【復刻版】Modern Jazz喫茶『 頑 固 堂 』⇒《Blue's Moods / 1960 》Blue Mitchell
十数年前に作っていたホームページ“Modern Jazz喫茶『 頑 固 堂 』”のブログ版復刻です。
取り上げているのは、ブルー・ミッチェルのアルバム、「ブルーズ・ムード」です。
再度聞き直して、追記も行いました。
Blue's Moods / 1960
Blue Mitchell
Blue Mitchell/tp
Wynton Kelly/p
Sam Jones/b
Roy Brooks/ds
①I'll Close My Eyes
②Avars
③Scrapple From The Apple
④Kinda Vague
⑤Sir John
⑥When I Fall In Love
⑦Sweet Pumpkin
⑧I Wish I Knew
ジャズ好きの人に大好きなアルバムは、というと、たいてい見栄を張って難解なアルバム、例えばコルトレーンの“至上の愛”とかそこいら辺をあげたりしますが、実のところ一番プレイヤーにかけたことの多いアルバムを正直に答えよ、と言った場合には全然違うアルバムがでてくるのではないでしょうか。例えば“ハンク・モブレー”とかね。
私の場合、一番聞いたのは間違いなくこのアルバムです。
どこに行くにも持ち歩き、“遠出の共”となっています。
自分の気持ちに正直に、一番聞きたいアルバムはこれです。
一曲目から、何気ない雰囲気のピアノで始まり、気分は最高に落ち着いたものになります。しかも、ちょっとだけ哀愁が漂い、このうえないジャズ・タイムにいざなってくれます。
ブルー・ミッチェルはトランペットを張るでもなく、くぐもるでもなく、素直に吹いていて、全くの自然体、淡々としたサム・ジョーンズのベースも最高です。なにしろトランペットが“美しい”です。
何十年も前の話ですが、ラジオのジャズ番組に出た日本人トランペッターの草分け、日野皓正(ひの・てるまさ)さんが、リクエストは?と聞かれ、この曲を選んでいました。
「ジャズ喫茶でよく聞いていた」なんてお話しされていました。
私もリクエストは?と、聞かれたらこの曲を真っ先に思いつくんじゃないかと思います。
二曲目は、さぐるようなトランペットで始まり、軽い早足で進むようなテンポで展開するスインギーな曲です。
ピアノとベースの掛け合いのようなフレーズも、とても格好いい!
三曲目は、チャリー・パーカーの曲で、アップテンポな力強さを感じます。ミッチェルもドラムの活躍に負けず、吹きまくる感じです。
チャーリー・パーカーの曲らしく、フレーズが速い!それをどこまでもストレートに吹きまくるブルー・ミッチェルのトランペットは、とても爽やかで潔く聞こえます。
四曲目は、ブルース。サム・ジョーンズのゆっくりとしたリズムで始まり、ミッチェルとウィントンが抜群のコンビネーションで曲を下から持ち上げるような感じでブルージーに演奏する、オトナな曲です。じっくりジャズを堪能できます。
五曲目は、一転して軽快なミディアムテンポのリズムで、ミッチェルの輝くような音色のトランペットが最高。私の大好きなピアニスト、ウィントン・ケリーが粋なソロを聞かせてくれます。
六曲目は、美しいバラードです。ビクター・ヤングの曲です。
ロマンティックで美しいミッチェルのトランペットにうっとりできます。アルバムを通して聴いていると、ここいらへんで、極上の気分になりつつあるところです。ウィントンのピアノの美しさも負けず劣らずです。
七曲目は、くつろいだ雰囲気のゆったりとした曲ですが、なぜかちょっとセンチになるようなメロディーで、ミッチェルの趣味のよいトランペットソロを聞くことができます。ここで、一曲目を聞いたときのような新鮮さがまたよみがえるので、まだまだ聞きたいという気分にいつもなります。
最後は、スタンダードナンバーをミッチェルのイメージで繰り広げる余裕の曲です。
ウィントンもミッチェルが作り出すこの曲のイメージをこわさずに、見事にサポートしています。
今でも、このアルバムは“遠出のお供”ナンバーワンです。
〈追記〉2022/06/13
この掲載の元となるホームページを書いていた頃は、まだCDをクルマに持ち込んで聞いていたのだと思います。
“遠出のお供”なんて書いていますが、今では何千曲も iPhone に入れて Bluetooth で聞いたりだとか、音楽アプリから車内に流したりしているわけで、「きょうはこのアルバムを持って行こう」なんてことは日常から無くなってしまいました。それもなんだか寂しい(-_-)
それにしても1960年のアルバムなのに、今聞いても音はとてもいいです。
薄気味悪い深~いエコーなども掛かっておらず、ドラムの音も太鼓やシンバルごとにマイクをあてて、それぞれにディープな残響を掛けたりすることもなく、ベースも実に自然な音に録られています。
このアルバムが好みだと冒頭から書いていますが、このアルバムのサウンドも自分の好みなんだと、あらためて感じました。
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