「遺言未満、/椎名誠」を読みました。
『遺言未満、/椎名誠著(集英社文庫)』を読みました。
私にしては珍しく新刊です。2023年11月第一刷発行となっています。
椎名さんは、1944年(昭和19年)生まれなので79歳になられています。
以前、このブログで「ぼくがいま、死について思うこと」という椎名さんの著書をご紹介したことがあるのですが(2016年頃だったか・・)、そのときは、今まで死についてさして深く考えずに世界のあちこちを旅したり、仲間と釣りに行ったり、キャンプしたり、自由奔放にそれこそ椎名さんらしく生きてきた・・でも、「自分も死ぬのだ」とハタと立ち止まった様子が書かれていました。
で、今回のこの新刊では、“より具体的”に、自分よりも若いのに亡くなってしまった友人や大切な人たちのことを振り返ったり、どうやって死んでいったのか、自分はどういうふうに死んでいくことになるのか、葬儀はどうすればいいのか、世界の葬儀、埋葬はどんな状況なのか。
奥さんは一歳下で、互いに墓をどうするか、墓自体がいらないのではないか、どうしよう・・そうだ遺言も書かねばと友達の弁護士に相談したり、とにかく今回は“切羽詰まった”感じで「死」と「葬儀」について考えている椎名さんでした。
この本で椎名さんも書かれていますが、「最後に葬送の列」を見たのはいつだろうという一文もありました。
そういえば、私も、もう何十年も「葬送の列」というものを見たことがあまりません。
椎名さんの記憶に残っている千葉県内で見た葬列では、「ドラ」やシンバルのような形をしたジャラジャラ鳴るものを『ジャン・ボン』と鳴らしながら列が進んでいく様子が書かれていて、「葬儀そのものを<ジャン・ボン>と呼んでいたようだ」と語られていました。
私の地元でも、同様の楽器のようなものを鳴らし、葬儀のことを<ジャン・ボン>と呼んでいたことを思い出しました。
この本を読んでいくうちに、私も自分の今後のことを考えました。
妻とも話すことがあるのですが、果たして「墓」というものが必要なのか、ということまで話し合っています。
椎名さんが世界で見てきた葬儀や、様々な「死」について書かれたこの本。
あらためて自分の今までの生き方、そして今後の死に方について考えるきっかけとなるものでした。
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