でもって、今まで味わっていた世の中の慣わしとは異なる世界が見えてくるのです。
それが痛快である場合もありますが、あまりの切り捨て度にガックリくることも・・。
非常に私にとっては、微妙な本となりました。
読んでいて、納得がいった項目も多々ありましたが、その中で最も共感したのは・・
自分の欠点や悪行など、防御が難しい部分を持っていると、そこを攻められるくらいなら、さきに相手を攻撃しよう、となる。そうならざるをえない。
と、書いていて、具体的な例として・・
ネットで散見される事あるごとに他者を非難する人達。
この人達は、多く自分が非難されたくないという心理によるものである。
と言っています。
人の行為に対する賛否ではなく、人格を攻撃する場合が多々見られるが、例外なく、自分に人格的な欠点があって、そのコンプレックスを抱えているから、ついその攻撃が「有効だ」と思いついてしまうのだという。
・・共感した。
自覚もなく、人格を攻撃し、単に貶め(おとしめ)たいというだけのもの。
理屈が述べられないからそうなる。・・まったくだ!
相手の能力的な部分を攻撃する人は、自身に能力的な欠陥があるのだと断じています。
こうして、人間社会の構図が見通せるのだと書かれていて、今まで何となく感じていたことが理路整然と述べられていて、わたしゃ唸っちゃいましたよd(^_^o)
この著者の本は、もう一冊持っているので、それを読んだときには、またこのブログで感想を書こうと思います。
結局は手に取ってよかった本でした。
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