落語「粗忽(そこつ)長屋」を聞いて感じたこと。
日曜朝の立川志の輔さんがゲストを迎えて、そのゲストと二人で落語を聞くという番組を聞きました。
ゲストはBS日テレ「深層NEWS」の隔週金曜日を担当する鈴木あづさキャスターでした。
報道局の現役記者で、最近は「水野梓」の名で社会派ミステリー小説も書いて作家デビューもしています。
志の輔さんと二人で聞いたのは、五代目・柳家小さんの「粗忽長屋」でした。
話は、身元不明の行き倒れが出た現場に出くわした八五郎が、死んでいるは同じ長屋の熊五郎だと言い、今から本人の熊五郎に「お前が死んでいる」と言って連れてくると長屋へ引き返します。
熊五郎はワケがわからずに説得され、現場に二人でやって来て「これはオレだ」と悲しみます。
周囲の者はそんなわけないと呆れるが、熊五郎も八五郎も納得しない・・(^^;)という話なんです。
小さんの“引き”の芸が見事でした。聞いているこっちも身を乗り出して現場の輪に加わっている感覚になりました。
この「粗忽長屋」を小さんの弟子であった立川談志は、『主観長屋』とタイトルを変えて演じていたそうです。
ようするに、粗忽などということでは計りきれない“強すぎる主観”を持つ人が起こす騒動ととらえたのです。
常識と非常識の戦いです。
死体を見守り、誰かこの人を知らぬかと言っているのが常識側。
この死体本人に死んでいることを教えてくる・・というのが非常識側。
なんだか自分が死んでいると説得されてしまう中間にいるのが、熊五郎。
非常識も細部だけ見ればうなずけるところがあり、それを積み上げると相手を納得させてしまう。
そして、“問題なのは”→非常識側の人間は、自分ではそれが常識だっ思っているということ。
なんか“超最近”に起こっているどこかの国の大統領・・非常識側の八五郎と“瓜二つ”です。
これは、この日のゲストの鈴木あづささんも気づいて、中国の幹部の人達にインタビューしたときも、世界が見ている中国と、幹部が見ている世界の中の中国はまるで異なっていて、まったくそれに気づいてもいないということでした。
落語を聞いただけで、これだけのことを考えることが出来たのですが・・あの戦争を止めない大統領、日本の柔道好きで知られていますが、落語も好きになって、「粗忽長屋(主観長屋)」を聞いてもらい、「あっ!」と、自分の非常識に気づいてもらいたいものです。
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