「文芸春秋 八十年傑作選」を読みました。
『文芸春秋 八十年傑作選/坪内祐三編(文芸春秋)』というボリュームのある本を読みました。
ブックオフで見つけて、わずか390円でした。
大正時代から昭和四十年代くらいまでの文芸春秋から、編者の坪内さん(昨年亡くなられている)が選んだ記事と、当時の広告までそのまま載っていました。
漢字は旧漢字、仮名遣いも旧かな遣いなので、少しばかり読むのは難儀しましたが、それでも面白い記事ばかり。
記事、文を書いたり、座談会に参加しているのは、武者小路実篤、谷崎潤一郎、芥川龍之介、菊池寛、幸田露伴、永井荷風、川端康成、色川武大、小林秀雄、吉川英治ら(これで氷山の一角)今からみると考えられない執筆陣です。
山下清が東京を見学させてもらい、文とスケッチを描いているものもありましたが、美術館やホテル、テレビ塔、皇居のお濠なども見学していて、おもしろかったのは、浅草にストリップを見に行き、「ぼくはこんな大人のストリップよりも小学生のストリップは珍しいし、おもしろいだろうが、なぜやらないんだろう。法律でいけないことになっているのかな。ぼくはおちちの大きくならない子どものストリップがあったら毎日みにゆきたい。」と書いています(^^;)
ほんとうに思っていることをそのまま書いているんですね。私、とてもおもしろいと思いました。
これが昭和三十二年。
「出版界批判座談会」という記事もあって、昭和四年の座談なのですが、そこですでに、“取り次ぎ”を通さずに本を売ることは出来ないのか、という話題が出ています。
現代にもまだそのような話題は出ているわけですが、“取り次ぎ”ってその頃から出版界を席捲していたのだと驚きました。
「復興大東京座談会」という記事もあって(昭和五年)、参加者皆でバスに乗り、一帯を見学したあとの座談となっていました。
中央市場はどこに出来るのでしょうかと問われ、築地の水交社のあった辺りと答えていたり、分場は秋葉ヶ原で、これはもう出来ているなどと答えています。
築地に市場が出来る前の話です。とても基調なお話が満載でした。
大正十三年に武者小路実篤が書いた文も見つけましたが、「まさか今後日本が米国と戦争をするなんてことは無いとは思うが」と書いていて、「日本は一番馬鹿を見ることはたしかと思う。」という・・結局、日本は“馬鹿を見ちゃいました”ねぇ・・ (・_・;
「ともかく日本文士の力で戦争を未然に防げたら、そんなことはもう少し勢いが進んだら出来ないことであろうが、今ならまだ出来るかと思う。」という「こころざし」も強い調子で書かれていました。
当時の文士の意気込みを感じました。
もうこんな文章が三段組みで満載、400頁近くあるのです。
何度も読まねば、・・・通過してしまった文もたくさんありました。
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