「かくて昭和史は甦る/渡辺昇一」を読んだ
このブログで宝塚の振り返りをやっている最中ですが、読書の記録も挟み込ませていただきます。
450ページに渡る長編で、時間がかかりましたが、『かくて昭和史は甦る -教科書が教えなかった真実-/渡辺昇一著(PHP文庫)』を読みました。
この本の“キモ”は、明治以降の日本の歴史を“日本の立場”から見直しているところでした。
私も含め、敗戦後の日本で教育を受けたものは、それこそ「通り一遍」の、「戦前は暗黒の時代」で、しかも「日本という国は、日本人は、極悪だったのだ」という歴史観をさんざん植え付けられています。
そうでない人を探すのがたいへんなくらい。
この本では、日清戦争、日露戦争、日英同盟、日韓併合、満州国建国、南京大虐殺、従軍慰安婦の実態、日米開戦における日本外交の失敗などについて、明治政府の成り立ちまで遡って、当時の日本人為政者の立場に視線を置いて書かれていました。
つまり、最初に書いた“通り一遍”の戦後教育とは異なる視線でです。なぜ日本がこういう道を辿ってきたのかということが、わかりやすく書かれていました。
過去の為政者が実際に行ったことについての評価は人それぞれだと思いますが、事実として残っている(※消されていることも多いことがわかった)ことを整理し、なぜ日本がそういう方向に進んでいったのか、と考えることは、とても大切なことだと、この歳になって、この本を読んで、あらためて思いました。
つまり、今の人達(私も含め)って、今現在が正しくて、過去は悪で、悪だとしても、それら過去の歴史を丹念に調べ、研究していくことをせず、悪のひと言で葬り去っているのではないか、と思うのです。
「悪いから悪い」と、振り返りもせずに決めつけています。
そんな浅い考え方をしていると、再び未来に事が起きたときに、今現在の状態を否定して、第二次大戦後の日本人は最悪だった、それら忌まわしい過去は捨て去り、今が正しいのだから今の体制を堅持しよう・・などと、永久にこんなことの繰り返しをしていきそうです。
個々の項目について、この本を読んだ上での私の考えは書きませんが、歴史を冷静に考察し、研究することは大切なことです。戦争を再び起こさないためにも。
ぶ厚い本ですが、内容自体は読みやすく、理解しやすいものでした。
興味のある方、本屋さんで手に取ってみてください。
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