池波正太郎の「食卓の情景」を読みました。
『食卓の情景/池波正太郎著(新潮文庫)』を読みました。
退院して自宅療養中に読みました。
おもしろかったのは、池波さんが少年の頃、屋台の「どんどん焼」という東京下町のお好み焼みたいなものでしょうか、それを売るおじさんに「じゃがいもの茹でたのを賽の目に切ってさ、キャベツといっしょに炒めたらうめえだろうな」とアドバイスして、それが大好評に!(^^;)
さらに「じゃがいもをよくつぶして焼いて、まん中に穴をあけて卵をポンと一つ落とし、半熟になったのを食べたらうめえだろう」と続いてアドバイス(^_^;)
上記ふたつの命名までしていて前者を「ポテト・ボール」、後者はおやじが付けて「鳥の巣焼き」と相成りましたd(^_^o)
ただ者じゃありません、池波少年。
焼かせてよ、というリクエストにどんどん焼屋のおやじは池波少年に手伝ってもらったりもしていましたが、そのうち、長い時間を池波少年にまかせるようになりどこかに行ってしまう。どこに行くのだろうと思っていると・・。
なかなかの“いい男”だったそのどんどん焼き屋、やくざのボスの女に手を出しそこに通い詰めていたらしく、やくざの子分達に連れて行かれるのを池波少年は見ています。その後二度とそのどんどん焼屋の姿を見なくなったと書かれています( ̄O ̄;)
池波氏は、勤め始めた頃は株屋。当時は千三つや(千に三つも当たればよいみたいなことでしょうか)と呼ばれていたわけですが、かなり儲けて、やばいくらいの派手な生活をしていたようです。そこでもいろいろな食と出会った話が出て来ます。
下谷区役所にも勤務していたこともあり、その後、新国劇の脚本・演出を担当し(ものすごい遍歴です)、さらにその後は「錯乱」で直木賞作家に!
「鬼平犯科帳」などのシリーズは代表作として有名です。
そしてこの本のような“食の名エッセイ”でも名を馳せています、すごすぎる!!
食の興味は大阪、京都、東海道、鵠沼、横浜、奈良、柳生、伊賀上野、勢州・桑名、どんどんどんどん紹介され、実に面白く興味深いものがありました。
チキンライス、とんかつとカレー、芋ノコ汁など、身近だったり庶民的であったりするものにも触手は伸び、さらに時々登場する奥さんとお母さんのコンビもエピソードに隠し味を加えます。
読み応えのある「食エッセイ」でしたよ。
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