「旅だから出逢えた言葉/伊集院静」を読みました。
『旅だから出逢えた言葉/伊集院静著(小学館文庫)』を読みました。
伊集院さんが旅に出て、そこでその地で出逢った人や出来事から得た言葉について書かれた本でした。
ほとんどが国外に旅をしたときに伊集院さんが感銘を受けた言葉だったのですが、私がいちばん強い印象を受けたのは、伊集院さんの奥様がふともらした言葉でした。
場所は伊集院さんが奥様と出かけたスペイン。
バルセロナの北、モンセラットにある“奇跡のマリア”に義父の長寿を祈りに出かけられたときのことです。
奥様のお父様は担当の医師からの診断よりも、その祈りのお陰か何倍もの歳月生きることができたとのことでした。
敬虔なクリスチャンである奥様(女優の篠ひろ子さん)に「神は君に何かをしてくれるのかね?」と伊集院さんがたずねると・・
「どうなんでしょうか。私は神が何かをしてくださるとは思いません。ただ私はささやかな契約をしているのだと思います。その契約のために祈っているのではないかと・・・。」と応えているのです。
思わぬ答えに、伊集院さんは一瞬、沈黙します。
「私が旅で探していたものへの暗示がこんなに近くにあったことに驚いた」と、夜の仕事場で伊集院さんは振り返っています。
そしてもうひと言、奥様から・・
「何かをしてくださったこということはありません。でも、どんな時も、そばにいてくださいます。」と。
私自身はクリスチャンではありませんが、でも、神様って奥様の篠ひろ子さんがおっしゃっているような、そんな感じでとらえています。
私にとっても神様という存在は、何かしてくれるわけではなく、面倒を見てくれるわけでもなく、でもどこかにいて見守ってくれている、そんな感じ・・。
そうでもなければ、ただひとりこの人生を生きて行くのは厳しすぎるし、寂しすぎます。
そんなことを考えつつ読了いたしました。
« 【はっPのアナログ探訪_0167: 南国土佐を後にして / ペギー葉山 ( SP )】 | トップページ | 「寿司屋のかみさん サヨナラ大将/佐川芳枝」を読みました。 »
「言葉」カテゴリの記事
- 「言葉のおもちゃ箱 伊奈かっぺい綴り方教室/伊奈かっぺい」を読みました。(2025.06.05)
- 「ほっとする論語/杉谷みどり・石飛博光」を読みました。(2025.04.14)
- 「言葉の温度/イ・ギジュ・米津篤八訳」を読みました。(2025.04.12)
- 俳句を詠んでみる_0412【 春の朝 ご安全に の 声聞こえ 】(2025.04.10)
- 俳句を詠んでみる_0379【 春の朝 続きが見たい 夢だった 】(2025.03.06)
「書籍・雑誌その2」カテゴリの記事
- 「まわれ映写機/椎名誠」を読みました。(2025.06.18)
- 「そのへんをどのように受け止めてらっしゃるか/能町みね子」を読みました。(2025.06.13)
- 『児玉清の「あの作家に会いたい」人と作品をめぐる25の対話』を読みました。(2025.06.12)
- 「冥界からの電話/佐藤愛子」を読みました。(2025.06.10)
- 「役員室午後三時/城山三郎」を読みました。(2025.06.08)
« 【はっPのアナログ探訪_0167: 南国土佐を後にして / ペギー葉山 ( SP )】 | トップページ | 「寿司屋のかみさん サヨナラ大将/佐川芳枝」を読みました。 »
コメント