【「正直に言えっ!」と言われた話/過去にあった人、過去にあった出来事について振り返る №2】
過去に会った人、あった出来事についての回顧文シリーズ。
もう、仕事もやめたので、気が楽になり、いろいろと思い出すことがあります。
前回、意外と反応が大きかったので、この「過去にあった人、過去にあった出来事について振り返るシリーズ」さらに続けていきます。
今回の「正直に言えっ!」は、話がその後も続きますが、まずは取っ掛かりの出来事から書いてみようと思います。
十数年前の人事異動で、職場が地元から離れた東京に変わりました。
そこでの仕事のひとつは、地元から離れた東京で、“地元のPR”をすることでもありました。
東京の職場では上司が一年で全て交代となり、その交代で来た人との話です。
年に一度、職場の上司に「今年は何にチャレンジするかシートを提出して、年内に何度か進捗状況を報告し、評価をもらうということになっていて、当時 facebook が日本で少しずつ認知され始めていた頃でした。
なので、地元の様々な施設、行事、名所・旧跡、さらに様々な地元にまつわるエピソードの紹介をするような facebook page を作ってPRにつとめたい、ということを書いて提出しました。
「あんたみたいな人には作れないよ」と言われ、「能力が無いから出来ないでしょ」とも言われましたが(※ひどいと思う)、「このシートは、自分にはかなり高いハードルとなるようなものを書いてチャレンジしろ」と説明文にあるのだから、やらせてくださいとお願いし、渋々了承を得ました。
でも、「あんたが作るようなものは、ウチの恥になるから、正式なものでなくて、個人的にいったん作り、もし・・もしもだよ、いいものだったら、来年度から正式な page にすることにする。
という話になったのです。
で、次の週から土日に個人的にあちこち出かけて行って取材を片っ端からしましたよ。
日本最古の鉄筋コンクリート建築物や、歴史上に残る人物が住まっていたところ、石碑に刻まれた文言から過去を訪ねていくこと、さらにコスプレの聖地となっている海岸近くの公園に出かけ、撮影とコスプレイヤーの皆さんへのインタビュー、日本でも一、二のどんな姓の印鑑もあるハンコ屋さんで社長に文献・資料を見せてもらいつつのインタビュー、当時あった地元ユースホステルが企画した“ねるとん”パーティーでピザを男女が生地から手作りし、石窯で焼き、カップルが出来上がるまでの一日がかりの取材など・・。
もうガンガンにやって、週に一回のペースでアップしていくと、アクセス数は上がる上がる!(*゚▽゚)ノ
それをチェックもせずにいる上司達。
「どんな“ぶざま”なものを作っているのか見せてみろ」と言われたので、iPad を使って見せると、そんなことを言っていた直属の上司と、その上の上司の顔色がスーッと変り、「・・いいねぇ・・。」と言ったきり、黙ってしまい、iPadを返してきました。
家に帰ってからもPCなどで、私の作った facebook page を遡って見てみたようで、次の日からも二人の顔色は悪い。
で、翌週。
週明けにいきなり、「こっちに入れ」と言われ、会議室に呼ばれ、私が入ると、ドアを後ろ手に閉められました。
奥に座った私に向かって
上司:「正直に言え。誰に書いてもらっている!」
私:「誰って、私に決まっているでしょう。」
上司:「ふざけるな、あんな面白くていい文章、あんたみたいなバカに書けるわけないだろう。」
私:「“あんな面白くていい文章”、ってのはたいへんうれしいですが、そのあとの“あんたみたいなバカ”はうれしくないです。」
上司:「おかしいだろう。貝塚遺跡のことについて詳しく書かれていたり、問題点なども指摘していたり、ジャンルがバラバラなのに、みないい文章になっている。それぞれ頼み込んで別々の人間に書いてもらっているのか。」
私:「毎週、土日に個人的に取材に出かけて、関係者の話も聞いているし、自分でも感じたことを書いているだけです。しかも「100」聞いてきたうちの「2」くらいしか書いていないのです。それがコツなんですよ、おもしろくする。」
上司:「とにかく白状するまでは、この部屋から出さない。」
私:「じゃあわかりました。今、あなたがテーマを出してください。目の前で15分もあればA4二枚の原稿を書いてみせます。テーマは私が書けそうもなくて、あなたが得意な分野のことでもいい。そのかわり、あなたも一時間差し上げますから、文章を同じテーマで書いてください。書き終えたら、部屋の皆んなに名前を隠して読んでもらいましょう。そして、どちらの文章がいいものか、聞いてみましょう。はっきり言って自信があります。」
上司:「もういいっ!」
と叫んで、私は会議室から解放されたというわけです。
さらにこの話は続きますので、気になった方はまたお読みくださいね。
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