「まちがったっていいじゃないか/森毅」を読みました。
『まちがったっていいじゃないか/森毅著(ちくま文庫)』を読みました。
1981年に刊行されたものの文庫化です。
著者、森毅さんは1928生まれの数学者で、エッセイや評論にもファンの多かった方だそうで、2010年に亡くなられています。
私もお顔はたぶんテレビなどで何度もお見掛けしたことがあると思います。
今回、ブックオフで見つけて、初めてご著書を拝読いたしました。
40年も前の本ですが、書かれていることには今でも納得できるというか、共感することが多く、しかも平易な文章がとてもわかりやすくて親しみやすいものでした。
書かれていたことの多くは、《人と同じでなくともよい》《世間一般で言われている正しいあり方のような生き方をしなくても人生どうにかなる》などということだったと思いました。
また《男はこうあらねば、女はこんな風でなければ》みたいなことも気にせんでいい!ということも書かれていたと思います。
つまり“型どおり”生きていくことについての“つまらなさ”を書いていて、きっちり「これはこう、あれはそうすれば」みたいなことでなく、その間のところを行ったり来たりするような生き方、勉強の仕方、人との付き合い方が“程よい”のだということなのでした。
著者は戦争も経験していて、その時の人々の様子についても、自分がその時思ったことなども書かれていますが、終戦によってまったく逆のことを世間が言い出して、それこそ「こうあらねば」ということが一時にして崩れてしまったことを目の当たりにし、“揺れ動く”人々の生き方、動き方、自分の心模様を正直に書かれていました。
2023年の今、やはり「こうあらねば」みたいなことを言う人が多く、反対意見に対してはとても気が短く、大人げない様子を見せる人が多いと私は感じています。
なんだか“きな臭い”のです。今の政治状況、社会の状況。
この本に書かれていることが今また社会で起こっているんじゃないか、と危惧することになったのですが、選挙の投票率も低く、政治に関心のない人が多く、黙って見過ごしている間に“何事か”が着々と進行しているように感じてうすら寒くなりました。
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