『逃避の名言集/山口路子』を読みました。
掲載している写真のように表紙カバーは二重になっていて、薄緑色の本来のものの上に黄色いカバーが掛かっていて、本来なら“帯”の部分を本体の大きさに拡大したような形になっています。
売れて版を重ね、「これは売れる」と判断して派手目なカバーを二重にして被せたのかもしれません。本来の薄緑色の方が私はいいと思うけど・・・。
読んでみて、私には共感する部分が多々ありました。
ふだんから自信満々で生きている人、大声で話している人、これが正義だと堂々としている人、いつも明るく元気な人、などなど・・そんな人にはおよそ関係のない本です。
すぐに群れたがる人、思考が基本的に「集団」に根ざしている人。
人を出身校、出身地、国籍などで分類することが大好きな人。
こんな人たちにも無縁な本でした。
細かい分類をして、既婚・未婚、子供の有無、離婚経験・未経験、などと人はとにかく分けちゃうのが好きです。
著者は、「個というものをご存じないからできる技なのでしょう」と書いています。
世の中で中心にいる人、組織を動かしている人などに多いから、そうでない人間にとってはつらくて“生きずらい”世の中です。だから人生に疲れてしまうのかもしれません。
この本にも書かれていますが、「恋愛にも良識をもちだす人」がいます。
そんな人は「情熱を知らない人」であると著者は言っています。
私もそう思います。簡単に言うと芸能人の不倫記事などに怒っているような人です。
良識に反しても愛に生きる、という生き方。
これに反論するのは、情熱というものになじみがないんじゃないかと著者は説いていますが、「情熱になじみがない人と恋愛について語ることは時間の無駄です」というのは、まさにそのとおりだと私も常日頃思っていました。
誰かを見下すことで安心する人も今までの人生、社会経験の中で何人もお見掛けしました。
今になればこの著者のようにそんな人を“醜い人だ”と思うことができます。
ためらいもなく「正義」を使う人も信用できません。
そんな人に信用できる人はひとりもいませんでした、今までの人生の中で。
そのような世間から逃れるためには、「自己の世界」をつくらなければなりません、と著者は書いています。
私もこの歳になって、やっとそんなことに気づいて、日々「自己の世界」をつくろうとしているところなのです。
この本に書かれていることは、私の居る“こちら側”の人には沁みるようによくわかる本ですが、そうでない人にとっては、「こんなやつは人間の屑だ」と日頃思っているような人の例がたくさん載っているので、見るのもいやな本だと思います。
ということで、私にはとても良い本でした。
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