「普通の家族がいちばん怖い -崩壊するお正月、暴走するクリスマス-/岩村暢子」という本を読みました。
『普通の家族がいちばん怖い -崩壊するお正月、暴走するクリスマス-/岩村暢子著(新潮文庫)』という本を読みました。
平成19年に新潮社から刊行されたもので、文庫化は平成22年となっています。これもまたブックオフで見つけた本です。
日本の食卓がどうなっているのか、223世帯を対象に実施された「普通の家族の実態調査」が元になって結局この本が出来たわけですが、たぶん当初の目的というか想定されていた結果よりも別の次元で驚くような結果が出てきたことが読んでいてわかりました。
各家族からは日々の食卓の写真や、家庭内の様子の写真やレポートが提出されていて、著者がその過程で気になっている事象がクリスマスと正月に顕われていて、その部分に焦点を当てています。
簡単に言うと、調査結果として「クリスマスはどんどん大きなイベント化して行き、暴走といえるような状態になっている」。「お正月はどんどんその儀式的な部分は風化し、崩壊し、衰えていく」そんな状態になっているというのです。
ここでレポートされているのは、ごく普通の家庭で、特殊な家庭を選んでいるわけではないのですが、お正月は「おせち」をつくる家庭はほぼ皆無というか、つくらなくても何か買う程度で、それも一品か二品くらい。
で、実際は実家に行き、“上げ膳据え膳”で「おせち」をいただくだけいただき、手伝いなどは絶対にしない。おまけに高齢の父母(義父母)から親になっている四十代、五十代の自分達がお年玉までせしめている・・というのがほぼ一般的になっているのでした。
自分の家では、何もつくらず、元旦などは各自起きてきたら菓子パンなどを食べています。それだけ。負荷がかかることはしたくない、ということらしいです。雑煮なんてもちろんつくりません。
お飾りや、鏡餅、お屠蘇などは何でそんなもの飾るのか、考えたこともない・・んだそうで、これもこのレポートでは多数派です。
知らなかったなぁ・・。
これに比べてクリスマスはどんどん大きなイベントとなり、家中にクリスマスの飾りをして、エスカレートすると、かつてよく見た家の外の電飾化が“モンスター化”といえるくらいの状況になります。
クリスマスプレゼントは、子供のほしがるものをリサーチし、サンタがいるんだということを熱烈にプレゼンして、中学生になっても高校生になってもなんとかして信じさせようとしているのがこのレポートでわかりました。
結局、プレゼントをもらって喜ぶ子供を見る自分を確認して自分の喜びのためにクリスマスという一大イベントの恒久維持をはかろうとしているのが、これまた多数派なんだそうです。
でも、クリスマスに料理はつくらない・・負担になるから。
で、チキンなどを買ってくるんだそうです。さらにクリスマスケーキはママ友や子供たちとつくる姿がこれまた自分の喜びとなるので二個つくってしまったりしているのだそうです。
私、この著者が十数年前にラジオに出演されていたのを聞いたことがあったのを思い出しました。
もともとは一般家庭の食の状況調査だったらしいのですが(そのラジオ番組では食の状況をお話されていた)、その番組の中で「ちょっといいですか、今日の放送内容とは関係があまり無いんですけど・・」と、“ぽそっ”と言っていたのが上記の内容でした。
そのときに、電力を強化工事までしてクリスマスの電飾を家に施しているような家はすでに家庭崩壊しているようだ、というお話をされていたのです。
そういう家は、大学生の子にまで「サンタさんはいる」と教え込んでいるようで・・。
というわけで、読んでいて、もう冒頭から数ページあたりで具合が悪くなってきました。
最後まで読めるだろうかと不安になりながらも何とか読み終えましたが、その後味の悪さはひどいものでした。
救いようのない話を聞いちゃった・・という感じです。
この本が報告している内容は、もう一度冷静になって考え直す必要があると感じました。
とりあえず、今は忘れたい・・(^^;)そんな気持ちでおります。
« 『The Beatles REVOLVER SUPER EDITION を聞く・第一回 NEW STEREO MIX を聞いてみた』 | トップページ | クルマのナンバーについて »
「心と体」カテゴリの記事
- 「夫婦脳/黒川伊保子」を読みました。(2025.07.09)
- 俳句を詠んでみる_0491【 俳句知り 子供になった 夏の空 】(2025.07.09)
- 俳句を詠んでみる_0488【 竹落葉(たけおちば) 半ば死んで 生きるを知る 】(2025.07.06)
- 「どうせ、あちらへは手ぶらで行く/城山三郎」を読みました。(2025.07.05)
- 俳句を詠んでみる_0475【 夕涼の庭に降り 行く末案ず 】(2025.06.23)
「家族・親子」カテゴリの記事
- 俳句を詠んでみる_0494【 夏の夕 冷えた麦酒に キーマカレー 】(2025.07.12)
- 俳句を詠んでみる_0493【 草取 草刈 夫婦阿呍之息(あうんのいき) 】(2025.07.11)
- 「夫婦脳/黒川伊保子」を読みました。(2025.07.09)
- 「どうせ、あちらへは手ぶらで行く/城山三郎」を読みました。(2025.07.05)
- 俳句を詠んでみる_0486【 妻との午後 豆挽き アイスコーヒー 】(2025.07.04)
「日々発見」カテゴリの記事
- 俳句を詠んでみる_0491【 俳句知り 子供になった 夏の空 】(2025.07.09)
- 俳句を詠んでみる_0485【 亀虫 網戸に張り付き 卵生み 】(2025.07.03)
- 「クスリと笑える、17音の物語 寝る前に読む一句、二句。/夏井いつき・ローゼン千津」を読みました。(2025.06.03)
- 俳句を詠んでみる_0455【 また居るね 窓に守宮(やもり) 切り絵のよう 】(2025.06.01)
- 俳句を詠んでみる_0448【 素足で朝の掃除 廊下の温度 】(2025.05.26)
「書籍・雑誌その2」カテゴリの記事
- 「日本列島なぞふしぎ旅 中国・四国編/山本鉱太郎」を読みました。(2025.07.14)
- 『現役引退 プロ野球選手「最後の1年」/中溝康隆』を読みました。(2025.07.12)
- 「荒木経惟の写真術」を読みました。(2025.07.10)
- 「夫婦脳/黒川伊保子」を読みました。(2025.07.09)
- 「どうせ、あちらへは手ぶらで行く/城山三郎」を読みました。(2025.07.05)
« 『The Beatles REVOLVER SUPER EDITION を聞く・第一回 NEW STEREO MIX を聞いてみた』 | トップページ | クルマのナンバーについて »
コメント