2015年、村上春樹さんが読者からのメールによる質問に答えた本「村上さんのところ」を読みました。
『村上さんのところ/回答者・村上春樹、絵・フジモトマサル(新潮社)』を読みました。
これまたブックオフで200円にて購入(*^_^*)
企画で、一定期間中に読者から(世界中から)届いた3万7465通のメールを村上さんが完全読破し(考えられない・・)、3716通に回答し、そのうちの473の問答を掲載したものです。
1ページ四段組なので、読むだけでも膨大な量の活字となります。面白いけれど、たいへん疲れました。村上さんは、質問を読んで、しかも答えているので、強靱かつ不死身の体力をもってこの仕事を成し遂げたのだと思います(^_^;)
質問で多いな、と感じたのは、なぜか学校の先生からの生徒を教えるときの悩み、男女問題で、「告白した方がいいか」というもの、また夫婦間のわかり合えない悩み、村上春樹の作品について世間の理解が低いというもの、自分が何をしたいのかわからないというもの、などでした。
それらの質問に、村上さんは時に丁寧に、時にあっさりと突き放すように答えていました。
この“さじ加減”が絶妙で、達人の域にいる人だと思いました。並大抵の精神力ではありません。
いろいろな質問がありましたが、私個人が面白く読んだものをいくつかご紹介します。
村上さんの回答と共に、私も回答を考えてみました…σ(^_^;)
読者質問:レコードの魅力ってなんですか?僕はCD派で、レコードは体験したことがありません。
村上回答:かなり危険ですから、必要がなければレコード関係には近寄られない方がいいと思います。時間もとられるし、お金もかかるし、普通の人には理解されません。いちおう合法ではありますが、身の安全の保証はできません。それでも体験したいですか?
私の回答:人に聞いているヒマがあったら、とっとレコード・プレイヤーを買って聞いてみろ。レコード盤はデカいので、ジャケットが大きいぞ!見ろ素晴らしいだろ、“ジャケ買い”の意味がわかったと思う。何?プチプチ雑音がするって?不良品かもしれないので、そのプレイヤー、私がもらっておこう。
読者質問:世の中には村上さんの作品や文章を酷評する人もいるのでは。中傷や批判に対し、どのようにして心の中で処理していますか。
村上回答:規則正しく生活し、規則正しく仕事をしていると、たいていのものごとはやり過ごすことができます。朝は早起きして仕事をし、適度な運動をし、良い音楽を聴き、たくさん野菜を食べます。それでいろんなことはだいたいうまくいくみたいです。
私の回答:最初は批判や誹謗中傷を無視し、受け流していますが、それでもしつこく突っかかってきたら・・呪いを掛けます(-_-)・・たいていの人は二~三日は動けなくなります。
最後は私がいちばん村上さんの回答で素晴らしいと思った質問です。
読者質問:本をよく読む人と、本をほとんど読まない人がいますが、どちらの人生が幸せでしょうか?全般的に本を読まない人のほうが、楽天的で人生を楽しんでいるように感じますが、どう思われますか?
村上回答:たとえ不幸せになったって、人に嫌われたって、本を読まないよりは本を読む人生の方がずっと良いです。そんなの当たり前の話ではないですか。
私の回答:じゃ、読むなよ。
長くなりました。以上がこの「村上さんのところ」という本を読んでみての感想です。
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