河合薫さんの「働かないニッポン」を読みました。
『働かないニッポン/河合薫著(日経プレミアシリーズ)』という本を読みました。
私には珍しく“新刊”です。
読んでみて、ひと言で内容を言うと、「“働き損社会”というものに慣れっこになってしまった私たち」ということに尽きると思います。
仕事って、「人生を豊かにする成長の場」っていう共通理解のようなものが昔は有ったような気がします。今の頑張りが将来的な地位と給与である程度補償されていた・・そんな感じでした。
でも、今や人口ピラミッドが変わり、年功賃金や年功序列では企業が回らなくなり、50歳過ぎたらお荷物扱いされ(私もそうだった・・トップにいるボスから直接「あなたの給料は今後退職するまで昇給しません」というメールを受け取った)、どんなに頑張ったところで見返りはなくなりました。
自由裁量や能力発揮の機会もなければ、キャリアを積んできた社員の業務上の貢献や協調性に対して敬意を示し、評価することもなくなります。
経営側は、人の可能性を信じることが大事なのに、その可能性を最大限に引き出そうとはせず、人に投資せず、可能性という目に見えない力をないがしろにしている・・読んでいて深く同感しました。
また、世の中は当事者意識を持った人が政府や企業の小手先政策を批判すると、「批判するばかり」「対案を出せ」と攻撃してきます。・・毎日そんなのを見かける。
「働く」というのは能動的ですが、「労働」は強制的・・。
今の日本で日々繰り返されているのは「労働」ではないかというのです。
最近、大きな企業で様々な「不正行為」が問題となっています。
でも、現場は一生懸命働いているのだと思います。
上の層は数字や生産性ばかりを見ているんじゃないでしょうか。
意思決定の場は例えば今の政治で言うと、あの長老たちが壁となり、結局決定権のほとんどを握っています。
変わろうとしても、長老達は、かつて自分達が排除してきたことに拘り、自分が損をすると思っています。
だから長老の顔色ばかりうかがって忖度し、責任を果たすべき人が責任を果たさない。
小手先だけの絆創膏を貼るような手だてをするだけです。
今の日本は国からしてそんな状態のように感じます。
自分が打った銃弾で血を流している人には絆創膏を貼るだけ、そして銃を打ち続け、批判されると「対案を示せ」と言い、全てが他人事になっています。
見て見ないふり、やがて「冷たい社会」となり、それが今です。
で、話は戻ってきますが、人は“働く”のではなく、“働かされる”状態であるのが悲しや今の人たちのほとんどじゃないかというのです。
そんな気がします。
読んでいて、暗くなりそうでしたが、でもそんな人たちが希望を少しでも持てるような方法も書かれていました。それはここでは書きませんが、光が見えてくるので、気になった方はぜひ読んでみてください。
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