『超訳 論語「人生巧者」はみな孔子に学ぶ』という本を読みました。
『超訳 論語「人生巧者」はみな孔子に学ぶ/田口佳史著(三笠書房・知的生きかた文庫)』を読みました。
「論語」というものに対して、読むのが難しいのでなかなか一冊の本に接するということは今までありませんでした。
この本は、パラパラとめくってみたら、とてもわかりやすい“超訳”がついているうえに、解説も実際の例を示して書かれているので、「これなら私にも読めるかも」と、読むことにしました。
いくつか気になったものをあげて、私なりのコメントを・・。
〇其の人と爲りや、孝弟(こうてい)にして上(かみ)を犯すことを好む者は鮮し(すくなし)。
→社会秩序を支えているのは「人の心」である。何か問題が生じたときは、法やルールをつくったり、罰を与えたりすることよりも、当人の心を問うことのほうを先決にせよ。
・・・というわけで、よく企業などの謝罪会見などで規範や企業倫理が守られていないから不祥事が起きたとして、今後コンプライアンスの強化に努める、と結論づけています。
でも、ここで書かれているように、「社員がどういう気持ちから不祥事を起こしたのか」ということが一番深いところにあり、部下・社員の「心の状態」に注意することが大事なのでしょう。
そういうところまで踏み込んだ意見というのは、あまり聞きません。
〇仁(じん)を里る(おる)を美と爲す。
→家庭でできないことは、外でもできやしない。思いやりの心を養うには、まず家族関係から正していく必要がある。
・・・ようするに、家庭生活がそのまま社会生活に出るということを言っているのです。
家庭は社会の縮図であり、“家庭における振る舞い”がそのまま社会生活に出るというわけで、最近の事件などを見ていても、事件を起こした人物の家庭生活は崩壊していることが多いと思われます。
こういうことは、ほんとうに昔から言われていたのだな、とあらためて感じました。
〇民は之に由らしむ(よらしむ)可し(べし)。之を知らしむ可からず。
→多くの人に物事を知らせることは難しい。それを前提にして、なぜそれを知るべきなのか、という理由をしっかりと述べなくてはいけない。リーダーには、そういう説明責任がある。
・・・よく「国民は何もわからないんだから、下手に情報を与えないほうがいい。政権は本当のことは隠しておいていい。」というような意見を聞きます。
有無をいわせずにやらせる、というのは怠慢でしかありません。納得してやらせることが上に立つ人間の果たすべき説明責任だというわけです。
安倍さん、菅さんの顔が浮かんできたのですが、偶然ではないと思います。
〇南容白圭(なんようはくけい)を三復す(さんぷくす)。孔子其の兄の子を以て之に妻わす(めあわす)。
→ 一度口にした言葉は、もう取り返しがつかない。話をするときはそう覚悟して、言葉を慎重に選ぶ必要がある。それができる人間は信用に値する。
・・・これを読んですぐに思い出したお名前は、麻生さんでした。でも、これを読んでもご本人は何も感じないかもしれない。読めないかもしれない。
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