「ビゴー日本素描集」を読(見)みました。
『ビゴー日本素描集/清水勲編(岩波文庫)』という古本を見つけ、読んでみました。
フランス人「ビゴー」は、浮世絵に魅せられ、明治15年に来日、明治33年に帰国するまでの18年間、日本を描きつづけ、多くの諷刺画を残しています。
明治中期のその時代を知る貴重な絵の数々がこの本に掲載されていて、実に興味深かった。
東京・神戸間の鉄道に乗る人たちの様子が描かれているものがあったのですが、一等車、二等車、三等車の客それぞれの着ているものや列車内での過ごし方、車中の食事、さらには就寝時の状況、駅でビールやお茶などを買う様子なども描かれていて、この時代のそういった写真などはたぶんほぼ無いに等しいと思われるので、とても貴重だし、私も初めて見る光景でした。
当時の兵士たちの服装や、休日の過ごし方、捉えられた脱走兵の様子なども描かれていました。当時の風俗もわかるので、これまた興味津々で見ました。
ビゴーは芸者にも興味があったとみえて、彼女たちやその周囲にいる人々の日々の様子や、官憲との関係までこと細かに描いています。
さらに娼婦たちのことについても朝の起き抜けの姿や浴場での様子(よく描かせてくれたなと思う)まで描いています。
掲載されているビゴーの作品は、諷刺画としても面白いし、絵画としてもいい、そして時代を知る資料としても貴重であり、読み応えがありました。
明治中期の雰囲気がよくわかり、楽しく読むことができました。
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