「ねじめ正一の商店街本気グルメ」を読みました。
『ねじめ正一の商店街本気グルメ/ねじめ正一著(廣済堂新書)』という古本を見つけ、読んでみました。
「我、食に本気なり(2009年小学館刊)」に加筆・修正をし、2015年に刊行されたものです。
ねじめさんといえば、阿佐谷の商店街で「ねじめ民芸店」を営むかたわら(奥さんが多くを担っているらしいが)、詩人、作家として活躍されているという予備知識があります。
それに直木賞を「高円寺純情商店街」で受賞したことも。
この本を読んでみると、阿佐谷の前には、高円寺で親が乾物屋をやっていて、それがねじめさんの子供時代、親やご近所の人たち、いろいろな家庭料理、さらに近所のお店で買った食べ物、おつかいに行ったときに買った食材などの思い出となっていることがわかりました。
これが玉子焼き、寒天、油揚げ、さつま揚げ、チャーハン、ラーメン、カレーライス、お餅、お汁粉などの話題につながっていて、特にねじめさんと同時代を子供として過ごした年代の人達は“なつかしい”気持ちでいっぱいになるようなエピソードばかりでした。
おしるこの話題のときに出てきたいい話。
ねじめさんは、おしることいえば、正月に木槌で割った鏡餅が入り、割れた餅を水につけてふやかし、おしるこの鍋に入れる。
しばらく煮ると餅はやわらかくなり、外側が溶けかかってずるずるどろどろになって、それがおしること一体化して旨いのだ!などとおばあちゃんがつくってくれた思い出を語っています。
父親は餅を焼いてうっすら焦げ目がついているのを入れていたが、自分はおばあちゃんのどろどろの餅の方がよかったと書かれています。
そして話題は、ねじめさん三十歳のとき。
自分の詩はこんなことじゃ駄目だと、詩の教室に通い、詩人鈴木志郎康(すずき・しろうやす)さんを師匠として教わるのですが、民芸品店のライトバンで通い、帰りに師匠の鈴木さんを自宅まで送ることになります。
そこで「まあ、ちょっと上がっていきなさい」となり、師匠は『懐中じるこ』という最中(もなか)のような丸いものの中に汁粉の素が入っていて、お湯をそそぐとさらさらしてちょっと頼りない感じもするが、食べてみれば、あっさりして美味しい(*^^*)ということで、すっかりねじめさん、そのおしるこが好きになっちゃいます。
ある日、「もう私のところに通わないで自分でやりなさい、卒業した方がいいよ」との師匠からのお言葉。
そこからは自力で頑張るのですが、すっかり音沙汰もなくなり、やがてねじめさんが直木賞を受賞すると、師匠からお祝いが!
開けてみると、毎週ご馳走になっていたあの「懐中じるこ」のセットだったそう(#^.^#)
ふだんは泣かない男のねじめさん、毎週師匠の家に押しかけた日々が懐かしく、ありがたく、涙にくれた・・。
という、いいお話しが書かれていました。ほんと、いい話(*^-^*)
読んでも、読んでも、おいしそうで、なつかしい、そしてどこの家にもあった安い食べ物たちが登場して、実におもしろい本でした。
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